『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』を買いました。
これは定価が9800円だったかな?
だから税込みで10600円ぐらいするんです。
箱を開けると、ムチャクチャ大きい本が出てきます。
一万円の商品のクセに通販のカタログみたいなのが付いてきます(笑)。
そこから布張りの本が出てきて、シン・ゴジラの台本が出てきます。
ウワサでは電話帳ぐらいの大きさがあると聞いてたんですけど、そこまでではありません。
色は黒に統一されていて、やりたいことは分かります。
本の内容ですが、最初は高すぎると思ってたんですよ。
あまりこういう商売が好きではないので、正直あまり薦めるつもりが無かったんです。
というのも、プロットや企画書までぜんぶ入ってるんだ。
それはいいんだけど、そんな物まで、すべて“いい紙”に刷っちゃってるんだよね。
だからもう凶器に仕えるぐらいメチャクチャ重い。
紙が分厚いから、すごく重いんだよ。
竹谷隆之(たけやたかゆき)さんが作った原型のページとかはいいんだよ。
だけど、この本の大部分ってインタビューとか文字資料なんだよ。
そういうのは薄い紙にして軽くしてくれればいいのに、こんな作りにしちゃったから重たくて高くなってるんだよね。
これはもう作り手のエゴ以外の何モノでもないよ。
だから「高いよなぁ」って話をするつもりだったんだ。
だけど、問答無用でいいページがいっぱいあるんだよ。
たとえば樋口真嗣(ひぐちしんじ)のインタビュー。
「俺がこんなに準備してたのに、庵野さんがすべて破壊しちゃったよ」とか。
「最初は庵野さんは脚本と編集だけって言ってたのに、どんどん現場に来て俺が決めた事を変えてるよ、どうしてくれるんだ!?」とか。
そんな泣き言が延々と書かれていて、とても良いんだよ(笑)。
この本の中でも素晴らしいのが、樋口真嗣が描いたゴジラの火炎放射のイメージ。
彼は本当に映像イメージが凄いんだよ。
まず下に向けて熱火炎を放つ。
熱で地盤が溶けて行く。
そうすると、ドロドロに溶けた地盤が熱炎によって押し流されていく。
向こうに地面が溶けて流されていく。
それによって基礎が緩んだビルは、次々に傾き、沈み込んで後ろに流されていく。
それで将棋倒しになって行くというイメージが語られているんだ。
これまでの映画クリエイターが思いついたイメージは、街が炎で燃えるとか、熱線でビルが破壊されるとか切断される止まりだった。
だけど樋口真嗣がやろうとしてたのは、「ゴジラが下を向いて火炎を吹いたら、どんな事が物理的に起こりえるのか?」を最もカッコいい形で見せようとしたの。
そのイラストが一枚載っていただけで、この本の一万円の元は取ったと思いました。
樋口真嗣の悲鳴も良かったけどね(笑)。
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