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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「『真田丸』9月18日放送、『信之』の見えない構造を解説」

2016/10/23 06:00 投稿

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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2016/10/23
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おはよう! 岡田斗司夫です。

9月18日放送の『真田丸』の話をします。
『信之』の回ですね。

この回の“見えない構造”について、お話します。


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「『真田丸』9月18日放送、『信之』の見えない構造を解説」


 この回の内容は、徳川家康が自分に逆らった真田昌幸お父さんと、主人公の信繁を殺そうとする話ですね。
 家康は最初から「真田親子は殺す」と決めてたんですよ。

 だけど真田家の長男の信幸と、本多忠勝が「彼らを助けてください!」と言ってきたんです。
 それで殺すのをやめる代わりに、真田親子を追放することにした。

 オマケに信幸に、「父親との縁を切れ」と命令した。
 それが、大きい話の流れです。

 このお話には、大泉洋の演じる真田信幸がいて、そこに藤岡弘が演じる本多忠勝が来たんです。

 信幸は家康に助命嘆願しに大坂に行こうとしていた。
 そこで本多忠勝は、それを止めようとしていたんです。

 でも結局、なぜか本多忠勝は「それでは俺も信幸と共に行く!」と、味方になってくれた。
 これは伏線なんですよ。

 土下座して「父と弟を助けてください!」という信幸に対して、当然ながら、家康の返事は「ノー」。
 「真田親子には、死んでもらう!」と言うんですね。

 そこで本多忠勝がキレるんです。

 「そんな事をおっしゃるなら、私は婿殿と一緒に、殿に戦いを挑みます!」
 「婿殿の親の命を守ろうとする行為は、子供として当たり前じゃありませんか!」
 「そんな事も分からないのなら、あなたと戦って、討ち死にして見せましょうぞ!」

 そこまで忠勝に言われた家康は、「しょうがないな」と笑って、真田親子を殺すことだけは勘弁してあげるんです。

 「その代り、真田親子は追放な」と、「あと信幸は名前の“幸”の一文字をお父さんから貰ってるから、それを捨てろ」と。
 「親子の縁を切れ」と言われるんです。

 それに対して信幸は涙を流して悔しがる。

 そして家康が去った後に、本多忠勝は信幸と同じように涙を流しているんです。
 でも彼は悔しいわけではないんですね。
 「生まれて初めて、殿に逆らった」と言って、涙を流しているんです。

 それを見た大泉洋が、また涙を流すという感動のシーンなんですね。
 この感動のシーンは、4つの親子関係が出て来ているんです。

 1つ目は真田信幸の、「父・真田昌幸の命を助けたい」という親子関係ですね。

 2つ目は本多忠勝と娘の稲の親子関係。

 これは娘の稲が、夫の信幸が家康の側に着いたので、昌幸が「城に入れろ!」と言った時も、「入れることはなりません!」と意地を通した話。
 忠勝は、そんな筋を通した娘に感動したからこそ「婿を護る!」という決意ができた。

 そんな伏線がでてくる。

 3つ目は、本編の中では語られてないんですよ。
 それは「なぜ家康がそこまで真田親子を殺すことにこだわったのか?」という話なんですね。
 実はこれも親子関係なんです。

 家康には秀忠という子供がいます。
 徳川家の二代目将軍になるヤツですね。

 そいつが、“頼りない”からなんですよ。

 家康は戦を命じていたのに、またしても秀忠は真田にしてやられた。

 秀忠にも言い分はあるんです。
 「私は、あのまま戦えば勝ててました!父さんが『今すぐ関ヶ原に来い』と言わなければ勝てたのに・・・」と。

 家康は「あー、この息子は、ダメなのかな」と思いながらも、自分が死んだ後のことを考える。
 「今、俺が滅ぼそうとしている豊臣家はどうだ?」と。

 「“豊臣秀吉”という超スターがいなくなったら、徐々に空中分解しているじゃないか」

 2代目が頼りない。
 子供で頼りない。
 
 それもある。

 しかし、ここで息子を護るためには、息子と戦った真田親子は絶対に殺さなきゃいけない。
 そうしないと、自分が死んだあとに秀吉の二の舞になると分かってる。

 つまり、息子の秀忠を護るために、真田親子を殺さなきゃいけない。
 それが関係的に明らかなんです。
 ですが、ドラマの中では家康は悪役だから、それを描けないんですね。

 家康は、あくまで憎々しげに振る舞わなければいけない。
 だけど関係は、構図的に明らかなんですよね。

 4つ目は家康と本多忠勝です、

 本多忠勝は、一度も逆らったことのない殿に逆らって、自分の子供を護ったんです。

 それを見て真田昌幸は感動した。
 だけどその後、お父さんの真田昌幸に「あなたは追放されます」って伝えに行くと、昌幸から「それでも俺の息子か!役立たず!」と言われるんですね、

 せっかく命を捨てて、義理のお父さんが一回も逆らったことのない家康に逆らってくれて、やっと命がつながった。
 自分もお父さんの名前“幸”を捨てなければならない。

 そこまでしたのに、「それでもおまえは俺の息子か!役立たず!」という本当のお父さん。
 それと、実の親のような殿・家康に逆らってくれた、義理のお父さん。
 そんな全体の親子関係を描いているんですね。

 この回では4種類の親子関係を描いてあるんですが、「これが正しい親子関係」というのはないんですよね。

 自分の息子に「役立たず」という、真田のお父さんも正しい。
 自分の息子可愛さに、真田親子に死刑と言いたい徳川家康も正しい。
 全員が正しいことをしている。
 そんな切ない構図が、『真田丸』のハイドラマたる所以だと思います。


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