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「 『この世界の片隅に』が変えたアニメーションの未来」
『この世界の片隅に』に、一番ショックを受けたのはジブリの高畑勲さんだったと思う。
あの作品こそ、高畑勲が50年間かけてやりたかった事だよね。
それを片淵さんがパンとやってしまった。
みんな頭がいいから、この作品を見てどんな方向に努力をすればいいのか、何をやればいいのか、もうわかちゃったんだよね。
宮崎駿がやった方向は、みんなは走っていけないんだ。
ものすごく「個人の天才技」が要求されるから。
でも片淵さんのやり方は、個人の天才技というより、ちゃんとまじめに仕事をする「積み上げ」なんだよ。
宮崎駿は、すごいジャンプ力で高い場所のコインをポーンと取る『マリオ』。
そして片淵さんは、ちゃんと下から足場を組んでる『マインクラフト』だって事がわかる。
それにより、宮崎さんを超えたのが分かっちゃった。
ここから先の人は、無理に宮崎駿みたいな天才性を目指さなくてよくなった。
そうじゃなくて真面目にアニメ作れば、まじめに予算を集めれば、ちゃんとこんな作品できるのがわかっちゃった。
そうなると天才型の作家が、この先ものすごいしんどくなってくる。
ある種、片淵さんも天才なんだけどね。
でも、宮崎駿、庵野秀明、押井守みたいなエキセントリック・タイプの天才じゃないんだよ。
なので、『この世界の片隅に』は小さい話かもしれないんだけど、日本のアニメ業界の将来を全く変えてしまった。
『この世界の片隅で』は一作品しかないんだけど、これから派生物が次々と現れてくる。
『エヴァンゲリオン』が出たとき、「こんなアニメは『エヴァ』でしかできない」と誰もが思った。
でも、あっという間に、エヴァみたいな作品がいろいろとあふれたじゃん。
それと同じように、『この世界の片隅で』は、作れる作品なんだ。
他の人も、がんばれば作れる。
あそこまでの完成度じゃなくても、ある程度のレベルに届く作品。
なので、これからのアニメの作られ方・見られ方は、変わって行っちゃうと思います。
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