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「ガイナックスの “感動を作ろうプロジェクト”・前編 【なぜ感動するのか分からないところから始まった】」
これは、お便りのコーナーへの投稿としていただいたんですけど、「漫画の内容としては、岡田さんが『遺言』で書かれたものとそう変わりありませんでしたが、岡田さん視点でプリンセスメーカーの思い出、または、続編の2や、ゲーム開発に関する裏話があったら教えてください」というふうに聞かれましたので、今日は一応、これについて話してみます。
これが、赤井孝美が語る“正のプリンセスメーカー史”だとしたら、僕が今から語るのは“負”ということでもないんですけど、これとはちょっと違う『プリンセスメーカー史』なんです。
ありがとうございます。
あのオルゴールを覚えているということは、実際に『サイレントメビウス』をやって感動したということですよね。
そこで、『サイレントメビウス』という、当時 すごく人気があった漫画とコラボしてゲームを作ったんです。
その結果、返ってきたアンケートを見たら「泣きました!」とか「ゲームで泣くとは思ってませんでした!」と書かれていた。
それを見て、「よし! これは行ける!」ということで、本格的な体制を組んで作り出したのが、『プリンセスメーカー』に関する裏面の歴史なんですね。
では、なぜそんなことを考えたのか?
それをこれから語ってみたいと思います。
だけど その感動の正体が何なのか、正直な話、作った人間は誰一人わかっていなかったんですよ。
それを見た みんなは「感動した!」って言うし、楽しんでもらえたのは分かったんですけど、なぜ感動するのかが よくわからなかったんですね。
音楽1曲に合わせてハイテンポなノリを作って、いわゆる当時のMTVみたいな作品をやろうと思って作ったんですけど。
やっぱりこれも、「感動した!」っていうふうに言われたんです。
ここで、「うん。感動したというのは わからんことでもない。確かに何か感動するんだけど、でも、それは一体なんだろう?」という大きな疑問が生まれたんですよ。
なので、たとえば『八岐之大蛇の逆襲』とか、『早撃ちケンの大冒険』とか、『怪傑のーてんき』とか、『愛國戰隊大日本』みたいに、「あれ? 同じフォーマットで作っているはずなのに、ちっとも感動しねえよ」っていう作品も、いっぱいあるわけですよね(笑)。
「感動というのは言葉にならないものなんです! 見た後で、なんかわからないけど、すごかったって思ってもらえれば、映画はそれでいいんです! なぜ感動したのかがわかるように作った映画なんて安物です!」という山賀くんの発案もあって、すごく分かりにくい作品を作ったんですね。
その第1弾が『トップをねらえ!』なんですよ。
いかがでしたか?
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
番組内で取り扱う質問はコチラまで!
岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/03/13
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「ガイナックスの “感動を作ろうプロジェクト”・前編 【なぜ感動するのか分からないところから始まった】」
田中圭一さんという、漫画家であり、ゲームデザイナーであり、ビジネスマンでもある方がいるんですけども。
その人が描いた、『プリンセスメーカー』というゲームの開発秘話のインタビュー漫画が話題になっています。
その人が描いた、『プリンセスメーカー』というゲームの開発秘話のインタビュー漫画が話題になっています。
これは、お便りのコーナーへの投稿としていただいたんですけど、「漫画の内容としては、岡田さんが『遺言』で書かれたものとそう変わりありませんでしたが、岡田さん視点でプリンセスメーカーの思い出、または、続編の2や、ゲーム開発に関する裏話があったら教えてください」というふうに聞かれましたので、今日は一応、これについて話してみます。
<参考>
【田中圭一連載:プリンセスメーカー編】
「プレイヤーを泣かそう」岡田斗司夫の発案に赤井孝美が出した答え。
それは、“みんなちがってみんないい”感動できる育成シミュレーターだった【若ゲのいたり】
「プレイヤーを泣かそう」岡田斗司夫の発案に赤井孝美が出した答え。
それは、“みんなちがってみんないい”感動できる育成シミュレーターだった【若ゲのいたり】
・・・
さて、この漫画の中では、このゲームのエンディングについて「岡田さんの発案で、前代未聞の“感動できるシミュレーション”を作ろうということになった」と書かれています。
どういう仕組みかというと、8年間 育てて新天地へ行ってしまった娘から、「お父さん、あなたとの思い出が一番楽しかった」みたいな感謝の手紙が来ることで、プレイヤーは感動するというようなシステムなんですけど。
まあまあ、この漫画では「その結果、大評判になりました!」というような、いい話として紹介されています。
まあまあ、この漫画では「その結果、大評判になりました!」というような、いい話として紹介されています。
これが、赤井孝美が語る“正のプリンセスメーカー史”だとしたら、僕が今から語るのは“負”ということでもないんですけど、これとはちょっと違う『プリンセスメーカー史』なんです。
「ラストのオルゴールが素晴らしかった」(コメント)
ありがとうございます。
あのオルゴールを覚えているということは、実際に『サイレントメビウス』をやって感動したということですよね。
・・・
ガイナックスのゲームというのは3段階あって、一番最初は『電脳学園』というゲームから始まったんです。
これはもう、単純なクイズゲームなんですね。
「クイズに勝ったら画面の中の女の子が服を脱いでくれる」という脱衣ゲームなんですけども、絵が良いということで、それなりに評判になりました。
「クイズに勝ったら画面の中の女の子が服を脱いでくれる」という脱衣ゲームなんですけども、絵が良いということで、それなりに評判になりました。
これが、“オーストラリア侵攻作戦”の第1弾だったんですね。
まず、オーストラリアのネズミたちを駆逐するために、女の子が脱ぐだけのゲームを作ったんです。
まあ、「ただし、うちのゲームの女の子の脱ぎはハンパないぞ!」っていうゲームなんですけど(笑)。
まず、オーストラリアのネズミたちを駆逐するために、女の子が脱ぐだけのゲームを作ったんです。
まあ、「ただし、うちのゲームの女の子の脱ぎはハンパないぞ!」っていうゲームなんですけど(笑)。
そして、第2弾は、アドベンチャーゲームだったんです。
なぜかというと、当時の僕が、リバーヒルソフトというメーカーのアドベンチャーゲームがすごく好きで、あんな感じのアドベンチャーゲームをやりたかったからなんですけど。
そこで、『サイレントメビウス』という、当時 すごく人気があった漫画とコラボしてゲームを作ったんです。
「ゲームの中で人を泣かせる」という実験は、実は『プリンセスメーカー』が最初じゃないんですよ。
『プリンセスメーカー』の前に、この『サイレントメビウス』で、泣かせる実験をやったんです。
『プリンセスメーカー』の前に、この『サイレントメビウス』で、泣かせる実験をやったんです。
その結果、返ってきたアンケートを見たら「泣きました!」とか「ゲームで泣くとは思ってませんでした!」と書かれていた。
それを見て、「よし! これは行ける!」ということで、本格的な体制を組んで作り出したのが、『プリンセスメーカー』に関する裏面の歴史なんですね。
では、なぜそんなことを考えたのか?
それをこれから語ってみたいと思います。
・・・
ガイナックスの歴史というのはDAICON3のオープニングアニメから始まるんですけども、このDAICON3のオープニングアニメを見ると、なんとなく感動するんです。
だけど その感動の正体が何なのか、正直な話、作った人間は誰一人わかっていなかったんですよ。
「ラストの、音楽が盛り上がって新天地に向けて宇宙船がバーンと飛び立つシーンを見て、なぜ感動するのか?」っていうのは僕にも説明できない。
もちろん、庵野(秀明)にも、赤井(孝美)にも、山賀(博之)にも説明できない。
もちろん、庵野(秀明)にも、赤井(孝美)にも、山賀(博之)にも説明できない。
それを見た みんなは「感動した!」って言うし、楽しんでもらえたのは分かったんですけど、なぜ感動するのかが よくわからなかったんですね。
次のDAICON4のオープニングアニメも、感動みたいな あやふやなことは考えずに、とにかくクライマックスで庵野のすさまじい作画を見せようとして作ったんです。
音楽1曲に合わせてハイテンポなノリを作って、いわゆる当時のMTVみたいな作品をやろうと思って作ったんですけど。
やっぱりこれも、「感動した!」っていうふうに言われたんです。
ここで、「うん。感動したというのは わからんことでもない。確かに何か感動するんだけど、でも、それは一体なんだろう?」という大きな疑問が生まれたんですよ。
つまり、ガイナックスというのは、デビュー前のインディーズだったDAICONフィルムの時代から、自分達の中に「作ったはいいけど、なんで感動したのか分からん」という暗部を抱えていたわけですね。
これ、一見 いい話に見えるんですけど、全然 よくないんですよ。
つまり、これは「再現性がない」ということだからです。
つまり、これは「再現性がない」ということだからです。
なので、たとえば『八岐之大蛇の逆襲』とか、『早撃ちケンの大冒険』とか、『怪傑のーてんき』とか、『愛國戰隊大日本』みたいに、「あれ? 同じフォーマットで作っているはずなのに、ちっとも感動しねえよ」っていう作品も、いっぱいあるわけですよね(笑)。
・・・
『王立宇宙軍 オネアミスの翼』という、ガイナックスのデビュー作にあたる2時間くらいある劇場映画を作った時に目指したのは、言葉にできない感動だったんですよ。
要するに、今で言うところの『スリー・ビルボード』みたいな映画を作ろうとしたんです。
「感動というのは言葉にならないものなんです! 見た後で、なんかわからないけど、すごかったって思ってもらえれば、映画はそれでいいんです! なぜ感動したのかがわかるように作った映画なんて安物です!」という山賀くんの発案もあって、すごく分かりにくい作品を作ったんですね。
ところが、出来上がった『オネアミスの翼』というのは、確かに、『スリー・ビルボード』的なテイストもあるんだけども、普通のアニメっぽいテイストもかなりあるという、なんというか、中途半端で微妙な作品になりました。
……あの、これは僕だから言えることですよ?
こんなこと、俺以外のヤツが言ったら絶対に許さんのですけど(笑)。
こんなこと、俺以外のヤツが言ったら絶対に許さんのですけど(笑)。
そこで、「もっとわかりやすく感動させなきゃいけない!」ということで、ガイナックスの “感動をつくるプロジェクト” というのがスタートしたんです。
これは、僕自身が主催者として始めたんですけど。
とにかく、『オネアミスの翼』の時に、みんなが感動してくれたのかどうかすらわからなかったし、返ってくる感想もモヤっとしていたことに懲りたので、ちゃんと実験して、検証して、繰り返し作り出せるようにしようという目的のもとに始まりました。
とにかく、『オネアミスの翼』の時に、みんなが感動してくれたのかどうかすらわからなかったし、返ってくる感想もモヤっとしていたことに懲りたので、ちゃんと実験して、検証して、繰り返し作り出せるようにしようという目的のもとに始まりました。
その第1弾が『トップをねらえ!』なんですよ。
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よい質問は、よい回答にまさる、と言われます。
みなさんの質問で、僕も予想外の発想ができることも多いです。
だから僕は、質疑応答が大好きです。
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