“スタジオぬえ”という会社は、1970年代~80年代ぐらいに出てきた、すごい作家性を持ったメカデザインや設定の会社です。
この会社は、二つの世代で出来ています。
第一世代は高千穂遙・加藤直之・宮武一貴 などSF小説を読んでいる世代。
そして、その下の「アニメを作りたくて、この業界に入ってきた」という第二世代。
だから第二世代の人たちは、アニメ用のデザインが大好きなんです。
ところが第一世代の人たちは、別にアニメが好きなわけじゃなくて、SF的なデザインやメカニックが好きで始めた人たち。
なので、ちょっとした価値観の違いがあるんです。
そんな第一世代の人たちがやっていた『宇宙戦艦ヤマト』とか『機動戦士ガンダム』を作っていた時代は、ファンのセンスをプロが取り入れなかった時代なんですね。
どんなにセンスが無くてダサくても、有名な業界の先生がロボットや宇宙船のデザインをしていた。
そんな所に“スタジオぬえ”の人たちが入ってきた。
これは僕の推理なんですが、“スタジオぬえ”の人たちは、“SFエリート主義”をドンドン出していって、現場でやや嫌われていたと思います。
なのでこの第一世代は、アニメ業界の中では浮いていました。
それに比べて第二世代は、もともとアニメ大好きですからアニメに抵抗が無かった。
特に河森正治がやりたがったのは、「出来るだけリアルな飛行機をロボットに変形させたい」という事。
それまでの飛行機の変形ロボは、いかにもロボットに変形しそうな飛行機だったんですね。
でも河森正治は“F-14”という最新鋭の戦闘機を、そのままロボットに変形させた。
これが宮武一貴という第一世代のデザイナーには絶対に出来ない。
なぜなら「バカらしい」から。
「飛行機がロボットに変形して、何の意味がある?」って思っちゃうわけですね。
でも河森正治は「お約束でしょ?」って納得しちゃうんです。
第一世代は自分たちで仕切って作品を作る事が無かった。
でも第二世代になると、自分たちのデザインをそのままに監督までするようになったんです。
“スタジオぬえ”とは、アニメ業界で初めてアマチュアのセンスを導入した例なんです。
僕は第一世代の「意味の無いこだわり」が凄く好きだし、第二世代の「でもアニメが好きなんだもん!」という気持ちもよく分かる。
なので“スタジオぬえ”に遊びに行った時は、どちらかの世代の人たちと話しているとき、もう片方の世代の人たちから睨まれていました(笑)。
【まとめ】
“スタジオぬえ”はアニメ業界で初めてアマチュアのセンスを導入した例です。
第一世代と第二世代で出来ており、アニメ監督までするようになったのは第二世代からです。
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