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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/07/11
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今回は、ニコ生ゼミ7月1日(#237)から、ハイライトをお届けいたします。

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 【テレビでは教えてくれない『スター・ウォーズ』の話 3 】 本当は10倍ヤバいハン・ソロ


 ハン・ソロ役を演じたハリソン・フォードというのは、1942年生まれ。

 実はジョージ・ルーカスより1歳年上なんですけども、小・中・高校といじめられっ子でした。


 彼の演じるハン・ソロやインディアナ・ジョーンズ、デッカードなどのイメージからはあまりにも意外なんですけど、実は かなり いじめられっ子だったんですよね。


 で、また資料を読むと、その いじめられ方というのが面白くてですね、「しょっちゅう丘の上から転がされた」って書いてあるんですよ。

 なんやねん それは!

 どんないじめだ!?(笑)


 アニメや映画の中で、アメリカの学校の いじめ の シーンってよく見るじゃないですか。

 『シンプソンズ』でも、ミルハウスという男の子がズボンを脱がされたりとか、学校でソーダを掛けられるとかは見るんですけど。

 丘の上から転がされるって!

 それも、小・中・高校ですよ?

 「高校生にもなって、丘の上から転がされるって、どんな人生だったんだった!?」って思うんですけども。


 その後、彼は大学に進学するんですけども、人前では あんまり喋れなくて、鬱病になってしまいます。


 この時、カウンセリングで「鬱病治療のために演劇をやりなさい」と言われるんですよ。

 てっきり彼は「演劇の研究か。それならあんまり他人と話さなくていいや」と思って演劇カウンセリングに行ったんですけど、そこで役をやらされて、人前で舞台に立たされたんです。


 ところが この舞台での経験が彼の中ですごくヒットしたみたいで、「ああ、人前で演じるっていうのは、鬱の自分というのを見せなくていいんだ」ということで、すごく気が楽になったそうなんですね。

 それで演技に目覚めてしまって、22歳で大学は中退して、そのまま結婚しました。

・・・

 それから彼はロサンゼルスに移って、ルーク役に採用される前のマーク・ハミルと同じように、とにかくどんな役でもいいから欲しくて、エキストラ事務所で7年間の契約していました。


 この契約中にも、いろんな会社からオファーが来たそうなんですよ。

 それでチョイ役として出るんですけども、必ず撮影現場で、監督とかプロデューサー相手に喧嘩をしてしまう。

 もう本当に、ハン・ソロなんですよ。

 この人、いらんことを言うんですよ(笑)。


 カッコいい感じで、相手に嫌われるようなことをパーンと言って、その結果 「明日から来なくていい」 と言われてしまう。

 これは有名な話なんですけど、彼は、結局 そのまま大工になってしまいました。


 この 「なぜ、そこで大工になったのか?」 については、自伝を読んでも書いてないんですよ。

 「まあ、大工でも始めてみるか」といってやってみたら、すごく腕が良かった。

 だから、「俺、大工としても食えるんじゃないか?」 と思って、おまけに役者とかをやってたもんだから、ハリウッドの俳優さんの家の建て増しとか、建築する時に きちんと秘密を守れる大工として重宝されたんですね。


 ジェームズ・コバーンというアクション俳優を始め、いろんなハリウッドのセレブたちの間で「じゃあ、ハリソン・フォードを大工として雇おう」というのが流行って、かなりいろんな家を建てたそうなんですけども。

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 1970年にこれは、メキシコ系のミュージシャンのセルジオ・メンデスの家の大工をしていた時の写真ですね。

 本当に、大工として引っ張りだこだったそうです。

 そんなふうに大工としても働いている一方で、まだエキストラの仕事も続けていたので、1973年に『アメリカン・グラフィティ』でジョージ・ルーカスに起用されて、いい役を貰います。


 この映画自体は大ヒットしたんですよ。

 本当に、映画の歴史に残るくらい、『アメリカン・グラフィティ』は大ヒットしたんです。

 けども、なぜかハリソン・フォードだけにはスポットライトが当たらなかったんですね。

 なので、「やっぱり俺はダメなんだ。子供も2人目が生まれたし、もう、役者の道は諦めて、大工として本格的に生計を立てよう」と思うようになったそうです。


 ある日、彼がジョージ・ルーカスとフランシスコ・コッポラが二人で作ったアメリカン・ゾエトローププロダクションという映画会社の中で大工をしていた時に、かつて『アメリカン・グラフィティ』で自分を役者として使ってくれたジョージ・ルーカスが来たそうなんです。

 その時も、もうちょっと強気だったらば、「ああジョージ、俺をまた使ってくれよ」なんて言うところなんです。

 けども大工をしている自分が恥ずかしくて、コソコソ隠れながらドアの上の部分を作ってたそうなんですよ。


 スター・ウォーズ前夜というのは、ハリソン・フォードにとってはそんな時代でした。

・・・

 さて、このハリソン・フォードなんですけど、実は『スターウォーズ』に関しては、あまりいいことを言ってません。

 それどころか “黒歴史” にしてるというふうにも言われてます。

 それはなぜか?


 実は、『スター・ウォーズ』 の第1作目である 『新たなる希望』 と 『帝国の逆襲』 については、ハリソン・フォードは 「自分はこの映画の “アシスタント・ストーリー・テラー” だ」 なんて名乗るくらい気に入ってたんですよ。

 「脚本を書いているわけではないだけど、ジョージの右腕だ」 って。


 さっきの写真からもわかる通り、ハリソン・フォードにしてみれば、マーク・ハミルとキャリー・フィッシャーというこの映画の主役である2人の若者をまとめて面倒見て、演技を教えていた。

 登場人物のセリフに関しても、ハン・ソロのセリフだけにとどまらず、かなりアイデアを出していたし、ハリソン・フォードの助言によって書き換えられたセリフもいっぱいあった。

 そんなふうに、『スター・ウォーズ』の内部世界に関して、かなり自分はわかっているつもりだったんです。


 『ジェダイの帰還』 の時にも、ハリソン・フォードは 「この映画でハン・ソロは死ぬべきだろ? 」 と、ジョージ・ルーカスに言ったんです。

 しかし、ジョージ・ルーカスは、「いや、ハン・ソロは死なないよ」 と。

 それだけじゃなく、これはたぶん冗談なんですけども、「なんでこれからも何百万ドルも生むスターを殺す必要があるだ?」 って言ったそうなんですよ。

 この時に、ハリソン・フォードはめちゃくちゃガッカリしたそうです。


 「本当 言えば、ハン・ソロはあの映画で死ぬべきだった。 前作の 『帝国の逆襲』 の時に、あんだけカッコよかったのは、次の作品で死ぬからなんだ。 自分が演じているとはいえ、本来、『スターウォーズ』 という作品の中で、ハン・ソロはあんなに目立つべきじゃない。 あれはルーク・スカイウォーカーの冒険であって、そして、ルークの兄貴である存在のハン・ソロが死に、ルークが1人生き残って、ジェダイというのを後の世に伝えるからこそ、この作品はカッコいいんじゃないか」と、ハリソン・フォードなりに考えたスターウォーズ論というのがちゃんとあったんですね。

 ところが、結局、ハン・ソロは死ななかった。


 新シリーズである 『フォースの覚醒』 への出演オファーを受けたハリソン・フォードの、出演のための唯一の条件は 「ハン・ソロを今度こそ殺せ。でなければ、俺は出ない」 だったそうです。

 そう言ったら、「ちゃんとハン・ソロを殺す」 と。

 おまけに、「ギャラは35億円です」 と言われて、「……えっ? だったら話が違うよ!」 と、ハリソン・フォードは喜んで出演して、それから急に、「いやあ、『スターウォーズ』 って、やっぱりいいよね」 って、いろんなところで言うようになったんですけども(笑)。

・・・

 『帝国の逆襲』 の時に、レイア姫から 「I love you. (愛してます)」 と言われた時の、ハン・ソロのオリジナルのセリフは、実は 「I love you too. (俺も愛してる)」 だったんですよ。

 だけど、ハリソン・フォードが 「こんなのカッコ悪い」 ということで、「I know. (知ってる)」 に変更されました。

 ハリソン・フォードというのは、これくらい映画の内容に関与していたんです。


 ジョージ・ルーカスというのは、『スター・ウォーズ』 の中身に関して、なかなか他人のアイデアを採用しないことで有名なんです。

 だけど、ことハリソン・フォードとアレック・ギネスの意見については聞き入れることが多かったんです。

 それくらい、彼らの間には強い信頼関係があったんです。

 だけど、『ジェダイの帰還』 のインタビューの頃から、ハリソン・フォードは悪口を言い出してたんですね。

 『ブレードランナー』 の映画を作った時にも、「デッカード警部役をやっているハリソン・フォードさんです! かつて演じた役としては、ハン・ソロが有名ですよね?」 なんて言われたら、「あんな映画はつまんねえよ」と、ガンガンとネガティブなことを言い出すくらい、『ジェダイの帰還』にはガッカリしてたそうなんです。

 まあ、これがハリソン・フォードということでした。

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