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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2016/10/21
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おはよう! 岡田斗司夫です。
今日は週刊アスキー『岡田斗司夫の ま、金ならあるし』の記事から、セレクトしてお届けします。

最初からの一気読みはこちらです→http://goo.gl/L10s6c

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◆岡田斗司夫の最終ビジネス(12)
  

 空前の予算で企画を進めていた第22回日本SF大会DAICONⅣ。
 そのクライマックスにふさわしい企画「大阪フィルハーモニーによるSF音楽の夕べ」は問題続出だった。

 僕が大好きな『ウルトラセブンのテーマ』、これはどうしてもはずせない。
 フルオーケストラ編成ので聞けたらどんなにすばらしいだろうか。

 しかし、いくら探してもオーケストラ用譜面など見つからない。
 すっかりヘソを曲げてしまったNHKプロデューサーに聞いても無視されるだけ。

 困り果てた僕は日音に相談した。
 ゼネラルプロダクツで企画するウルトラシリーズのグッズ・模型の商品化窓口が赤坂見附の日音だったからだ。

 日音。
 いかにも音楽に関係してそうな社名ではないか。

 藁をもすがる思いで担当・内藤さんに電話をしてみると、NHKのプロデューサーが言ったことは本当だと教えてくれた。

 TVの特撮ものの曲は、予算も低いので、30~40名程度の楽団編成で演奏されている。
 130名編成の譜面はこの世に存在しない。

 「でも」と内藤さんは明るい声で言った。
 「任せて下さい、岡田さん。日音はそっちが本業なんですよ!」

 なんとウルトラセブンの作曲家・冬木透氏に連絡して、130名編成用に編曲を頼んでくれた。
 今までは、編成を減らしてくれという注文しか受けたことがなかった冬木氏は大喜びで仕事を受けてくれた。

 というわけで、なんとか希望曲の譜面が集まった。

 まさか本当に譜面を調達してくるとは思わなかったのだろう。
 プロデューサーがあきれた顔をしながらも、受け取ってくれた。

 そして本番前日のリハーサル。
 今まで聞いたこともないほど豪華なウルトラセブンのテーマやゴジラが聞ける。

 僕は期待に胸ふくらませて会場に入った。
 が、リハが始まったとたんに、愕然とした。

 違う!
 全然違う!

 自分が知っているウルトラセブンと、ニュアンスが全然違うのだ。

 「パ~ンパ~パ、パ~ンパッパ、パッパパ~、パッパパ~!と始まるはずが、「プワ~ンプワポンポンポンポン」とすごく歯切れが悪い。
 
 颯爽としていない。
 聞けたもんじゃない!

 「違います!」
 僕は思わず叫んでいた。

 「そうじゃない。
 最初の音、もっとはっきり強く。
 ウルトラQはモノクロの国産初のSF本格ドラマ、続くウルトラマン は目の覚めるようなカラーの怪獣痛快ヒーロー譚。
 そしてこのウルトラセブンは、円谷プロが世界に向けて総力を挙げて問うた、未来社会の侵略と防衛を描いた、テレビ番組史上類例のないSF超大作です。
 冬木徹のホルンの音は来るべき21世紀の予感なんです。
 わかりませんか?」

 指揮者も演奏メンバーもぽか~んとしていた。

 しまった!
 こいつら、モーツァルトの楽曲解釈なら一晩中でも語れるくせに、ウルトラセブンに関しての知識は皆無なんだ!
 
 つまりオーケストラのプロでも、SFの素人!

 こんなウルトラセブンじゃ、こんなホルンじゃ21世紀はこない。
 大金かけたこの企画、まさかの失敗か?


以上、『岡田斗司夫の ま、金ならあるし』よりお届けしました。


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