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「パンクラスイズム横浜」設立! 北岡悟のとても優しいインタビュー

2016/02/01 00:00 投稿

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「不安だったんですよ、最終コーナーを回って走ってる自分が。勝ち負けはべつにして、結局ゴールの先が見えないじゃないですか」

閉鎖されることになったP’s LAB横浜(パンクラス横浜道場)を「パンクラスイズム横浜」として引き継ぐことになった北岡悟。パンクラスで育ち、パンクラスを巣立っていった北岡がいまこのタイミングでパンクラスの名を冠するジム経営を手掛ける理由を聞いた。





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――閉鎖することになったP’s LAB横浜、いわゆるパンクラス横浜道場ですが、場所をそのままに北岡さんが責任者として「パンクラスイズム横浜」としてリニューアルオープンすることになりました。このジム経営のお話はいつ頃から動かれていたんですか?

北岡 パンクラスの徳留(一樹)戦の2週間前くらいですね。

――あの試合は11月1日でしたから、10月半ばのことですね。

北岡 「横浜を閉める」という話を聞いて「ジムをやってみようかな」と思ったんですけど。そのときは横浜のあの場所でやるということじゃなくて、パンクラスの看板を使ってジムをやったら面白いんじゃないかと思ったんですね。

――場所も引き継ぐことになりましたけど、最初はパンクラスという看板を使ったジムをやりたいという考えだったんですね。

北岡 そうですね。P’s LAB世田谷はあるんですけども、そこはちょっと毛色が違うというか。横浜がなくなってしまうと、パンクラスの本丸がなくなってしまう感じがしますし。

――北岡さんの中にジム経営をやってみたい気持ちはあったんですか?

北岡 あんまりなかったんですけどねぇ。まだ現役のファイターということもあるし、面倒くさがりなんで。

――現役中のジム経営はなかなか難しいといいますよね。

北岡 そうですね。やってる人も多いんですけどね。トップ選手だと日本では金ちゃん(金原正徳)くらいしかいないですけど。ジムをやると集中力が削がれて「腕が落ちちゃうんじゃないか……」って思いますよね。

――練習や試合に集中できないんじゃないか、と。

北岡 その不安がデカイし、いまの時点でも準備とかでそれは感じているし。だから今回の件を格闘技選手の自分にどうプラスに持っていくかが勝負ですよね。多くの人は、自分の年齢もあって落ち着かせどころとしてのジム経営だと思ってるかもしれないですけど。

――年齢は36歳になりますね。

北岡 あと、たくさん戦ってきてることもありますね、なによりも。60戦近くやってますし、ここ数年はパンクラスやDEEPでメインを張らせていただいてますし。だから……「何か文句あるのか」って感じなんですけど。

――文句を言う人がいるんですか?(笑)。

北岡 それでも言う人はいると思うんですけどね。

――北岡さんが戦ってきた時代は、競技や興行が整備されていないこともあって、格闘技のあり方が常に揺らいでる時代ではあったじゃないですか。その中で60戦近く戦うって凄いですね。

北岡 まあ、逆にこれ以外の生き方はしてきていないから。で、自分の中でもこないだの試合で負けた直後は「もうそろそろ……」という気持ちもあったんですよ。

――つまり現役から退く時期なんじゃないか、と。

北岡 だけど、1ヵ月くらい過ぎると、いろんなことにムカついてきて、やり返してやりたいなって。いろんなものに対して見返してやりたい。そう思いつつも、パンクラスのジムをやると動いていた手前もあるし。

――名称を使うことはパンクラス側とも話はされたんですよね。

北岡 パンクラスの名前を使うということで、酒井(正和)さんと話をしなきゃいけなかったんですけど、パンクラスの興行スケジュールが忙しいこともあって、話し合いができたのは12月の末だったんですよ。それで年明けに横浜道場の大家さんと家賃の交渉をして、いままでより安く借りれることになったので。本決まりになったのは1月8日なんですけど、あくまでファイター中心の生活に変わりはないです。

――北岡さんは所属するロータス世田谷がある千歳烏山に住んでますけど、横浜までかなり遠いですよね。

北岡 烏山と横浜を行き来する生活にしますけどね。烏山の部屋を借りたまま、ここでの週2の練習と週1の指導は続けて。横浜はボクがバリバリ指導するわけじゃなくても、週5〜6はジムにいるようにして。向こうでも練習はします。二重生活をします。

――ライフスタイルが大きく変わりますね。

北岡 でも、練習はちゃんとできると思いますし、自分の都合に合わせたスケジュールで動きますし。まあ、わかんないですよ、やってみないと。そういう部分では甘くは見ていないです。

――新たな挑戦にワクワクはしないですか?

北岡 ワクワクはしていないです(苦笑)。いやあ、そういうノリではないですね。現実を向き合う感じですね。

――お金もかかりますしねぇ。

北岡 もちろん。16年も使った施設なんでボロボロなんですよ。リングの代わりにケージを置いて、ジムの中もキレイにして。ジムはトントンでやれればいいかなって。「それじゃダメだ」ってみんなに言われるんですけど。でも、赤字だった場所でやるわけですからね。

――10月半ばから動き出して、どのへんから現実的な話として受け止めました?

北岡 現実的……なんていうんですかね、できないことはないなと思いました。できないことはないけど、いま思えば、ファイターとしてまとめの時期に入ってるから、こういうことを考えたんだなって。

――第二の人生を考え始めたと。

北岡 徳留戦が終わったあと、鈴木(みのる)さんに「ボクはパンクラスを出ていった人間ですけど、パンクラスの看板を使っていいですか?」という話をしにいったんです。鈴木さんは看板に関しては好きにしていいよ、と。そのとき「ジムのことを考えてから試合で負けた」って口にしたら、鈴木さんは「関係ないよ」と言ってくださったんですけど。

――「先のことを考えちゃうと負ける」という。

北岡 あれですよ、いろんな要素の中のひとつですよ。それが決定的な原因だと言ってるわけじゃなくて。

――心構えとしての話ですね。

北岡 そうそう。だから、先のことはあんまり考えないようにはしてきたんですけど。これでジムを始めたからって「一生ジムだけをやっていきます」というわけではないので。先輩からも言われてるんですよ。ジムの先生のまま年寄りまで生きられるわけじゃないからねって。

――別の名前でもジムを始めることもできたわけですから、パンクラスの看板へのこだわりもあったんですよね。

北岡 こだわり……そうなんですかねぇ?

――違うんですか。

北岡 うーん、まあ、好きなんでしょうねぇ。

――「大好き!」と言えないけれど。

北岡 いまって「好き!」って簡単に言う奴が多いじゃないですか。大して好きでもないのに愛を発信する奴が多いですよね。

――まあ、愛情をデコレートしておけば聞こえはいいですよね。

北岡 「大好き? ホントかよ?」って思いますもん。ホントに好きならツイッターに書けないと思うんですよね。

――いいじゃないですか、書いても!(笑)。

北岡 いやあ。

――北岡さんはそうはしないってことですか?

北岡 そういうことですね。「好き!」と言ってもリスクを背負わなかったりね。

――リスク!! えっと、もっと軽くていいんじゃないですかね(笑)。

北岡 好きならリスクを負うんじゃないですか。

――たとえば、この映画は好きだけど、鑑賞者が製作にリスクを負う必要はないですよね。

北岡 あー、なるほどなるほど。そこは映画のチケット代やDVDにお金を払うってことですよね。

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