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 大晦日RIZINの曙vsボブ・サップの再戦は厄介な試合である。元横綱と当時人気絶頂だった怪物のK−1ルールによる対決は、いまから12年前――2003年の大晦日『Dynamite!!』で行なわれ、NHK紅白歌合戦の視聴率を民放番組が初めて上回る快挙を成し遂げた。その一方で、あまりの内容のなさとあいまってゼロゼロ年代格闘技界の視聴率主義を象徴するカードとして、我々の心に黒い影と笑いを差し込んでいた。 
 その再戦を、K−1のライバルイベントだったPRIDEを運営してきた榊原信行氏が全面に立つRIZINがマッチメイクする。格闘技復興を掲げたRIZINが視聴率獲得のために手を伸ばしてもなんら不思議ではない。では、プロレスラーとしての地位を固めつつある曙はなぜ再戦は受けたのか? そこには12年間にわたる曙の執念があった。




「俺もおもいきりプロレスがやりたいですよ!」


――プロレス転向後、プロレスラーとして高評価を受けている曙選手が、再び格闘技に出られるということでプロレスファンは驚いてるんですよ! 失礼な言い方になっちゃいますけど「もう格闘技はいいんじゃないか」と。

 いや、格闘技っていっても今回だけですよ。それに俺はこれからもプロレスラーですし。でも、12年前の大晦日にボブ・サップに負けたことへの思いはずっとあったんですよ。「くやしい」「つらい」という気持ちをずっと持っていたからプロレスを続けられたところもあるんです。だからこれからもプロレスをやるためにも、この試合はやっておかなきゃいけない。これ、正直な気持ちなんですよ。

――今回のRIZINもサップとの再戦だから受けたところはあるんですね。

 オファーが来たときもサップだったら受けると。ほかの相手だったらやらない。格闘技界に足を踏み入れたのはサップ戦だったし。これは偉そうに言うつもりじゃないですけど、相撲界でも実績を残してるし、プロレス界でも実績を残してきた。実績を残していないのはここ(格闘技界)だけなんで。

――そこはずっと心残りなんですね。

曙 それはありますね。

――サップに負けて曙選手の人生も何か変わったところはあるんですか?

 サップに負けて? いや、自分の人生に何か変わったことはないんですけど。いつもどおり前を向くしかないなって。でも、サップにあんな負け方したら、ハワイに戻って誰もいない島に隠れて生活してもよかったわけだし。

――それほどの負け方だった……と。

 そうじゃなくてね、倒されても立ち上がって前を向いて進むしかないということです。プロレスに行ったときもプロレスファンは最初、決して温かくは迎えてくれなかった。でも、やるしかなかった。

――プロレスファンの冷たい反応は肌で感じました?

曙 もちろんです。最初は客寄せパンダというか……。

――でも、曙選手の頑張りでプロレスファンの評価も変わっていったと思うんですよ。

 もちろんそこも感じましたね。きっかけは浜亮太が全日本に入ったことですね。

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