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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/07/31
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今回は、ニコ生ゼミ7月22日(#240)から、ハイライトをお届けいたします。

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 【トランスフォーマーに至るオモチャの歴史 2 】 “リカちゃん”の大ヒットと“変身サイボーグ”


 日本では、マテルのバービーと、アイデアルトイズの “タミー人形” が売れてたんですね。

 僕が子供の頃、うちの姉ちゃんもタミーちゃんを持ってました。


 さて、1967年にタカラはバービー人形向けの家のオモチャを発売しようとします。

 当時、バービーは発売されていたんですけど、特に東京オリンピックの頃から日本も景気がよくなったので、これがバンバン売れ始めていたんです。

 なのでタカラは、バービーのサイズの家を作ろうと考えて試作してみたんですけど、ものすごくデカくなってしまったんですよ。

 「いい加減にしろ! こんなもん日本で売れるか!」ってくらいに大きかったんです(笑)。


 ということで、「バービーのサイズをもっと小さくして、独自に作っちゃおうよ!」ということで、“リカちゃん” を発売することになりました。

 このリカちゃんが、メチャクチャ売れたんですね。

 あまりにも売れたもんだから、ついにマテルはバービーを完全に日本から撤退させてしまいました。


 この時点では、まだタミーちゃんは残っていたんですけども、バービーは撤退してしまって、日本では、しばらくバービーがない時代が続くことになりました。

 それくらい、タカラのリカちゃんは売れたんですね。


 バービーというのは、最初も言ったように、発売初期は人形も衣装も全て日本で作ってたんです。

 けども段々と日本の景気が良くなってきたこともあり、賃金が上がってきて、コストが合わなくなってきた。

 なので生産拠点をですね、台湾とか他のアジア圏に移したという事も、日本から撤退する理由の1つになったと言われています。

・・・

 あまりにもリカちゃんが売れ過ぎてしまったおかげで、タカラには “女の子玩具メーカー” というイメージがついちゃったんですね。


 もともと、タカラというのは戦後から伸びた会社なんです。

 競合他社のバンダイとかマルサンみたいな一流の玩具メーカーというのは戦前からあるんですよ。

 なので、もともとポッと出の印象が強かったんです。


 おまけに、リカちゃんのヒットによって、女の子向けというイメージが強まってしまったので、男の子向けの玩具をいくら企画開発しても、オモチャ屋さんの棚に置いてもらえなかったんですね。


 当時は、その会社のカラーによって、オモチャ屋さんも商品を置くか置かないかと決めていたので。

 なのでタカラは、男子向けの玩具のヒット作というのをすごく必要としてたんです。


 そんな中、「アメリカではハズブロのG.I.ジョーがすごく売れている」ということで、G.I.ジョーのライセンス契約を取り、“ニューG.I.ジョー” というのをタカラは日本向けに販売することになります。

 これが、1970年の出来事です。


 おまたせしました。

 これで、トランスフォーマーの元となる玩具を開発したタカラと、キャプテンアクションに原作を提供したマーベル、そして、タカラのロボット玩具を後にトランスフォーマーとして売り出すハズブロという3つの役者がやっと揃いました。

 ハズブロは、まだこの時は、売上の半分くらいをG.I.ジョーに頼っています。


 というところで、本当はもうそろそろ有料放送に切り替えないといけないんだけど、どうしようかな?

 もうちょっとだけ無料放送を続けましょうか。

 まだトランスフォーマーのトの字も行ってないよね。


 まあ、無料ではトランスフォーマーまでは届かないんだけど、もうちょっとだけやってみます。

・・・

 さて、ようやくニューG.I.ジョーで男子玩具に乗り出したタカラなんですけども。

 しかし、まあ、こういったミリタリーっぽいオモチャは、やっぱり、当時の子供にはウケないんですよ。

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 この軍服を着て銃を持っている人形、俺なんかはすごく好きなんですけど。

 なにより、こういうものは親が子供に買ってあげないんですよね。

 
 当時の日本というのは、自衛隊というもの自体に反対するデモがあったような時期ですから。

 なかなか売れなかったわけです。


 なので、ニューG.I.ジョーが発売してから1年後の1971年に、“正義の味方シリーズ” というのを始めました。

 これ、メチャクチャいいアイデアだったんです。


 何かというと、実は基本的にはアイデアルトーイズのキャプテンアクションなんですよ。

 『帰ってきたウルトラマン』とか『ウルトラセブン』とか『シルバー仮面』の衣装をG.I.ジョーに着せるというアイデアを思いついたんですね。

 これが、結構、売れたんです。


 ただ、1つだけ問題があったんです。

 『帰ってきたウルトラマン』だったら、ウルトラマンの中に入っているのは郷秀樹ですよね。

 『ウルトラセブン』だったらモロボシ・ダンが中に入っているというイメージがあるじゃないですか。

 仮面ライダーだったら本郷猛っていうイメージ。


 ところが、元になったニューG.I.ジョーの人形というのは、みんなヒゲ面のオッサンなんですよ。

 なので、人形が身に着けていたウルトラマンの顔を外すと、なぜかヒゲ面のオッサンの顔が出てくるという困った状態になったんです(笑)。

・・・

 ということで、1972年に、タカラはニューG.I.ジョーからコンセプトを変えて “変身サイボーグ” というブランドを作りました。

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 これです。

 サイズは全く同じ30cmサイズです。


 変身サイボーグというのは、透明なプラスチックの身体の中に、骨組みのような機械が透けて見えているというデザインです。

 中の機械は後に金色とか銀色とかのメタリックになったりするんですけど、最初期版はグレーだったと言われています。

 この写真はグレー版と呼ばれるものですね。


 つまり、中の人形を “サイボーグ” という設定にしたんですよ。

 スーパーヒーローのコスチュームの中に入っているのがサイボーグなら、なんとなく日本人は納得できるんです。


 これ、当時、僕も欲しかったんですけど、かなり高かったんですよ。

 この変身サイボーグに着せる服は別売りだったんですけど。

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 これが、“電人ザボーガー” の衣装。

 ……なんで、こんな渋いチョイスのサンプル写真しかないのかわからないんですけども(笑)。

 他にも、“仮面ライダーV3” の衣装もありますね。

 これが、変身サイボーグのパッケージに入っている状態で、こういうふうにして服と別に売ってたんです。

・・・

 これがこのまま販売され続けていたら、アメリカと同様に日本でも30cmフィギュアというのが根付いていたと思うんです。

 アメリカでは、バービーとG.I.ジョーのおかげで、1960年代からの30cmフィギュアのブームというのが根付いたんですけども、実は、日本では全然根付かなかったんですね。


 本当に、この変身サイボーグのシリーズを重ねていたら、ちょうど良かったはずなんです。

 なぜかというと、この方式であれば新しい子供番組が始まったからといって、新しい玩具を買わなくてもよかったからです。

 服とか外部のパーツだけを買い替えれえば、着替えさせることができるんですから。


 そういう意味ではリーズナブルだし、おまけに、この方が番組内でのキャラクターのマイナーチェンジにも対応しやすいんですね。

 なので、本来だったら、この変身サイボーグは、日本でも大型フィギュアが普及する基礎になるはずだったんですけども。


 しかし、ここで事件が起こります。

 起こってしまうんですよね。

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