おはよう! 岡田斗司夫です。
東京の大物SFファンはそう言い放った。
「困るなぁ。SF業界の慣例を知らない者にひっかき廻されちゃあ」
そんな情報どこにも書いてなかったけど、それぐらいは”伝統あるサークルに属していれば”知っていて当然の常識だそうだ。
後輩のしつけもできないのか、と東京ファンから散々、イヤミを言われたらしい。
小さいイベントでもやってろ?
ようし、やってやる!
本家のSF大会よりおもしろいイベントにしてやる!
開催日は名古屋SF大会の一週間前。戦いのゴングは鳴った。
ひと夏に二回のSFイベントは多すぎる。
しかも名古屋SF大会の一週間前だ。
内容もアピールに乏しかった。
SF大会は公認イベントだから安心感もある。
有名なSF作家も大勢参加する。
どちらか一方に参加するなら、誰もがSF大会にするだろう。
舞台から見下ろすと、ほとんどが空席。本当にガラガラという印象だ。
負け惜しみを言わせてもらうと、内容的には健闘したと思う。
参加者からの評判も上々だった。
名古屋SF大会が例年と変わらぬマンネリプログラムで不評だった分、業界内で僕たちの地位は上がった。
八十万円。
学生にとっては笑い事ですまない金額だ。
僕は親に頭を下げ、借金を申し込んだ。
返済方法は実行委員会メンバーで話し合い、一人十万円と決めた。
十万円なんて大金、払いたくないに決まっている。
現実問題として、返さなくても誰も困らないのだ。
僕以外は。
結果、実際に返してくれたのは二人だけ。
残りはすべて言い出しっぺの僕が丸1年、ガードマンのバイトで支払った。
大赤字のSFショーはひとつだけ遺産を残してくれた。
「あいつら、やるじゃないか」という業界での評価だ。
僕たちは来年度の日本SF大会の開催権を勝ち取り、「81年は大阪SF大会 DAICON IIIで」とぶちあげた。
定員千二百人はあっという間に埋まり、来る日も来る日も、我が家の郵便ポストには定額小為替が束になって届いた。
これだけの予算があれば、なんでもできる!
浮かれきってる僕たちに、なんとも甘美な提案が持ち上がった。
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