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「ガイナックスの “感動を作ろうプロジェクト”・前編 【なぜ感動するのか分からないところから始まった】」
その人が描いた、『プリンセスメーカー』というゲームの開発秘話のインタビュー漫画が話題になっています。
これは、お便りのコーナーへの投稿としていただいたんですけど、「漫画の内容としては、岡田さんが『遺言』で書かれたものとそう変わりありませんでしたが、岡田さん視点でプリンセスメーカーの思い出、または、続編の2や、ゲーム開発に関する裏話があったら教えてください」というふうに聞かれましたので、今日は一応、これについて話してみます。
「プレイヤーを泣かそう」岡田斗司夫の発案に赤井孝美が出した答え。
それは、“みんなちがってみんないい”感動できる育成シミュレーターだった【若ゲのいたり】
まあまあ、この漫画では「その結果、大評判になりました!」というような、いい話として紹介されています。
これが、赤井孝美が語る“正のプリンセスメーカー史”だとしたら、僕が今から語るのは“負”ということでもないんですけど、これとはちょっと違う『プリンセスメーカー史』なんです。
ありがとうございます。
あのオルゴールを覚えているということは、実際に『サイレントメビウス』をやって感動したということですよね。
「クイズに勝ったら画面の中の女の子が服を脱いでくれる」という脱衣ゲームなんですけども、絵が良いということで、それなりに評判になりました。
まず、オーストラリアのネズミたちを駆逐するために、女の子が脱ぐだけのゲームを作ったんです。
まあ、「ただし、うちのゲームの女の子の脱ぎはハンパないぞ!」っていうゲームなんですけど(笑)。
そこで、『サイレントメビウス』という、当時 すごく人気があった漫画とコラボしてゲームを作ったんです。
『プリンセスメーカー』の前に、この『サイレントメビウス』で、泣かせる実験をやったんです。
その結果、返ってきたアンケートを見たら「泣きました!」とか「ゲームで泣くとは思ってませんでした!」と書かれていた。
それを見て、「よし! これは行ける!」ということで、本格的な体制を組んで作り出したのが、『プリンセスメーカー』に関する裏面の歴史なんですね。
では、なぜそんなことを考えたのか?
それをこれから語ってみたいと思います。
だけど その感動の正体が何なのか、正直な話、作った人間は誰一人わかっていなかったんですよ。
もちろん、庵野(秀明)にも、赤井(孝美)にも、山賀(博之)にも説明できない。
それを見た みんなは「感動した!」って言うし、楽しんでもらえたのは分かったんですけど、なぜ感動するのかが よくわからなかったんですね。
音楽1曲に合わせてハイテンポなノリを作って、いわゆる当時のMTVみたいな作品をやろうと思って作ったんですけど。
やっぱりこれも、「感動した!」っていうふうに言われたんです。
ここで、「うん。感動したというのは わからんことでもない。確かに何か感動するんだけど、でも、それは一体なんだろう?」という大きな疑問が生まれたんですよ。
つまり、これは「再現性がない」ということだからです。
なので、たとえば『八岐之大蛇の逆襲』とか、『早撃ちケンの大冒険』とか、『怪傑のーてんき』とか、『愛國戰隊大日本』みたいに、「あれ? 同じフォーマットで作っているはずなのに、ちっとも感動しねえよ」っていう作品も、いっぱいあるわけですよね(笑)。
「感動というのは言葉にならないものなんです! 見た後で、なんかわからないけど、すごかったって思ってもらえれば、映画はそれでいいんです! なぜ感動したのかがわかるように作った映画なんて安物です!」という山賀くんの発案もあって、すごく分かりにくい作品を作ったんですね。
こんなこと、俺以外のヤツが言ったら絶対に許さんのですけど(笑)。
とにかく、『オネアミスの翼』の時に、みんなが感動してくれたのかどうかすらわからなかったし、返ってくる感想もモヤっとしていたことに懲りたので、ちゃんと実験して、検証して、繰り返し作り出せるようにしようという目的のもとに始まりました。
その第1弾が『トップをねらえ!』なんですよ。
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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