だんだんと「アニメファンがアニメしか見なくなった」っていうことが起こり始めた。
“セグメント分け”というのかな?
みんなが自分のカテゴリーを決めちゃって、そこだけしか見なくなるという現象が、アニメージュの創刊で加速した。
氷川さんはこの中で、冗談めかして、「だからこれは鈴木敏夫さんのせいでもあるんだよね」って語ってるんですけどもね(笑)。
こういうセグメント分け以前の状況を、氷川さんは“雑食文化”というふうに呼んでいます。
つまり、漫画も読むし、テレビも見るし、アニメも見るし、特撮も見る。
そういう「なんでもかんでも見てやろう!」という気持ちでないと、当時の子供文化っていうのは楽しめなかったんですね。
ところが、そういう雑食文化であったところから、専門職文化に変わってきた。
アニメファンだったらアニメばっかり見るようになってきた。
そして、それに応えられるように、アニメの本数もどんどん増えてきた。週に10作品とか20作品しかない時代から、週に50作品60作品が放送されるようになってくると「アニメしか見ないで楽しむ」ということも可能になる。
さらにこの流れはYouTubeなんかの動画サイトで加速するんですね。
さらに、今の時代では子供の成長に合わせて見せるアニメは、ほぼ決まってしまっている。
「幼児の頃は『アンパンマン』を見せておいて、子供が大きくなってきたら『クレヨンしんちゃん』とか『コナン』を見せて、小学校の高学年くらいになってきたら『ジブリ』を見せておけばいい」というように、もう今、アニメの中だけでも、子供の成長に合わせて、見せるコースがほぼ決まってきている。
これも雑食文化を完全に終わらせてしまった原因の一つだって、この『熱風』の中で、氷川さんがインタビューに答えています。
こういった雑食文化の衰退というのが、僕が面白いと思った話の一つ目です。
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