『君の名は。』が、ついにジブリ作品を抜いちゃったよね。
この作品は、これまでのビターな新海誠監督のドラマに比べて、砂糖をたっぷり入れて、ミルクも加えて滑らかにしたダークチョコぐらいの“さじ加減”なんだよね。
洋画の映画って、『ハリーポッター』の新作の『ファンタスティック・ビースト』を見た人は分かると思うんだけど、本当に内容が無いんだよね。
ただ、絵はものすごく本格的なんだよ。
『スターウォーズ』の新作の『ローグ1』も、予告編を見たら分かるとおり、メチャクチャ絵が本格的でしょ。
それに比べて邦画って、ああいう「本格的な高級感のある絵」が本当に作れないんだよね。
本当に珍しい風景を映すぐらいしか出来ない。
そんなのに比べて、ものすごいクオリティ、圧倒的に美しいルックがある。
それぞれの映画なりの「撮り方の個性」を、漫画家で言う「絵面」みたいな事を、映画では「撮影監督が持っているルック」って言うんだけど、新海監督はそういうルックを持っている作家なんだよね。
なので、ものすごく美しい画面が出せる。
中国でも大ヒットして、残念ながら3億円ぐらいの買い切りだったそうなんだけど、それでもチャイナマネーが大量に日本のアニメ産業に対して動いているらしい。
『君の名は。』って、総括すると21世紀の『ローマの休日』だと思うんだよ。
『ローマの休日』っていうのは、青春恋愛ドラマの原型中の原型。
世界中の人が知っていて、世界中の人が共感できる話としてハリウッドで作られた。
あの時代はスターが出てきて、みんなが行きたがる観光地としてのローマに行って、お姫様と新聞記者の恋愛を描くのが「世界恋愛映画」たりえた。
だけどもう今は、世界中の人が憧れる事が出来る21世紀の恋愛ストーリーというのは『君の名は。』みたいな作品だと思う。
出会いがあって、悲しい別れがあって、含みがあるラストシーン。
でも、基本的には『ローマの休日』が持っている枠組みを踏襲しているよね。
こういうワールドスタンダードな恋愛ドラマが日本のアニメから出来たのは、すごく嬉しい。
黒澤明の『七人の侍』以来の、世界の映画に対する影響とかショックを与える作品だろうと思ってるんだ。
なので『君の名は。』は世界でヒットして、おそらく『ローマの休日』のような存在になるのではないでしょうか。
いわゆる「恋愛ドラマといえば、何を見るのか?」という作品になるだろうと予想しています。
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