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「カリオストロ公国の秘密【3】“ルパンと伯爵は同じ欲望を抱えていた!”」
何よりも “国際金融 の波” というのがカリオストロ公国にも押し寄せているんですね。
このアニメを作っていた当時ですら、紙幣よりも電子化されたデータが市場を動かすような時代になってしまっていたんです。
つまり、もう、カリオストロ伯爵家が作っている偽札ですら、金貨を作っていた大公家が時代遅れになったのと同じように、徐々に時代遅れになっていっている。
つまり、なぜ伯爵はクラリスと結婚して2つの家を1つに合わせなければいけなかったのかというと、彼女と結婚して自分達の子供をいっぱい作るためです。
その子供を、イギリスとかフランスとかスペインとか、どこでもいいから王家の跡継ぎに嫁がせて、なんとかどこかの王位に付かせることくらいしか、今のカリオストロ公国に打てる手は残っていないんです。
伯爵は、この正体の分からない財宝を獲得し、クラリスと結婚することによって、ヨーロッパで最も古い貴族の血をウリにして婚姻外交を続けることが出来れば、カリオストロ公国をもう一度 立て直すことが出来るのではないかと考えていたんです。
そうそう。
ハプスブルク家の戦略と同じですね。
財産がなくなって貧乏になっちゃったハプスブルク家だと思ってください。
これはね、正直、僕にも分からないんですよ。
なぜかというと、この映画のカットの隅々まで見たんですけども「伯爵はクラリスが好きだ」という証拠は一切 描かれてないんです。
汚い世界から足を洗って、真っ当な世界に生きたいと思っていたからなんですね。
クラリスに対して「そうとも、俺の手は血に染まっている。しかし、お前もそうだろう?」と言ったのはツンデレなんですよ。
彼の言葉を綺麗な表現で言い直すと「だから、2人で手と手を取り合って、明るいまともな世界に生きようじゃないか」となるわけですね(笑)。
彼の行っていた豪華な晩餐会も、結婚式も、全ては “闇の伯爵家” という自分の出自に対する反発であって、彼は、誰よりも、自分が滅ぼした大公家のようになりたかった人間なんですよ。
そして、そこでクラリスという光のような少女に出会い、惹かれてしまった。
だからこそ、カリオストロ伯爵が金と名誉だけでなくクラリスも欲しがっていることがわかってしまったんですね。
なぜなら、2人とも闇の世界の住人であり、2人とも光を目指しているという意味では、ルパンと伯爵は全く同じだから。
ただし、ルパンは光を目指す時にも “泥棒の流儀” で目指そうとするし、伯爵も自分がこれまでやっていた “陰謀家の流儀” で光の世界を目指そうとする。
実は、この2人とも、自分の手法というのを頑(かたく)なに守る職人気質の野郎なんですよ(笑)。
つまり、これはルパンの一方的な思い込みなんです。
それは誰かというと、ジンとパリストンなんです(笑)。
『HUNTERXHUNTER』に出てくるジンとパリストンというのは、「俺とお前は似た者同士。思いつくのは外(げ)の道ばかり」と言うくらい、両者とも根が同じ人間なんです。
だからこそ、お互いに「許せない!」「許せない!」ってなっちゃうわけですね。
出会いの順番さえ違ったら、カリオストロ伯爵とルパンというのも相棒になれたかもしれません。
まあ、似た者同士ということで、終生 お互いのことを大嫌いだったかもわからないですけどね。
『カリオストロの城』というのは、そんな三人が出会ってしまったことによる悲劇でもあります。
悲劇なので、結局、クラリスだけはこの お話の最後に解放されたんですけども、伯爵は死んでしまう。
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