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「【ディズニーランドの基礎知識 1 】目指しているのは “映画の世界”」
映画『タイタニック』で作られたタイタニック号というのも、実物の80%か90%くらいの縮尺だったと思うんですけども。
原寸大じゃなくて、あえてやや小さく作る方が実感が生まれるんです。
そして、この「実感が生まれる」ということを、ディズニーでは重視している。
なので、実物よりもほんのちょっと小さいんですね。
ウォルト・ディズニー自身も「一番大事なのは “縮尺” だ。リアルに見えるかどうかは、とにかく縮尺で決まる」と言ってるんですね。
これにも、“7:5:4の魔法” が掛かってます。
7:5:4というのはどういう意味かというと――
まず、1階の部分が、実際の世界の8分の7の縮尺。2階が8分の5の縮尺。
そして3階が8分の4、つまり2分の1の縮尺で作られているんですね。
ディズニーランドの建物は、上に行けば行くほど小さくなっていくんです。
なので、このワールドバザールでは、すごく上手く、3階建てや4階建ての建物というのをずらっと並べているんです。
これ、人間の目線で見るからこそ、この縮尺が効くんです。
だから、こういうふうに真横から写真を撮っちゃうと、実はマジックの効果も薄れてしまうんですけども。
「本物を作ろう」じゃないんですよ、絶対に。
「そこに行った時に、一番面白い映画のセットを作ろう」という考え方だから面白いんです。
シンデレラ城というのは、高さが51mあります。
……まあ、「51mある」というよりは、「51mしかない」んですけども。
ビルでいうと大体16階建てくらいだと思います。
こういう事をやってるんですね。
映画屋さんや舞台屋さんというのは、「どうやって、狭いセットや舞台を広く見せるか? 奥行き3mしかない舞台を、50m100mに見せようか?」ということばかり考えてるので、こういう目の錯覚のような配置について、すごく考えるんですよね。
こうすることで、“谷間効果” というのが生まれて、やはりこれも、お城が実際の位置よりも遠くに見えるようになる。
そういう仕掛けになっています。
いかがでしたか?
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/06/11
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「【ディズニーランドの基礎知識 1 】目指しているのは “映画の世界”」
ディズニーランド、デイズニーシー共に、「本物そっくり」と言う人がいるんですけど、あそこの面白さは、そうじゃないんです。
さっきの帆船についても、僕は「実物大」って言ったんですけど、正確には、あれは8分の7くらいのサイズなんですね。
わずかに小さいんです。
わずかに小さいんです。
なぜかというと “映画のセット” として作っているからなんですよ。
そして、これこそがディズニーの思想なんです。
まあ、この辺については来週辺りに詳しく話そうと思うんですけど。
そして、これこそがディズニーの思想なんです。
まあ、この辺については来週辺りに詳しく話そうと思うんですけど。
実は、ディズニーランドやデイズニーシーの根本にある思想は何かというと、「本物を作ってその中に入り込もう」ではなくて、「ものすごいクオリティの映画のセットを作って、その中で映画の主人公になった気持ちで遊ぼう」というものなんですね。
だからこそ、ハリボテの建築がずらーっと並んでるわけなんですよ。
実物大の必要がないんですよ。
映画『タイタニック』で作られたタイタニック号というのも、実物の80%か90%くらいの縮尺だったと思うんですけども。
原寸大じゃなくて、あえてやや小さく作る方が実感が生まれるんです。
そして、この「実感が生まれる」ということを、ディズニーでは重視している。
なので、実物よりもほんのちょっと小さいんですね。
ウォルト・ディズニー自身も「一番大事なのは “縮尺” だ。リアルに見えるかどうかは、とにかく縮尺で決まる」と言ってるんですね。
・・・
たとえば、これは有名な “ワールドバザール“ という、デイズニーランドの入り口にあるお店なんですけども。
これにも、“7:5:4の魔法” が掛かってます。
7:5:4というのはどういう意味かというと――
今、大雑把に線を3本引きました。
1階の部分と2階の部分と3階の部分。
これ、それぞれでサイズが違うのがわかりますか?
1階の部分と2階の部分と3階の部分。
これ、それぞれでサイズが違うのがわかりますか?
まず、1階の部分が、実際の世界の8分の7の縮尺。2階が8分の5の縮尺。
そして3階が8分の4、つまり2分の1の縮尺で作られているんですね。
ディズニーランドの建物は、上に行けば行くほど小さくなっていくんです。
だからといって、これ、上に行くほどどんどん小さくしていけばいいのかというと、そうではないんです。
この手法が通用するのは、実は3階か4階が限界なんですよ。
この手法が通用するのは、実は3階か4階が限界なんですよ。
なので、このワールドバザールでは、すごく上手く、3階建てや4階建ての建物というのをずらっと並べているんです。
これ、人間の目線で見るからこそ、この縮尺が効くんです。
だから、こういうふうに真横から写真を撮っちゃうと、実はマジックの効果も薄れてしまうんですけども。
これが、ウォルト・ディズニーが言った「全ては縮尺で印象が決まる」ということなんですよ。
同じように、これはデイズニーランドの中にある “ニューオリンズ・スクウェア” と呼ばれる場所ですね。
これも、真横から写真を撮るとわかりやすくなっちゃうんですけども。
これも、真横から写真を撮るとわかりやすくなっちゃうんですけども。
フランス文化の影響で、バルコニーが多くある、テキサス州のニューオリンズの街を再現した場所です。
1階、2階、3階と、どんどん縮尺が変わっているのがわかります。
こういうふうに、縮尺を変えて作ることによって、コストダウンというよりは「本物を作るよりも本物らしく見せる」という考え方があるんです。
これも、やっぱり基本的には映画のセットなんですよね。
これも、やっぱり基本的には映画のセットなんですよね。
この辺りの考え方が、僕は面白くて好きです。
「本物を作ろう」じゃないんですよ、絶対に。
「そこに行った時に、一番面白い映画のセットを作ろう」という考え方だから面白いんです。
・・・
まだまだ基礎編が続きます。
はい、これはもう、ご存知の通りのディズニーランドのお城、“シンデレラ城” です。
シンデレラ城というのは、高さが51mあります。
……まあ、「51mある」というよりは、「51mしかない」んですけども。
ビルでいうと大体16階建てくらいだと思います。
もちろん、この建物も縮尺で嘘をついているんですけども、縮尺以上に面白いのが “色使い” なんですよ。
本当の城には無いような色使いをしているんです。
本当の城には無いような色使いをしているんです。
たとえば本当の城だったら、屋根とかにオレンジとか赤とかを使うんですけども、ここでは絶対に使わないんです。
なぜかというと「城を大きく見せるため」なんですね。
シンデレラ城は、基本的にベージュっぽいホワイトで、屋根とかの部分を青で塗装してあります。
こういう寒色系の色というのは、明度を落とした場合、“後退色”と言って、実際の場所よりも後ろにあるように見えるんですね。
ちょっと離れたところからこの城を見ると、それがわかりやすいと思います。
園内の少し離れた場所からシンデレラ城を撮ると、手前の方に必ず緑が入るように配置されているんです。
緑というのは “前進色” で、実際の位置よりも前に見える。
そして、城自体は後退色なので、目の錯覚によって本物よりも遠くにあるように見えちゃうんですよ。
そして、城自体は後退色なので、目の錯覚によって本物よりも遠くにあるように見えちゃうんですよ。
おまけに、デイズニーランドの中というのは、入り口近くとか人目があるところで風船を売っている。
この風船の彩度、明度の高い派手な色が入ると、やっぱり風船の方が前に来るように見えるから、その効果で、お城はさらに遠くにあるように見える。
この風船の彩度、明度の高い派手な色が入ると、やっぱり風船の方が前に来るように見えるから、その効果で、お城はさらに遠くにあるように見える。
こういう事をやってるんですね。
・・・
この辺りの “ごまかし方” というのは映画屋特有なんですよ。
まあ、舞台も同じだと思うんですけど。
まあ、舞台も同じだと思うんですけど。
映画屋さんや舞台屋さんというのは、「どうやって、狭いセットや舞台を広く見せるか? 奥行き3mしかない舞台を、50m100mに見せようか?」ということばかり考えてるので、こういう目の錯覚のような配置について、すごく考えるんですよね。
だから、映画屋さんの発想としてはすごく分かるし、「ものすごく面白いセットを作ったな」というふうに見えるんですけども。
あとは、この写真では、わりと平らに見えるんですけど、実際はシンデレラ城の手前の地面は掘ってあるんですよね。
正面入口であるワールドバザールから、お城に行くまでの間は、一度、傾斜を降りるように、掘って作られてるんです。
正面入口であるワールドバザールから、お城に行くまでの間は、一度、傾斜を降りるように、掘って作られてるんです。
こうすることで、“谷間効果” というのが生まれて、やはりこれも、お城が実際の位置よりも遠くに見えるようになる。
そういう仕掛けになっています。
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