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「【『海賊の経済学』解説 1 】ジャック・スパロウのモデル “黒髭ティーチ” は本当の変人? 海賊たちの意外な真実」
一応、「お宝をぎっしり積んだ船を襲って、男は殺して女はレ●●!」みたいなイメージがあるじゃん。
「何年も海の上を冒険して、陸に上がれば酒と博打と女の乱痴気騒ぎ」と、僕らの持ってる海賊のイメージというのは、大体こんな感じだと思うんですよ。
なぜかというと、他の船の襲撃に成功した場合、“その船 自体” が一番の財産なわけなんだよ。
で、乗組員を殺したりすると、「奪ったその船を誰が動かすんだよ!?」という話になっちゃう。
なので、基本的には「船を襲ったら、その乗組員はリクルートする」というのが当たり前だったそうです。
さらには、「女はレ●●」というのも、トラブルの元になるので、手を出さない場合が多かったそうです。
あと、これも僕らが持っているイメージなんだけど、「何年も海の上を冒険する」というのも違う。
ほとんどの海賊というのは、海の上にいるのはせいぜい数週間くらいで、ちょっと沖に出て海賊行為をして、すぐに帰って来るという、そういうことばっかりやってたそうです。
でも、正しいと言っても仕方がないんだよね。
次に、博打三昧について。これも、“陸でしか出来ないこと” だったから、仕方がなかったんだ。
そして、女についても、当時の船というのには、基本的に女がいないから、陸に上がった時くらいはハメを外したくなるということですね。
まあ、本当に遠洋漁業と変わらないよね。
それまでの海賊の大きい流れはこうなっています。
『マスター・アンド・コマンダー』という映画で戦っていたフランス船も私掠船です。
もちろん、国に帰れば英雄です。
しかし、「そこで略奪した財宝の中から一定の配分を王室に支払う」ということが義務になっていたそうです。
あとは、確か『モーレツ宇宙海賊』も私掠船という設定だったと思うんだけども(笑)。
まあ、今聞くと「本当かよ?」って話なんですけど。これが、当時発行された私掠許可証です。
もちろん、さっきも言ったように「……ただし、襲って得た財宝は、必ず一定の割合を王室に納めなさい」というふうに書いてあるんですけど。
この割合は、だいたい2割とか3割だったと言われてます。
ここまで来ると、もう、ほとんど “戦争の外注化” と言ってもいいですね。
そういうことをやっていたのが私掠船という海賊です。
コルセアというのは、「宗教的な海賊」という意味で、たとえば “バルバリア海賊” というのがあります。
それに対して、“マルタ海賊” というのもいた。
これは、地中海のマルタ島を本拠地にしていたキリスト教の海賊なんだよね。
こっちは主にイスラム教徒を襲うんだよ。
で、もちろん、地元に帰ったら英雄だ。
マルタ海賊に限らず、ロードス島騎士団など、当時の地中海はキリスト教海賊団というのがいっぱいいたそうなんだ。
俺、キリスト教がエグいというのは知ってたんだけど、ここまですごいとは思わなかったよ(笑)。
それに対して、“バッカニア” というのは、スペインによってジャマイカ島から追い出された島民たちによる、スペインへの復讐を目的にした海賊です。
そんな時代、海賊として一番有名だったのが “黒髭” ことエドワード・ティーチ。
彼は『パイレーツ・オブ・カリビアン』のジャック・スパロウのモデルになったともいわれているオッサンなんだけども。
この肖像画、よく見ると、頭から伸びたおさげみたいなものから煙が出てるよね?
これ、何かと言うと “火縄” なんだ。
つまり、火縄銃の導火線を帽子の中に入れて、垂らしている。
しかも、この導火線が特注で、ものすごく煙が出るものなんだって。
他にも、髭の中に、硫黄とか大麻を入れて、もうもうと炊いていたそうなんだ。
襲った船の中を練り歩く時には、それら全部に火をつけて、本当に顔を火傷するかしないかのような状態で、恐れられていたそうです。
胸の辺りを見ると、ピストルがいっぱい付いています。
これ、6丁も下げてるんだよね。
『パイレーツ・オブ・カリビアン』の第1作をチャンスがあったら見てみてください。
ジャック・スパロウが、「さあ、これから戦いだ!」という時に、ピストルをいっぱい胸に取り付けるシーンがあるんだけど、これはエドワード・ティーチがモデルだからだよね。
なぜ、6丁も持っているのかと言うと、当時の銃は “先詰め式” で、基本的に1発しか撃てないから。
つまり、船内で戦闘する時に、6発撃つために6丁もの拳銃を持っているんです。
まあ、これは嘘だと思うんだけども。
それくらいビビられてたような人です。
いかがでしたか?
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/06/04
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「【『海賊の経済学』解説 1 】ジャック・スパロウのモデル “黒髭ティーチ” は本当の変人? 海賊たちの意外な真実」
そもそも、“海賊“ というのはどういう人なのか?
僕ら、「海賊」って一言で言うんだけども日本にも海賊はいたし、いまだにマラッカ海峡の辺りにも海賊はいるよね。
なので、何の事か分からなくなっちゃうんだけど。
なので、何の事か分からなくなっちゃうんだけど。
一応、「お宝をぎっしり積んだ船を襲って、男は殺して女はレ●●!」みたいなイメージがあるじゃん。
「何年も海の上を冒険して、陸に上がれば酒と博打と女の乱痴気騒ぎ」と、僕らの持ってる海賊のイメージというのは、大体こんな感じだと思うんですよ。
だけど、実はこれ、全部 違うそうなんです。
・・・
この『海賊の経済学』とか、他の海賊に関する本によれば、まず、お宝をぎっしり積んだ輸送船ばかりを襲っていたわけじゃないんです。
海賊が襲ったのは、ほとんどが小麦とか糸とか布とか食料品とか日用品とか、そんなものばかりを積んだ船を襲ってるんだよね。
海賊が襲ったのは、ほとんどが小麦とか糸とか布とか食料品とか日用品とか、そんなものばかりを積んだ船を襲ってるんだよね。
次に、「海賊は襲った船の男を殺す」っていうのも違う。
その場で海賊にリクルートするのが普通だったそうなんだ。
その場で海賊にリクルートするのが普通だったそうなんだ。
なぜかというと、他の船の襲撃に成功した場合、“その船 自体” が一番の財産なわけなんだよ。
で、乗組員を殺したりすると、「奪ったその船を誰が動かすんだよ!?」という話になっちゃう。
なので、基本的には「船を襲ったら、その乗組員はリクルートする」というのが当たり前だったそうです。
さらには、「女はレ●●」というのも、トラブルの元になるので、手を出さない場合が多かったそうです。
海賊に限らず、当時の人は、すごく迷信深いというか、そもそも、海賊行為を始める原因自体が、イスラム教とかキリスト教の宗教戦争だった場合が多いそうなんですよね。
さらに、船に乗る人は特に迷信深くなる傾向もあるので、「女はレ●●」みたいなイメージというのも、案外そうじゃなかったと書いてあります。
さらに、船に乗る人は特に迷信深くなる傾向もあるので、「女はレ●●」みたいなイメージというのも、案外そうじゃなかったと書いてあります。
あと、これも僕らが持っているイメージなんだけど、「何年も海の上を冒険する」というのも違う。
ほとんどの海賊というのは、海の上にいるのはせいぜい数週間くらいで、ちょっと沖に出て海賊行為をして、すぐに帰って来るという、そういうことばっかりやってたそうです。
全部、言われてみりゃあ 当たり前なんだけどね。
・・・
まあ、最後の「陸に上がれば酒と博打と女の乱痴気騒ぎ」というのだけは、正しいんですけども。
でも、正しいと言っても仕方がないんだよね。
なぜかというと、まず、酒については、船上での生活が長く続くと、誰でも重度のアルコール中毒になってしまったからなんだ。
というのも、陸から船出する時に、飲料用の水を汲むんだけど。
水ってね、大体、船出して数日くらいで悪くなって、最終的には “緑色のドロドロしたもの” に変わってしまうから、飲めなくなるんだって。
水ってね、大体、船出して数日くらいで悪くなって、最終的には “緑色のドロドロしたもの” に変わってしまうから、飲めなくなるんだって。
だから、船の上では、酒しか飲むものがないんだ。
飲み物としての選択肢が「弱い酒」と「強い酒」くらいしかない。
で、そうやって、毎日、酒ばっかり飲んでるもんだから、全員アル中になっちゃうんだ。
だから、この酒に関してはしょうがない。
飲み物としての選択肢が「弱い酒」と「強い酒」くらいしかない。
で、そうやって、毎日、酒ばっかり飲んでるもんだから、全員アル中になっちゃうんだ。
だから、この酒に関してはしょうがない。
次に、博打三昧について。これも、“陸でしか出来ないこと” だったから、仕方がなかったんだ。
ほとんどの海賊船の中では、お金をかけた博打というのは禁止されていたそうだ。
なぜって、喧嘩の元になるからだよね。
喧嘩が起これば船が破損したり、火事が起こる確率が増える。
なので、博打をやるにしても、お金を賭けない「明日の掃除を誰がするか?」くらいのこと以外は、ほとんどの船で禁止されていた。
なぜって、喧嘩の元になるからだよね。
喧嘩が起これば船が破損したり、火事が起こる確率が増える。
なので、博打をやるにしても、お金を賭けない「明日の掃除を誰がするか?」くらいのこと以外は、ほとんどの船で禁止されていた。
そして、女についても、当時の船というのには、基本的に女がいないから、陸に上がった時くらいはハメを外したくなるということですね。
そういったわけで、「陸に上がれば酒と博打と女の乱痴気騒ぎ」というのは、いささか仕方がないところがあります。
まあ、本当に遠洋漁業と変わらないよね。
・・・
次に、海賊の分類。
今回、取り扱う “海賊” というのは、1670年から1730年くらいのカリブ海にいた海賊です。
この60年間くらいが、いわゆる海賊の黄金期だったんだけど、この海賊を扱います。
この60年間くらいが、いわゆる海賊の黄金期だったんだけど、この海賊を扱います。
それまでの海賊の大きい流れはこうなっています。
まずは “私掠船”(プライヴェイティア)と呼ばれる海賊がいました。
私掠船というのは何かというと、ヨーロッパのいろんな国が “略奪許可証” というメチャクチャなものを発行してたんですよ。
それを受け取った国家公認の海賊というのを私掠船と呼びます。
それを受け取った国家公認の海賊というのを私掠船と呼びます。
『マスター・アンド・コマンダー』という映画で戦っていたフランス船も私掠船です。
もちろん、国に帰れば英雄です。
しかし、「そこで略奪した財宝の中から一定の配分を王室に支払う」ということが義務になっていたそうです。
あとは、確か『モーレツ宇宙海賊』も私掠船という設定だったと思うんだけども(笑)。
まあ、今聞くと「本当かよ?」って話なんですけど。これが、当時発行された私掠許可証です。
これが、国家公認の略奪許可証。
たとえば、フランスが発行する許可証だったら「スペインとイギリスの船は襲ってもいい」とか、もしくは「ポルトガルの船を重点的に襲いなさい」みたいなことが書いてあります。
たとえば、フランスが発行する許可証だったら「スペインとイギリスの船は襲ってもいい」とか、もしくは「ポルトガルの船を重点的に襲いなさい」みたいなことが書いてあります。
もちろん、さっきも言ったように「……ただし、襲って得た財宝は、必ず一定の割合を王室に納めなさい」というふうに書いてあるんですけど。
この割合は、だいたい2割とか3割だったと言われてます。
ここまで来ると、もう、ほとんど “戦争の外注化” と言ってもいいですね。
そういうことをやっていたのが私掠船という海賊です。
・・・
その他に “コルセア” という海賊もいたそうです。
コルセアというのは、「宗教的な海賊」という意味で、たとえば “バルバリア海賊” というのがあります。
バルバリア海賊は16世紀の始めに、もう何百年も前の出来事であった “キリスト教徒による十字軍遠征” への復讐を目的として、イスラム教徒が「カソリックは皆殺し!」を合言葉に始めた海賊なんだ。
恐ろしいよね。
もちろん、彼らも地元に帰ったら英雄なんだけど。
恐ろしいよね。
もちろん、彼らも地元に帰ったら英雄なんだけど。
それに対して、“マルタ海賊” というのもいた。
これは、地中海のマルタ島を本拠地にしていたキリスト教の海賊なんだよね。
こっちは主にイスラム教徒を襲うんだよ。
で、もちろん、地元に帰ったら英雄だ。
マルタ海賊に限らず、ロードス島騎士団など、当時の地中海はキリスト教海賊団というのがいっぱいいたそうなんだ。
俺、キリスト教がエグいというのは知ってたんだけど、ここまですごいとは思わなかったよ(笑)。
それに対して、“バッカニア” というのは、スペインによってジャマイカ島から追い出された島民たちによる、スペインへの復讐を目的にした海賊です。
ジャマイカ島には、それまでいろんな人がいたんだけども、一時期、この島をイギリスが支配してたんだ。
この時期は、島民のみんなも、「ああ、イギリスの支配ね」って、それなりに平和に暮らしてたんだけど。
その後、スペインがイギリスに対して干渉して、「島の民を全部追い出せ!」というふうなことになり、ジャマイカ島からみんなが追い出されてしまった。
この時期は、島民のみんなも、「ああ、イギリスの支配ね」って、それなりに平和に暮らしてたんだけど。
その後、スペインがイギリスに対して干渉して、「島の民を全部追い出せ!」というふうなことになり、ジャマイカ島からみんなが追い出されてしまった。
結果、追い出された島民が「スペイン許すまじ!」ということで、主にスペインを襲う海賊たち、バッカニアというのが生まれたそうです。
まあ、『海賊の経済学』で扱う海賊というのは、1670年から1730年までのカリブ海を荒らし回った、いわゆる海賊というヤツだよね。
『パイレーツ・オブ・カリビアン』と同じ時代です。
『パイレーツ・オブ・カリビアン』と同じ時代です。
・・・
さて、海賊の黄金期と呼ばれたこの時代には、バッカニアもいれば、国家の公認を受けた私掠船もまだまだいっぱいいた。
その他にも、そういうのとは全く関係なく「俺達はどこにも属さない」と言っているフリーの海賊も混在していた時代なんだ。
その他にも、そういうのとは全く関係なく「俺達はどこにも属さない」と言っているフリーの海賊も混在していた時代なんだ。
そんな時代、海賊として一番有名だったのが “黒髭” ことエドワード・ティーチ。
彼は『パイレーツ・オブ・カリビアン』のジャック・スパロウのモデルになったともいわれているオッサンなんだけども。
この肖像画、よく見ると、頭から伸びたおさげみたいなものから煙が出てるよね?
これ、何かと言うと “火縄” なんだ。
つまり、火縄銃の導火線を帽子の中に入れて、垂らしている。
しかも、この導火線が特注で、ものすごく煙が出るものなんだって。
他にも、髭の中に、硫黄とか大麻を入れて、もうもうと炊いていたそうなんだ。
襲った船の中を練り歩く時には、それら全部に火をつけて、本当に顔を火傷するかしないかのような状態で、恐れられていたそうです。
胸の辺りを見ると、ピストルがいっぱい付いています。
これ、6丁も下げてるんだよね。
『パイレーツ・オブ・カリビアン』の第1作をチャンスがあったら見てみてください。
ジャック・スパロウが、「さあ、これから戦いだ!」という時に、ピストルをいっぱい胸に取り付けるシーンがあるんだけど、これはエドワード・ティーチがモデルだからだよね。
なぜ、6丁も持っているのかと言うと、当時の銃は “先詰め式” で、基本的に1発しか撃てないから。
つまり、船内で戦闘する時に、6発撃つために6丁もの拳銃を持っているんです。
そんな、ちょっと頭がおかしい感じになってる人なんですけど。
この人は、結局、海賊狩りで首を切られて死んじゃったんだけど。
「その際、海に捨てられた胴体部分だけの死体が、船の周りを3周泳いだ」っていう伝説があるんだって(笑)。
「その際、海に捨てられた胴体部分だけの死体が、船の周りを3周泳いだ」っていう伝説があるんだって(笑)。
まあ、これは嘘だと思うんだけども。
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