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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の解決!ズバっと 2016/04/10
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おはよう! 岡田斗司夫です。

昨日のメルマガで朝日新聞『悩みのるつぼ』の相談文をお届けしました。
今日は、いよいよ回答文もお届けします

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相談 「占いに負けない意思がほしい」

 23歳の女性です。
 現在、仕事を辞めて、昔からの夢である漫画家を目指している者です。
 
 このたび、知人に「よく当たる占い」というのがあるというのを聞いて、行ってきて占ってもらいました。
 私は占いを見てもらうのは初めてだったのですが、占い師さんはいかにも「占います!」みたいな厚化粧で、紫のローブを着たおばさんでした。
 そこで、「夢である漫画家について可能性はあるかどうか」を占ってもらいました。
 すると、「あんたにはオーラがない」「何も感じない」ときっぱり言われてしまいました。

 「何を根拠に?」と半分憤ったのですが、確かに自分の漫画は、自分でもパッとしない絵柄で、ストーリーを中心に描くという自覚がありました。
 私自身、あまり信じたくはないのですが、占いに行った日以降やる気が起きません。

 このままでは、あの嫌な感じのおばさんの言った通りになると思うのですが、「どうせパッとしないし……」と、つい思ってしまいます。
 占いは「当たるのも八卦、当たらぬも八卦」と言いますが、そんなもののせいで、今自分の夢に迷いが生じています。
 自分の情熱はこの程度のものだったのか、と自分で自分が分からなくなってしまいます。
 
 占い師だろうと何だろうと、人の言われたことを押し切るような強い意志が欲しいので、何かアドバイスをくだされば幸いです。

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岡田斗司夫の回答文


 占いでネガティブなことを言われると落ち込みますよね?
 「怪しげだ」と思っても、どうしても相手に言われた言葉が振り払えない。

 そんな状態を「呪(しゅ)にかかる」と言います。
 呪とはオカルト的な「呪い」だけではありません。
 
 身内に不幸があったり、恋愛で振られたり、なにか「不条理な不幸」に襲われて、気持ちが抜け出せない状態。これが「呪(しゅ)にかかる」です。

 呪(しゅ)から抜け出すには儀式が必要です。
 誰かが死んだなら、ちゃんとお葬式をあげる。
 振られたり試験に落ちたなら、飲み会をひらいて思いきりグチを言う。
 
 現代人が軽視しがちなこういう儀式には「呪(しゅ)を抜け出す」という大事な役割があるんです。
 
 そこで、マンガ家としての自信を取り戻し、同時に呪(しゅ)を跳ね返す儀式を考えました。
 あなたが出会った占い師は厚化粧でローブを着て、根拠もなく人を決めつける。
 つまり「キャラが強い」。
 対するあなたはストーリー中心、つまり「キャラが弱い」。
 
 思い切って、そのオバサン占い師が登場するマンガを描いて、キャラの強化をはかりましょう。
 主人公は「憑きもの落とし」の心理カウンセラー。
 
 マンガ家の女性(あなたの分身)から依頼を受け、ネガティブ占いで大もうけしているオバサンの館に乗り込み、そのウソを暴露します。
 そして振り返り、依頼主のマンガ家に「クリエイターに必要なのは根拠ある自己批判ではなく、根拠の無い自信! 占いに行くヒマがあったらマンガを描け!」と一喝してやるのです。
 このマンガの見せ方やキャラを考えていると、占い師に言われた言葉も、あなたの中で「ただの登場キャラのセリフ」に昇華します。
 同時に「根拠のない占いにぐらついた自分」もマンガに登場させて、主人公からアドバイスさせましょう。
 
 「自信を失った自分」へのアドバイスを、私に言わせてはダメです。
 それでは呪(しゅ)は落ちない。
 
 自分で作った物語の中で、自分自身にアドバイスしてください。
 自分自身の悩みなんです。そのアドバイスは、きっと「あなたの読者」に届くはず。
 
 大事なのは「落ち込まない意思」ではありません。
 落ち込みを回避する儀式など、創意工夫です。
 
 そのマンガを読める日、楽しみに待っています!