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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「【『映像研には出を出すな!』1巻を作者と一緒に徹底解説 1 】 アニメは家で一人で作れ! は大童さんの本音ですよね?」

2018/07/02 06:00 投稿

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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/07/02
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今回は、ニコ生ゼミ6月24日(#236)から、ハイライトをお届けいたします。

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 【『映像研には出を出すな!』1巻を作者と一緒に徹底解説 1 】 アニメは家で一人で作れ! は大童さんの本音ですよね?

 今回の記事は、漫画『映像研には手を出すな!』の1巻を作者の大童澄瞳先生と共に1ページずつ解説した様子を文字に起こしたものとなっています。

 単行本と併せて読むと、より一層、楽しめる内容となっています。

 【Amazon販売ページリンク】
 映像研には手を出すな!(1) http://amzn.asia/54UIybN

 ※2018年7月5日22:00までの期間限定で、1巻 丸々無料で読むことが出来ます。

――――――
 (1ページ目)
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岡田: 
 ここから連載がスタートしたわけですね。

 「学校へ繋がる橋! 経緯不明の高低差!」というセリフから始まります。

 まあ、この辺は、わりと前回いじったところではありますけども。
 わりと “漫画っぽい描き方” をしてますよね?


大童:
 ああ、そうですね。


岡田:
 連載の第1話って、よく「編集部の人に何回も直される」って言われてますけど?


大童:
 何回も直されましたね。


岡田:
 やっぱりそうなんですか。

 ここへ至るまで、どういう構成だったんですか?
 初期案とかは。


大童:
 いや、もう、何パターンもあって覚えてないですね。

 保存してはいるので、あるにはあるんですけど。

 そうですね、初期案では、水崎がもうちょっとクールなタイプというか、口数が少ない女の子だったみたいな、そういうのは覚えてるんですけど。

 この1ページ目に関しては、引きの良さという意味で、これで通ったような気もします。


岡田:
 この「風景から入っていって、キャラがドンと出てくる」という構成は、最初から決めてたんですか?


大童:
 うーん、やっぱり “迎合” じゃないですけど、「スタイルに則った方が」っていうのは、いろいろと言われました。


岡田:
 連載ぽくていいですよね。


大童:
 そうですね、「教えて貰った」っていうのももちろんあります。

・・・

 (2,3ページ目)
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岡田:
 で、ページをめくると、この見開きの表紙絵がドーンと出るわけですね。

 これは1話を描き終わってから描いたんですか?


大童:
 いやあ、どうだったかな?
 それも全然 覚えてないですね。

 でも、そうだったと思います。

 なんかこう、面倒臭そうなページっていうのは、僕、結構、後回しにしたりするので。


岡田:
 この飛行機は、後に出てくる映像研の女の子たちのデビュー作のアニメに出てくる飛行機ですか?


大童:
 いや、それではないです。

 これは “飛鳥Ⅱ” っていう試験飛行機をモチーフにしたCTOL(通常型固定翼航空機)ですね。

 短距離離陸型の、エンジンが翼の下ではなく翼の上についているタイプの。

 それも、6発機かと思いきや、尾翼の横にも2発ついているので、8発機なんですけど――


岡田:
 いや、俺が聞きたかった「これは何ですか?」というのは、この飛行機の解説ではなくて、「なぜここに飛行機を描こうと思ったのか?」ということなんですけど(笑)。

 この漫画の世界というのは、こういう飛行機が存在する世界ということですか?


大童:
 いや、この飛行機が 『映像研』 の世界に実際に出てくるというよりは、“空想の世界” のようなイメージを出すために描いたんです。


岡田:
 「3人がいる場所の中に、彼女たちの妄想の世界がちょっとだけ混ざっている」みたいなイメージ?


大童:
 そうですね。実は、その後ろの方にも、ちょっと幻想的なビル群みたいなものがあるんですよ。


岡田:
 ……こういうふうに、自分の漫画を解説させられるのは大丈夫ですか?
 恥ずかしくない?


大童:
 わりと大丈夫ですね、今のところは。


岡田: 
 メンタル強いなあ(笑)。

・・・
 (4ページ目)
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岡田:
 で、見開きが終わって次のページ。

 とりあえず、この第1話は「浅草と金森のキャラを立てる」というのを第一にしてるんですか?


大童:
 そうですね。
 なので、1ページ目でああやって浅草をドーンと出したので、今度は金森を出しています。

 やっぱり、ページ数にも制限があるので、早目に出した方がいいだろうということもあるんですけど。

 いろいろと調べてみたりとか編集さんから聞いたりすると、「キャラクターというのは、最初の方で一覧のように登場させた方が良い」みたいなことがわかったので。

 これはもう、1ページ目と同じような感じで作っています。


岡田:
 とりあえず、1ページ目で主役を出してって?
 ……いや、1ページ目に出てきたからといって浅草が主役というわけではないのか。

 この漫画の主役って誰なの?


大童:
 どうなんですかね?

 僕としては、浅草が主役だと理解してはいるんですけど、「構成上、主役になっているか?」と言われると、どうなんだろうっていうのは、僕自身も思いますね。 


岡田:
 僕も、単行本の1巻を読んだ時には、「浅草が主役」っていうイメージが強くあったんですけど、1巻の後半くらいからは「なんだかんだいって、金森が “ツッコミ役” になってるよな」って思ったんですよね。


大童:
 そうですね。

 そこが鋭くなっていくというのはありますね。


岡田:
 つまり、金森中心で見たほうが、実は、お話を追いかけやすい。


大童: 
 僕も、別にそうしたいからやっているというんではないんですけど、なんとなくそういう方向に傾いて行っているところはありますかね。


岡田: 
 この頃から “アクロバティックな構図” が出てきますね。 

 見てる人間を悩ませるような、「今、俺は何を見ているんだろう?」 という構図(笑)。


大童:
 やっぱり 「映像的な絵作りにしたい」 というのがあるので。

 このページも、1コマ目から若干の俯瞰で描いていたりしてるんです。

 吹き出しにも、もうここからパースが掛かってるんですよね。


岡田: 
 あ、本当だ。はいはい。

・・・
(5ページ目)
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岡田:
 ということで、次のページに行きます。

 「時に金森さんよ。牛乳おごるからアニメ研の見学、一緒に行こうぜ。1人が心細いんだよ」ということで、ここでようやく浅草というキャラクターの内面が見えてきましたね。


大童: 
 初っ端から、主人公が 「良い高校に入った!」 って言って――


岡田: 
 で、4ページ目ですぐに 「1人が心細い」 と言う(笑)。


大童: 
 要するに、1ページ目は 「主人公的な浅草というキャラクターは、どんな人物なのか?」 ということと、あとは物語の概要みたいなものを、なるべく少ないセリフで説明するべきであるという考えに基づいて作っていて。

 その後に “キャラ付け” として、こういう小心者らしい台詞みたいなものが出てくるということですね。

 これは、僕が考えたというよりは、「その他の例に倣った」 というだけなんですけど。

 僕は本当に、そういう描き方を全然 知らなかったので。


岡田:
 でも、ここで 「やる気に燃えているのかと思えば、1人が心細い」 ということで、長所と短所を出してキャラが立ってるじゃないですか。


大童: 
 そうですね、結果的に立ってるかな。


岡田: 
 それに対して、取引きを要求したり、「イヤですよ面倒臭い」 というセリフを言わせることで、金森のキャラも立てているわけですよね。


大童:
 そうですね。はい。


岡田:
  ふーん。なんか本当に “普通の漫画” をやってるなと思って、改めて読んで、俺、ビックリしちゃった(笑)。


大童:
 ただ、この辺は全部、僕のリアリズムというか、「人間の等身大というのは、この辺りにあるんじゃないかな?」 という視点を使ってます。

 金森の言う 「連れション文化圏の人間」 というワードとかは、僕が連れションとかの意味がよくわからんタイプの人間だから、という。


岡田:
 つまり、友達と一緒に行動するという普通の人たちを、あえて “連れション文化圏” というふうにラベリングするという、中学・高校の時に一緒だったやつらへ対しての復讐行為なわけですよね?(笑)


大童:
 はい、そうですね(笑)。


岡田:
 あと、金森の 「なんでアニメ研にこだわるんです? 家で1人で作りゃいいじゃないですか。今時簡単でしょう」 というのは、これは大童さんの本音ですよね?


大童:
 はい。
 これは僕の本音です。

 「そんなものは1人で家で作ればいいんであって、誰か他の人間とやる必要なんてないだろ? そんなことしても、バカなヤツらとのいろんなシガラミに巻き込まれて、ようわからんものが出来上がるハメになるだけなんだから、そんなものは1人でやればいいんだ!」っていうのは。


岡田:
 このセリフの裏には、ものすごい含みがあるんですよね。

 今、大童さんが言ったことも、ネームに直すと5ページ分くらいになりますよ(笑)。


大童:
 そうです、そうです。

 だから、漫画化すると、やっぱりそういうところは省略しなければいけないなというのがありますね。


岡田:
 なるほどな。それをグッと省略すると、「今どき簡単でしょう」という一言になるんですね。


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