おはよう! 岡田斗司夫です。
どうもカッコ悪い。
「僕の村は戦場だった」というカッコいい題名の映画があるから真似しようと思ったのに。
内職から会社を興し拡大させた両親は、核シェルター付の巨大な邸宅を造った。
僕の部屋は三階で、姉が嫁に出たあとは50平米以上の空間を独り占めしていた。
やがて隣の土地も買い工場ができて、三階同士が連結されてショールームになり、実質的に僕の部屋は3つ、合計100畳を越えた。
食事を奢り、酒を出し、寝具を用意した。
つまみやオヤツも切らさなかった。
賞味切れ寸前の核シェルター備蓄食材だったけど。
みんなの泊まり込み日数が一ヶ月を超える頃から、母はあからさまに不機嫌になった。
「斗司夫はみんなに利用されてる」「たかられてる」と愚痴るようになった。
アニメスタッフの庵野秀明、赤井孝美、山賀博之の三人が我が家に泊まり込み準備を持ってやってきたのだ。
三人とも、いかにも「温泉旅館の長期逗留客」っぽい荷物持ってる!
他のスタッフはカバン一つで、いかにも「今晩は帰れなくなっちゃった〜。泊めてもらえませんか〜」みたいな格好なんだけど、この三人は違った。
すると三階から山賀の声が降ってきた。
しかし無類の見栄っ張りである。
深呼吸ひとつで落ち着きを取り戻し、税務署員すら騙される猫なで声で「もう入れるわよ〜」と返事する。
残った庵野にも母は声をかける。
そう、この当時彼は「数ヶ月に一度しか風呂に入らない男」として有名だったのだ。
清潔好きの母親が目をむくと、さらに庵野は続けた。
うん、君には悪気はない。
でも僕のママン、ちょっと怖い人なんだよ!
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