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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2016/12/02
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おはよう! 岡田斗司夫です。

今日は、毎日新聞11月29日の夕刊に掲載された、岡田斗司夫のインタビュー記事から、抜粋してお届けします。

毎日新聞 特集ワイド
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「この国はどこへ行こうとしているのか トランプという嵐」


 「20年前、僕が予言した通りになったでしょう?」
 
 東京・吉祥寺の自宅兼事務所で、評論家の岡田斗司夫さん(58)は、宇宙関連など大量の蔵書に囲まれながら、ニコニコ笑ってこう言った。
 「今回の米国大統領選は『キャラ立ち選挙』。キャラの立たない政策重視のヒラリーが、キャラ作りに長けたトランプに負けたんです」

 岡田さんは1995年、著書「ぼくたちの洗脳社会」で政治家に「キャラ立ち」が求められる時代がやってくる、とこう〝予言〟した。

 <私たち(若者)にとって自民党だの議員歴何年だの、もとから政治畑で活躍だの、というギョーカイ的スペックはあまり意味を持ちません>

 「キャラ」とは英語の「キャラクター」(性格・人格)を省略した若者言葉。
 コミュニケーションの場で振る舞う役割のような意味で使われる。

 「まじめキャラ」「いじられキャラ」。
 
 若者はこれらを仲間の顔ぶれによって使い分け、円滑な人間関係を維持しているといわれる。
 でも「キャラ」で政治をやるわけでなし。

 ところが岡田さん、「世界中を見渡してくださいよ。今や政治家はキャラ立ちが不可欠です。フィリピンのドゥテルテ大統領しかり、ロシアのプーチン大統領しかり。首相を直接選挙で選ばないので見えにくいけど、日本だって……」。

 安倍晋三首相が?

 「そう。あんなにキャラの立った首相は小泉純一郎元首相以来。だから支持率も落ちない。『何がなんでも憲法改正。ジイチャン(岸信介元首相)の志を継いで、日本常備軍』。わかりやすいキャラでしょう?」

 実は岡田さん、まだトランプ次期大統領が共和党候補になる前の昨年秋、「『トランプ大統領』もあり得る」と指摘していた。
 「彼が一番キャラが立っていた」からだ。
 大統領選投開票日の1週間前にもニューヨーク州に行き、「トランプ勝利」をほぼ確信したという。

 選挙の数日前、マンハッタンの映画館で、映画監督マイケル・ムーア氏がクリントン氏への投票を呼びかけたドキュメンタリー映画「トランプ・ランド」を観た。

 「彼の別の映画を現地で見た時は、拍手や歓声がすごかった。でも今回は客の入りも少なく、拍手も歓声もほとんどなかった」。

 ハロウィーンパレードでは「ヒラリー」の横断幕を掲げるクリントン支持者と出くわしたが「数十人程度で、勢いが全然なかった」という。

 10月に行われた3度のテレビ討論会も、岡田さんの目にはクリントン氏の失敗に映った。

 「ヒラリーが高笑いする顔を見て負けたと思いました。『オジサンをやり込めて悦にいるオバサンの図』でしたから」
 ではヒラリー氏がトランプ氏のお株を奪うほど「キャラ立ち」できる秘策はあったのか。
 岡田さんは一つあったと言う。

 「討論会で、トランプがビル・クリントン元大統領のスキャンダルを突いた場面があったでしょう? もしもヒラリーが『そうよ、夫はホワイトハウスで女子大生に手を出すろくでなしよ。でも支えてきたの。大統領になるために。大統領になれたら離婚してやるわ!』と言い放ったら、翌日のメディアはヒラリー一色です。それで彼女が勝ったかどうかは別にしても」

 一方、トランプ氏は「『4回破産し、立ち直った』などと弱点をさらけ出し、『不屈の男』というキャラ作りに成功した。あの変な髪形もキャラ立ちに貢献している」と説明する。

 大富豪のはずのトランプ氏が、不満をためた中間層の受け皿になりえたのも、政治家経験のなさと暴言癖という2大弱点を武器に転換するキャラを作ったから、と分析する。

 「政治家経験がないから、既存の政治にNOを突きつけるキャラを印象づけられた。また、彼の暴言はメディアで毎度取り上げられ、ツイッターでは賛否両論、彼についての書き込みばかりが増殖し、話題の量でヒラリーを圧倒した。『暴言王』になることで、ポリティカル・コレクトネス(差別や偏見を避けた表現)に疲れた時代に『本音でモノを言える男』というキャラ作りに成功したのです」

 でも、クリントン氏は獲得票数ではトランプ氏を上回っていたではないか。

 「いいえ、彼女を積極的に支持する『ヒラリー票』より『アンチトランプ票』が多かったのでは? 選挙後、大規模な抗議デモに参加した人の全員がヒラリーに投票したのかな。彼らは『ヒラリー支持』より『トランプ不支持』。主役はずーっとトランプでした」


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