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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「一つの時代を作ったミレニアム・ファルコン号とディスカバリー号」

2017/12/20 06:00 投稿

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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2017/12/20
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今回は、ニコ生ゼミ12月08日(#208)より、ハイライトをお届けいたします。


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 「一つの時代を作ったミレニアム・ファルコン号とディスカバリー号」


 ついに出ました。

 メビウスモデルっていうメーカーが出した『2001年宇宙の旅』に出てきた“宇宙船・ディスカバリー号”のプラモデル。

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 Amazonで、もう発売されてるんですけど。

 これ、もう、本当に、頭がおかしいんですよ。

 箱を空けると、ひたすらパーツがギッシリ入っているんですけども、もう、同じような形のパーツばかりが何百と入ってて。説明書を見ると……戦車とかのプラモデルでもよくありますよね?「転輪を○個作る」みたいな説明が書いてあるんですけども。

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 このプラモの説明書にも、「プラズマエンジンの部品として、ノズルのパーツを3個作る」と書いてあります。

 ここまではいいんですけども。次の項目には「これを6個作る」、その次には「9個作る」、また「9個作る」、「18個作る」、「10個作る」……っていうふうに、ひたすら同じようなパーツをいくつもいくつも作らされるようになってるんですよ。

 結局、そうやって作った全パーツを、一つ一つ、鉄の棒に順番通りに差し込んでいくことで組み立てる、というようなキットで。

 まあ、本当にすごいんですよ。もう、色も全部、自分で塗るしかないですよね。

・・・

 これだけ精密なキットなんですけど、映画に出てきた本物のディスカバリー号に比べると、正直、ディティールにしても何にしても、まだ足りない。

 「もう、こうなったら、とにかく塗装で上手く誤魔化して表現するしかないなあ」と思っているんですけど。

 このキットが届いてから、すぐにAmazonプライム動画で『2001年宇宙の旅』のディスカバリー号のシーンをチラッと見たんですよ。

 その実物のミニチュアにはね、全然、届かないわけですね。


 それもそのはず。実物のミニチュアっていうのは、一番大きいもので全長10m以上あったんですよね。

 球体部分だけでも直系1m以上あって。

 そこに、ものすごい精密なモールディングや、塗装までして作られているんです。


 本当に、いくつもの階調にわけられたグレー、いろんなトーンの白で塗ってあるんです。

 そんなものを大スクリーンで見てしまった当時は、「白一色の宇宙船って、なんて美しいんだろう!」と思ったんですね。

 『2001年宇宙の旅』というのは、SF映画における宇宙船のデザインについて、やるところまでやってしまった。

 まあ、その逆張りをしたのが、やっぱりこの『スター・ウォーズ』のミレニアム・ファルコンというやつなんですけどもね。

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・・・

 この『2001年』も、『スターウォーズ』も、宇宙船のデザインについては、それぞれ、エポックメイキングな映画ではあるんですよ。

 『2001年宇宙の旅』のディスカバリー号っていうのは、それまでのSF映画に出てきた、ロケット型とか円盤型とか、金色だったり金属ビカビカだったりしたデザインを変えてしまった。

 スタンリー・キューブリックが作ったこのSF映画でも、製作の途中段階までは、わりとそういった路線のデザインだったんですけど、実際に、手下をNASAに見学に行かせてから、大きく変わっていったんです。


 これね、スタンリー・キューブリック自身が見学に行くわけじゃないんですよ。
 あいつ、飛行機に乗るのが怖くて「俺はロンドンから一生出ない!」とか言ってたんですね。

 そういう都合で、『アイズ・ワイド・シャット』という、トム・クルーズがニューヨークの街で悶々とするという映画の撮影でも、わざわざ、ロンドン郊外にニューヨークのセットを作ったんですよ。

 『フルメタル・ジャケット』というベトナム戦争の映画を撮った時にも、ロンドン郊外にベトナムを作っちゃったほどで、そんな監督なんですけど。


 NASAに手下を行かせて資料を取り寄せたら、そこで実際に採用されていた宇宙船というのが、それまでのSF映画によくあったし、キューブリック自身もそう思っていた、“銀色のロケット”みたいなものではないということがわかった。

 「そうじゃなくて“白”なんだ」と。


 この宇宙船が白い理由というのは、「当時、NASAが採用していた断熱塗料の色が白だったから」なんですけども。

 これについては、実際は時代によって変わってきていて、後の時代に作られたアポロ宇宙船では、表面が銀色に戻るんですね。


 だけど、一時期のマーキュリーからジェミニカプセルあたりまでは、一人乗りのマーキュリーカプセルが黒、ジェミニカプセルが白だった。

 それぞれの時代ごとに、カラーリングと、「なんでそのような色になったのか?」っていう理由が変わってくるんです。


 『2001年宇宙の旅』を作っていた頃は、ちょうどジェミニ宇宙船の時代だったので、NASAの取材を通じて得た「宇宙船の将来は白であるべき!」という強いコンセプトで、真っ白な宇宙船というのをデザインしたんですね。

 こういった、これまでの映画に出てきた宇宙船と全く違ったディスカバリー号が作られたことで、それまでの映画にあったような金色や銀色ビカビカのロケットデザインというのが古びてしまった。

 『金星ロケット発進す』とか、『月世界最初の人間』のような、それまでの、SF映画が全部古びてしまったんですよ。

 それが、1967年くらいの話です。

・・・

 しかし、この、永遠に続くかと思われた「『2001年宇宙の旅』の宇宙船デザインはものすごい!」という天下は、実際は10年くらいしか続かなかったんですね。

 なぜなら、1970年代の後半に『スター・ウォーズ』の第1作が公開されから。

 この時に、今度は、この“ミレニアム・ファルコン号”でわかるように「汚れた宇宙船」というコンセプトが打ち出されたからです。

 まあ、実際には、「ファルコンが世界で初」と言うよりは、元ネタがあるんですけどね。


 ジョージ・ルーカスが南カルフォルニア大学で映画を学んでいたのと同時期に、自主製作映画を作っていたダン・オバノンという“魂の戦士”が、既に、汚れた宇宙船を自分の作品内で出していたんです。

 彼は『ダーク・スター』という映画を作る時に、「汚れた宇宙船の中で、スニーカーを履いた宇宙飛行士たちが嫌々ながら任務をこなしている」という、後に『エイリアン』や『ブレードランナー』の世界に繋がるような世界観を作っていたんですね。

 そういったイメージの発展型として、ファルコン号のような汚れた宇宙船が出来上がったわけです。


 その結果、ディスカバリー号の登場によってそれまでのSF映画の宇宙船が古くなったのと同じように、ファルコン号以降では「宇宙というのは、とにかく汚れている」というイメージが定着して、宇宙船をデザインする上でのポイントも「どんなふうに汚しているのか?」になっちゃった。

 そのおかげで、『スター・トレック』の“エンタープライズ号”についても、しばらく出番がなくなってしまった。古くなっちゃったような感じがしますね。


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