東京・羽田空港の国際線増便に伴って、同旅客ターミナルの拡張新施設が3月30日にオープンしたが、その中に新たに「祈祷室」が設けられた。事実上ほとんどが無宗教者――というか、熱心な宗教信者がいたとしても仏教や神道が多い日本では、決まった時間に祈祷をするという習慣に馴染みがないのでちょっとピンと来ないところがあるが、欧州ではこういうことは当たり前で、例えばフランクフルト空港でトランジットスペースには、カトリック、プロテスタント、イスラムに分かれて祈祷室が設けられている。羽田空港の国際化が進み、年間6万回だった国際線発着が9万回に増えるに当たって、これは当然の配慮と言えるだろう。
★羽田空港の祈祷室のレポート:http://www.traicy.com/archives/8289398.html
成田空港では、以前から第1、第2旅客ターミナルの出国審査前エリアに「サイレンスルーム」が設けられてきたが、これでは分かりにくいということで、今年1月、祈祷室(Plrayer Room)に名称変更すると共に、特にイスラム教徒が礼拝前に体を浄めるための水場を増設、レストランでもイスラム法で合法と認定される「ハラール食」を提供するなど、マレーシアやインドネシアなどからの観光客受け入れに積極的に対応しようとしている。
★成田空港公式サイト:http://www.narita-airport.jp/jp/guide/service/list/svc_79.html
また関西空港でも4月15日から、これまで一般エリアに1カ所あったムスリム向けの祈祷室を拡充し、トランジットエリアに2カ所増設した。さらに福岡空港も4月25日から、ムスリム向けの祈祷室を設け、ハラール食の提供を開始した。
★関西空港:http://www.kansai-airport.or.jp/bf/ins/service/safe/pray/index.html
★福岡空港(読売):http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20140425-OYS1T50041.html
東京五輪に向けて、和式のおもてなしが基本となるのは当然だが、同時にアジアや世界にはいろいろな文化や宗教を持つ人々がいて、その人たちの流儀を重んじながら迎える心がけもまた、おもてなしの一部である。(孟)
●《高野孟のTHE JOURNAL》
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