おはよう! 岡田斗司夫です。
アイドルのおっかけにはまっているヤツは、夜行バスや激安航空券情報にやたら詳しくなる。
劇団に所属して熱心に活動しているヤツは、短期日払の割高バイト情報にやたら詳しくなる。
ご多分に漏れず、僕も大学時代、若さゆえの情熱のせいでイヤになるほどの貧乏を経験した。
バイトで稼いだお金は全部SF小説を買うのにつぎ込む。
そんなことは僕にとって「当たり前」で、苦労とも貧乏とも思わなかった。
ところが、僕が熱中していたのはSF小説だけでなく「SF」という活動すべてだった。
SF映画やSFアニメ、そしてなによりSFファン活動。
そのファン活動の頂点として僕たちの上に君臨していたのが「SF大会」だ。
SF作家の先生方もゲストできてくれるが、基本的には学生を中心としたボランティアだけで自主的に運営する、というところは学祭に似ている。
イベントのレポートがSF専門誌に掲載されたりもして、華やかだ。
大阪の片隅でそんなレポートを読むしかなかった僕にとって、心からあこがれるイベントだったのだ。
勢いこんだ僕は入学式の翌日、SF研究会に入会し、木曜には「やたら熱い一年生が入会してきた」と先輩たちをビビらせ、その週の土曜には関西中の大学SF研究会の連合組織・関西SF研究会連盟、通称「関S連」の大集会に出席していた。
そこにいきなり登場した、やたら生意気な一年生が「関西のSFファンの力を結集して、大阪でSF大会を開催しましょう」とぶちあげたわけだ。
他大学の先輩たちは、一年坊主がいきなりやってきて、場違いなほど熱苦しく語り倒すのを、あきれ返って見守るばかりだった。
するといきなり、大学SF研OBから呼び出された。
「お前ら、なんちゅうことをしでかしてくれたんや!とにかく東京へ行って謝ってこい!」
ビッグ・ネーム・ファン、つまり業界内で有名な影響力の強いファンのことだ。
有名なのにファン?
それはなんだ?
首をかしげながら、僕たちは夜行バスに飛び乗り東京へと向かった。
待ちかまえる大説教が、僕たちを超貧乏に叩き込むとは知らずに
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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