事情通Zがプロレス業界のあらゆる情報を線に繋げて立体的に見せるコーナー「プロレス 点と線」。今回のテーマは歴史的ズッコケ試合となった藤田和之v諏訪魔の初激突について!(聞き手/ジャン斉藤)




――天龍源一郎引退興行、凄い盛り上がりでしたね!

事情通Z 大盛況でしたねぇ。引退興行ってセレモニーだなんだで試合以外の催しもので長くなるもんだけど、至ってシンプルな構成。中継もPPV、パブリックビューイング、新日本プロレスWORLD、ニコニコ生中継と多種多様で。

――ニコ生の解説が川田利明だったんですけど、かつて三沢光晴が「一言多い」と川田さんを評したどおりの破壊力でしたよ。「オカダ・カズチカはハッスル仮面オレンジだったという噂なんですよ」「菊タローって、えべっさんをやってた人でしょ? 」とかホントに一言余計で(笑)。

 ウワハハハハハ。試合でしっかりと見せてセレモニーはあっさりという感じがよかった。唯一あの試合を除いては……。

――藤田和之vs諏訪魔ですねぇ。

 なんだか悲しい試合だったなあ。

――ああ、ホントに悲しい試合でした。大会終了直後は怒りしか沸かなかったんですけど、あの2人の置かれた立場を想像したらなんかもう悲しくて悲しくて。極端なことをいえば、IGFも全日本も藤田和之vs諏訪魔の絡みでしばらくは凌ごうという計算はあったじゃないですか。IGFもこれまでメインスポンサーだった大手パチンコメーカーのバックアップがどうなるか不透明ですし。

 苦しいながらIGFがボンバイエを開催するのであれば、メインカードは藤田vs諏訪魔しかない。

――天龍さんの引退興行を大晦日の動線にするなという批判の声もあるかもしれないけど、そこは「俺がやるしかない」という藤田選手なりのプロレス愛ってあったはずなんですよ。小川直也も今後IGFに出るかどうかもわからないし。

 IGFと全日本、両方とも切羽詰まってることはたしかだよねぇ。切羽詰まりすぎて対抗戦もかたちにならないのか……。

――かつて90年代・新日本の対抗戦がやり方が上から目線でえげつないと言われていたけど、新日本には余裕があったから対抗戦として上からコントロールできた。お互いに余裕がないと迷走しちゃうんだっていうこの悲しさ。貧すれば鈍する者同士の対抗戦ってキツイんだなあ……。

 進むも地獄、退くも地獄。進んだみたら大地獄が待っていたわけだけど。それにしたってほかにやり方はあったはずだよね。

――小佐野(景浩)さんの連載インタビューでも何度か触れられてますが、天龍さんの“革命”というキャッチフレーズの意味合いって、それまで花相撲的だった地方巡業プロレスを改革したところもあった。「テレビは予告編、会場でタップリとお見せしますよ」と。

Z 地方の体育館でも全力投球。

――その天龍さんの引退興行で「続きは大晦日で」みたいな試合をやるとは……。藤田和之って大一番でフルスイングしてくれないですよね。チョークスリーパーを仕掛けてそのままフォール負けした佐々木健介戦、なんちゃってシュートの小川直也戦もそうですけど。こういう炎上試合があると「良くも悪くもファンの感情を揺さぶったら勝ち」とか妙な理屈でフォローする声が上がるですけど、なんかもう物議を醸す質が悪いだけですよね。

 「話題になったもん勝ち」とかそういう話じゃないよね。

――マズいラーメンを食べ残して店主に「良くも悪くも客の感情を引き出した俺の勝ち」とか胸を張られても困りますって話で。

 ハハハハハハハハ! 藤田選手がファンの怒りを引き出したのが計算づくならまだしもねぇ。ブーイングを浴びて「ああ、気持ちがいい」とか悲しくなっちゃいますよ……。


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