(前回の続きから)
西野君の炎上のいちばんコアな部分は、ある声優さんが「そういうことを売れている人がするから」みたいなことを書いて、それに対して西野君が反論してるからだよね。
その反論って、トランプ型の反論なんだよね。
トランプのポスト・ファクト主義の戦略というのは、ポスト・ファクトの時代だからこそ、相手が言ったことを限定的に取り上げて、それに対して言質をとるような言い返しの仕方をする。
勝つための論法をするんだよね。
この世の中を敵と味方に分けて、「俺の言ってることがわかる奴は味方。俺の言ってることがわからない奴はバカ」と、敵を部外者の扱いにする。
トランプは、こういう手法をよく使う。
基本的に勝ちたい人は、こういう論法を使う。
西野君もホリエモンも使ってる。
僕は彼らに言いたい。
「お前ら、勝つことよりも、愛されることを選べよ」って。
もう本当に、バカじゃないの?
「ディズニーを超えたい」なんて言うヤツが、勝つことだけを選んで、こんなに憎まれてどうするんだよ?
そう思うんだけどさ(笑)
トランプ型の反論は、メリットもあるんだよ。
今はもう、これだけポスト・ファクトだから、オピニオンしかないわけだよね。
去年の大統領選挙で、なぜトランプが勝ったのか?
それはもう実に簡単。
シンプルに言うと、アメリカの世論が“トランプ”と“アンチ・トランプ”しかなかったから。
“トランプ”対“ヒラリー”じゃなかったんだよ。
大統領選挙の時のアメリカは、“トランプ”対“アンチトランプ”だった。
この状況を作ってしまったら、もうトランプの勝ちなんだよ。
選挙でどっちが勝つのか?
これはもう偶然の産物なんだろう。
何対何で勝つのか、そこまではわからないよ。
ただ僕は、こんな状況を作ってしまった段階で、もうトランプの勝ちだったと考えている。
だからもう今は、この炎上は“西野ファン”対“アンチ西野”という状態が出来ちゃってるんだよね。
こう出来ちゃった以上、アンチ西野の人が、いかに精緻な論理を組んでエレガントに反論しようが、ツイッターで「こんなの無茶ですよ!」って言おうが、イラストで説明しようが無駄なんだよな。
ファクトが関係なくなってるんだもん。
なので西野君に対して効果的な反撃したければ、彼の絵本より売れる絵本か、素晴らしい絵本を作るしかない。
“素晴らしい絵本”というのは「バカでも分かる」というくらい良い絵本を作るしかないんだよな。
そうやって西野君 以上の話題を作るしかないというのが、このポストファクト主義。
ファクトが、ただ単に思想でしかなくなってしまった時代のあり方だと思う。
ヒラリーの敗因は「トランプはどうなのか?」という“問いかけ”しかできなかった所だと思ってるんだ。
だけど僕自身はトランプ型の、敵を想定して「こんなに敵は愚(おろ)かだ。さあ笑ってやれ」という論法は大嫌いなんだよね。
なので、そういうふうにムキになって書くときの西野君も、わりと嫌いなんだよ(笑)
反論を確固撃破して論破しちゃう手法は、負けず嫌いな人がついついやっちゃうんだ。
だけど、あれは男が下がるから本当はやめた方がいいと思うよ。
こういうことは本人に言った方がいいと思ってる。
なので3月のゲストに西野君を呼んだから、たっぷり聞いてみようと思う。
考え方として僕が出せるのは、「このように感情が沸騰している状態のポストファクト時代では、ファクトチェックというのは無意味なので、収まるまで待つのがよろしいのではないのかな?」と。
それによってクリエイターが食える食えないの問題が、今すぐどうにかなるわけじゃない。
それに感情的に反応して「じゃあ俺もタダにする!」とか「じゃあ俺は、西野を攻撃してちゃんとギャラをとる!」と思った方が、たぶん損すると思うからスルーですね。
そんな常識人的な、大人の話をしてしまいました。
【まとめ】
“西野ファン”対“アンチ西野”の図式が出来てるので、もう西野君の勝ちです。
しかし敵を想定した勝つための論法は、男が下がるので、やめた方がいいと思っています。
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