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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2016/11/09
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おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、僕が昔、レギュラーをやっていた『マンガ夜話』について話します。

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「『マンガ夜話』ってなに?番組作りに難しかったキャラ配列のバランス」


 『マンガ夜話』とは、13年ぐらい前までNHKで続いていたシリーズです。

 大月隆寛さんという人が司会をやっていて、いしかわじゅん さんと、夏目房之介と僕とがレギュラーをやっていた。
 そして、毎回ゲストが来て、漫画のことを語っていたんです。

 こんな感じの配列になっていました。

 ○大月隆寛・進行。作者の思いを代弁。
 ○いしかわじゅん・どの方向で努力しているのか?
 ○岡田斗司夫・「わからない」担当。イレギュラーな切り口。
 ○夏目房之助・作品の位置づけ。特殊性。
 ○ゲスト・愛や思い入れ。


 役割としては、大月さんが熱く語るんですけども、基本的に進行をしてくれる。
 
 いしかわじゅん が、暴言を吐いたり断言をする。
 具体的に言えば「コイツはマンガが下手だから」とか「コイツは絵が下手なんだけど」と、バーンと決め付けてくれる。

 そして、夏目さんが分析的に語る。
 「この作品は、漫画の歴史では、どこにポジショニングするのか?」という。

 そして、僕がイレギュラー担当という事になっていた。
 こういう番組を作る時に、いちばん危険なのが「スタッフの全員が、その漫画をわかっちゃう事」なんだよね。

 “漫画”っていうのは、10万部売れたら大ヒットなんだ。
 ところがNHKって、日本全国でオンエアされるから、視聴率がたとえ5%でも500万人が見てるわけなんだよ。

 大ヒットでも5万部10万部の媒体と、低視聴率でも500万人が見ているメディアとか混ざっちゃうと、ついつい誤解が発生しちゃう。
 出演者の全員がその漫画を読んでいるし、「この漫画は有名だから」と、みんなが知っている事を前提で話しちゃうんだ。

 だけど、たとえば『ワンピース』でも、単行本が一巻 出るたびに100万人程度しか読んでないんだよ。
 そしたら視聴率5%の低視聴率番組でも、5人に1人しか読んでない事になっちゃうんだよね。

 なので、「大半の視聴者はその漫画を読んでいないし、おそらく一生、読まないだろう」という前提で番組を作らなきゃいけない。

 ところが番組の中では全員が読んでるから、「みんなが読んでいる」事が前提でどんどん話しちゃう。
そうなるとマズいので、誰かが「よくわからない人」というのを担当しなきゃいけないんだよね。

 毎回 呼ぶゲストは、その漫画が好きな人が来るから、当然その漫画を読んでいる。
 「それじゃ、わからない人は俺がやろうか」という事で、自然に岡田斗司夫は「わからない」担当になった。

 特にやらなきゃいけなかったのが、少女マンガの回なんだよね。
 いしかわじゅんさん は、世代的に少女マンガがすごく好きだから、マンガ夜話の作品を選ぶ時に少女マンガが必ず多めに入るんだ。

 マンガを4つ取り上げたら、1つか2つは少女マンガ。
 そうすると僕はそのマンガを読んで、「これ、よく分からないんです」とか「何が面白いんですか?」とか「僕はちっとも面白くありませんでした」って言う担当になる。

 ところが、それを言うだけだったら、単に芸人さんがチャチャを入れてる感じになっちゃうでしょ。
 つまり、これは「少女マンガを読まない男性の視線」だったり、「読んで一生懸命に分かろうとしたんだけど、分からなかった男性」という、いい感じの線を狙わなきゃいけないんだ。

 でないと、ただ単に「そんな意見もあるけど、このマンガは面白いよね」って進行しちゃう。
 
 という事で、この番組を作る時は、キャラ配列のバランスがすごく難しかったんだ。


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