「〇〇あるある早く言いたい」ネタなどでおなじみのお笑い芸人レイザーラモンRGだが、ゼロゼロ年代中盤のプロレスファンからすれば、伝説のプロレス団体『ハッスル』“陰の主役”としてハードな受け身を取るプロレスラーとしての姿が懐かしい。先日、その『ハッスル』で共に笑いと涙を振りまいてきた安生洋二が引退。その引退興行にRGがサプライズ登場して「Uインターあるある」を披露したが、感動と興奮冷めやらぬその翌日――RGに『ハッスル』の思い出と、プロレス者としては黙っていられないあの話題、世Ⅳ虎vs安川惡斗を見立てていただきました! 早く言いたい!!
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――本日はRGさんが「前田日明」として登場された安生洋二引退興行についてうかがいたいんですが、先日RGさんはツイッター上で女子プロレスの世Ⅳ虎vs安川惡斗戦に反応されてましたね。
――大チャンスですか!
RG ボクたちはプロレス的な物の中に見え隠れする感情にワクワクしてきたじゃないですか。それはたとえば長州さんの「嚙ませ犬」発言や、新生UWF神社長の「大仁田さん、チケット持ってますか?」発言とか。
――その中の一つが「また来た!」ということなんですね。
RG いますぐロッシー小川さん(スターダム代表)に会って「女子プロ、面白いですね!」って絶賛したいです。なんならスターダムのマッチメイク会議にも参加したいですよぉ!
――マッチメイカーRG、爆誕!
RG ボクは立命館大学で学生プロレスをやってきて、そのサークルには一つ下の棚橋(弘至)も入っていたんですけど。大学のときからプロレス漬けの生活で、ビックマッチのときは京都から東京まで試合を観に行ったり、珍しい試合のビデオが手に入ったら皆で見て。もういろんなジャンルのプロレスを見まくってました。“プロレス予備校”に4年間通っていて、いろんなプロレスの科目を勉強してきたわけですよね。
――90年代は様々なプロレス格闘技が生まれた時期ですから、科目がドッと増えた時期でもありますよね。
RG シルクロードじゃないけど、いろんなプロレス文化がファンのもとに向かってきてましたね。最初はみんな“猪木科”と“馬場科”。棚橋は“猪木科”が終わったあとに“藤波科”を進んで。僕とHGは“アメプロ科”を選択したわけですけど(笑)。当然女子プロレスも大好きで。いまだに1994年11月20日東京ドーム「憧夢超女大戦」のチケットを持ってますからね。観に行けなかったんですけど。
――全女最後の全盛期の頃ですね。
RG あの頃はすべての興行を見に行くのに忙しくて。新日本の福岡ドームの『レスリングどんたく』前日に、福岡でJWPの興行があったんで前乗りしてJWPも見に行ったりしてましたよ。
――そんなRGさんからすると、スターダムの世Ⅳ虎vs安川戦は大チャンスだと。
RG 久しぶりにいろんな人間から、あの試合について聞かれました。スポーツ新聞にも大きく載ったので、プロレスを最近見てない人たちからも反応があって。こうやって注目されることはチャンスだと思ってます。世Ⅳ虎選手は“平成のダンプ松本”になれるチャンスだし、安川選手もストーリーを作れるし、あの試合にはドラマがあった。プロレスを知らない人にしたら、どの団体が何をやってるかわからないけど、それってエジプトの象形文字がわかるときと一緒だと思うんですよ。何文字かわかるとズバババッてそこに書いてある意味がわかるようになるみたいな。
――知らない人にとって、取っ掛かりがあれば違ってくるんでしょうね。
RG 「世Ⅳ虎」という解読方法を持ったら、世Ⅳ虎選手から、いまの女子プロレスの状況がズバババってわかるチャンスだと思うんですよね。試合がああなってしまった原因はどうあれ、これは女子プロの「ラッスンゴレライ」が出たわけですよ!
――ど、ど、どういう意味ですか!?(笑)。説明するまでもないですけど、ラッスンゴレライは最近大ブレイク中の「8.6秒バズーカー」の持ちネタですね。
RG まず最近のお笑い界をざっくりと説明すると、「はねるのトびら」「M-1」「エンタの神様」というお笑いを支え続けてきたバラエティ番組が終わってしまい、「R-1」「THE MANZAI」「キングオブコント」はあるんですけど、そこでチャンピオンになったとはいえ簡単には売れない状況が続いてる中、馬鹿売れしたのがラッスンゴレライです。
――王道の売れ方ではないんですね。
RG そこは「あったかいんだから〜♪」のクマムシでも良いんですけど。うまかったり、華があるからと言って世間に刺さるわけではないというのが、お笑い業界に18年にいてわかるんですよ。うまさや面白さだけでは世間に受けるかどうかはわからない。女子プロ界もかわいい選手、凄い試合をする選手はたくさんいるんでしょうけど、世間に刺さったのは、今回の試合だと思うんですよ。プロレス業界的には批判もされている試合ですけど、とにかく刺さってしまったんです。
――ラッスンゴレライもネット上では「つまらない」という声に溢れてますが、世間に刺さってますね。
RG そこは関係ないんですよ。世の中って「面白い」「つまらない」だけじゃないんです。選ばれるのはそこだけじゃない。なぜいま世Ⅳ虎対安川戦をラッスンゴレライで例えたかと言うと、“プロレス予備校”で習ったことのひとつに「何か起きたらとにかく転がしていく」という教えがあるじゃないですか。これは“新日本プロレス科”で習ったことですけど。
――小川直也vs橋本真也の“1・4事変”も突発的に起こりましたけど、あの事件を転がしたから拡がっていきましたね。
RG そうなんですよ。だってラッスンゴレライのおかげで、吉本興業の幕張、大宮、沼津などの各劇場が超満員になってますからね。
――ラッスンゴレライ効果で満員札止めですか!
RG ラッスンゴレライを見るために劇場にたくさんのお客さんが詰めかけている。ラッスンゴレライをきっかけにして「あ、こんな芸人もいるんだ」「こんな場所でお笑い見れるんだ」って知ってもらえればいいんですよね。
――ボクも沼津に劇場があるなんて知りませんでした(笑)。
RG そういうことなんですよ。これに近い話でいうと、昔キングコング(西野亮廣、梶原雄太)がキャーキャー騒がれてるとき、ボクたちは「ケッ! 俺たちのほうが面白いことやってるぞ!」って僻んでいたんです。でも、皆が妬んでる中、ケンドーコバヤシさんだけが、キングコングに「ありがとう。おまえたちがこんなにお客を呼んでくれるから、自分みたいな人間も劇場に出れるんだ……」って感謝の言葉をかけていたんですよ。
――なるほど。アンドレ・ザ・ジャイアントやリック・フレアーが出るからフルハウスになって、ほかのレスラーのギャラが上がるのと同じ論理ですね(笑)。
RG そこはコバヤシさんもきっとプロレスに学んだことなんでしょうねぇ。だからラッスンゴレライを「面白くない」って言うのは簡単なんですよ。あと、ちょっと話が変わるかもしれませんが、テレビで「一発屋の収入がこんなに落ちました」って企画が嫌いなんです。一発屋って言って蔑む感じが嫌で。海外では「one-hit wonder」と言うんですけど、一発当てた偉い人って意味で。
――その人が一発当てたことによって業界も潤うからリスペクトしてるんですね。
RG 『エンタの神様』に出てた「ですよ。」って芸人がいるんですけど。
――「あ〜い、とぅいまてぇ〜ん!」の「ですよ。」ですね。
RG 「ですよ。」はいまメチャクチャ面白いんですよ。当時より大声でハイテンションで芸をやってて、それはまるでミル・マスカラスの必殺技クロスチョップのように「出たっ~!」って感じでお客さんが沸いてるんです。
――ロック様のピープルズエルボーじゃないですけど、やり続けることで説得力が増していきますね。
RG 「one-hit wonder」は業界の功労者なんだから、ドシっと構えて売れなくなったからスタイル変えるんじゃなくて、演歌歌手のヒット曲みたいに大事にしてもらいたいです。それにトップで人気があり続けるがゆえに身に付くものもあって。WWEのジョン・シナなんかはまさにそんな感じじゃないですか。
――ポジションが選手や芸人を育てるんですね。
RG だから、世Ⅳ虎選手はあの事件を捨てることなく大事にしてもらいたいんですね。こうなったら北斗晶さんへの道もありえますからね。北斗さんをテレビで見ない日がありますか?
――ダンプ松本と北斗晶への2つの道が選べるレスラーってなかなかいないですね(笑)。
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