2016年の夏は歴史上初めて『ジブリ』『ディズニー』『日本テレビ』の3社が負けたというのが、僕の観点です。
それではジブリの敗北の経緯と原因を分析してみようと思います。
みなさんもご存知『レッド・タートル』
公開した映画館の数は124館。
『聲の形』を公開した映画館が120館だから、まあまあ多いんですよ。
しかし『レッド・タートル』はランキング圏外で、ベスト10にも入れずです。
第一週の興行が3300万円だったという、たいへん悲しいニュースも入ってきています。
『聲の形』は初登場2位で、2億8000万。
『レッド・タートル』よりも少ない映画館数だった。
それなのに『レッドタートル』は3300万という、すごい悲しい話になっています。
実はジブリって、こんなの今に始まったことじゃないんですけどね。
『かぐや姫の物語』は制作費52億に対して、興行収入が24億円程度だったということもありました。
なので、まぁいいんじゃないかと思います。
この「何千万の興行収入」とか、「制作費」って、みんなは意味がわからないと思うんですよね。
僕が『オネアミスの翼』を作った時に、「映画1本作ったら、どのくらい僕らの所に返ってくるんですか?」と聞いたんですよ。
その答えは「正確に言うと返ってこない」なんです。
『オネアミスの翼』も『トップをねらえ』も、当時は「バンダイが作ったアニメ」ということになっちゃったんですね。
出資がバンダイだから。
なので、映画を興行したらお金が入るのはバンダイだけ。
ガイナックスは、制作費を最初にもらったらそれで終わり。
ただ、それでも気になったのは、「出資した金額以上のお金が儲かったら、また第2弾、第3弾があるよ」と言われた事なんです。
『オネアミスの翼』って映画は、3億6000万くらいかかってるんですね。
じゃあ、その3億6000万がバンダイの所にちゃんと返ってきて、「出資してよかった」となる為には、いくらぐらい興行収入がなければいけないのだろう?
そもそも、興行収入・配給収入って、どういうふうに違うんだろう?
そう思って、まとめてみました。
『オネアミスの翼』の時に聞いた数字と、今とそんなに変わらないんですね。
まず「興行収入」とは、「映画館に入るお金の総売上」のことです。
1800円の料金で100万人が見ました。
ジブリの売上は??
1800円×100万人で18億円。
これが興行収入です。
そのうちの半分が、配給収入。9億円。
配給会社に入るお金です。
そのうちのさらに半分、4.5億円がジブリの売上です。
DVDとかブルーレイは考えてません。
日本テレビとかでオンエアするときは、配給収入の10%と言われています。
つまり配給収入で10億あるんだったら、放映料が3~4回分くらい。
もしくはむこう何年間で、1割くらい。
つまり1億円です。
これが業界の慣例(かんれい)だそうです。
DVDの売上は最近あまり、カウントに入れないところが多いですね。
『君の名は。』は興行収入が150億と言われてるので、配給収入は75億。
75億円の10分の1だから、7.5億。
本当に、ありえないような数字になるかもわからないですね。
ただこれも業界の慣例なので、強い会社なら「配給収入10%」と言えるんですね。
つまりジブリの鈴木さんみたいな、強い人がついてれば言える。
たとえばスタジオジブリなら、「これから毎年アニメを作りますよ」と昔なら言えたので、「配給収入10%で3年間縛り」とか、「3回きり」とか言えたんです。
でも『君の名は。』は東宝なので、そこまで強いことが言えるか僕にはわからない。
配給収入で配給会社は会社の利益にして、おまけに宣伝費にしてます。
よくスポーツ新聞とか、雑誌とかで載っている映画の宣伝の費用がここで払われます。
あとは、よくある芸能記者や映画記者とかの接待に使われたり、パーティに使われたりとか。
あとジャンケットがありますね。
たとえば映画祭のレッドカーペットで俳優さんが挨拶したりするじゃないですか。
ああいう所に、俳優さんや監督さんを連れて行って、おまけにスポーツ新聞の記者・芸能欄・映画欄の記者とかも連れて行く事をジャンケットっていうんです。
それも配給会社の宣伝料の中に入ってます。
それで、ようやく4.5億円がジブリの売上なんですけど、ジブリの特徴って映画自体の宣伝を日テレでやりますよね。
あれは配給会社の宣伝じゃないんです。
なので、あればジブリの持ち出しの宣伝ということになる。
ただし、ジブリの場合は出資元の中に日本テレビも入っている。
なので比較的、日本テレビがギリギリの値段でテレビ宣伝をやってくれる。
だから助かってると思います。
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