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【無料バックナンバー】ダナにも噛み付くベン・アスクレンの悪の香り■MMA Unleashed

2014/03/25 11:52 投稿

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鈴木信達選手と対戦濃厚なベン・アスクレンとは何者か? 2年前にオマスキさんが「MMA Unleashed」で触れているのでここで再録!


大化け前夜?ベラトールの地味強王者ベン・アスクレンの挑発を味わえ!

4月6日にカナダのオンタリオ州ウィンザーで開催された「ベラトール64」は、中村“アイアン”浩士選手と上田将勝選手も出場して日本でも注目された大会だったが、この日のメインイベントでは、ベラトールのウエルター級タイトルマッチ5R戦「王者ベン・アスクレンvs挑戦者ダグラス・リマ 」が行われた。

結果から言えば、大学アマレスの超エリート、北京五輪にも出場したアスクレン(27)が、50対45のユナニマス・ディシジョンで完封勝ちした。アスクレンはほぼ5Rにわたってリマを塩漬けにし続け、仕留めるほどではないけれども、非常に痛そうで迷惑そうなパウンドやエルボーの雨をひたすらに降らせ続けた。体格で勝るリマも下からの関節技を狙ったり、スイープを試みようとしていたが、アスクレンのトップポジションキープの安定感は山のごとしであるばかりだった。アスクレンはこれでプロ戦績を10勝無敗としている。

ただ、代わり映えのしない展開が延々と続いたこともあって、個人的な感想を率直に言えば、アスクレンの強さには感服しつつも、非常に退屈な試合に感じられてしまったのも事実だった。オンタリオの観客もそのように思ったようで、ブーイングが最初は緩慢に、やがてはっきりと発せられるようになっていき、ラスト2Rは、リマがほんの少しでも、反撃の糸口をつかみそうになっただけで、ヤンヤの大歓声がわき起こっていた。どれほどブーイングを受けても、アスクレンはまったく意に介していないような表情を保ち続けた。レスリング・オブザーバのデイブ・メルツァー記者はこの現象を「ジョニー・バレンタインのリングサイコロジーと同じだ」と評している。退屈きわまりない試合を続けておいて、相手への声援を買うというヒールの手口である。

試合終了後、勝ち名乗りを受けるアスクレンに、ひときわ大きなブーイングが浴びせられた。すると驚いたことにアスクレンは、「カナダ人は格闘技好きだと聞いていたが、そんなにグラウンドが嫌いならその資格はないな。ボクシングという競技があるから、そちらを見たらどうだ」と観客を挑発したのである。アスクレンにはこれまで、エリートレスラーであるにもかかわらず、あえて弱小団体ベラトールへの入団を選択した救世主、とのイメージがつきまとっていた。まだキャリアは浅いけれども、ベラトールの顔となりつつある選手だったはずだ。それなのに、ここにきておもむろに、悪の香りを放ち始めてきたのだ。

その後アスクレンはMMA Weeklyに次のようにコメント、いちいち腹が立つしゃべり方が最高である。

「リマのスタンドにはつきあいたくなかった。カナダ人のファンも、リマのスタンドに25分間もつきあえるのかねえ。まあ、そんなにもつわけがないけど。僕の打撃もずいぶんよくなっているんだよ。でもだからといって、あんな一発のある男とスタンド勝負するわけがないじゃないか。アホらしい。そんなことがしたいなら、俺は今頃キックボクサーになってるよ。それにしても、これまでの10倍くらいの量のパウンドを落としたんだけどなあ。並のオカマ野郎なら、嫌がって背を向けるから、裸締めで落とせたんだけどね」

MMA記者のアリエル・ハレワニがこの試合を「MMA史上もっとも退屈な試合」と評したところ、アスクレンはツイッターでこのジャーナリストに対しても「俺と戦え!!」という禁じ手的な挑発を行なっている。

「君のことをケージの中にご招待するよ。そしたら僕も君の番組にも出てやる。それがいやなら、Kiss my ass。」

「専門的なご意見もお聞かせいただきたいね。なあ、どうすればあの試合をフィニッシュできたかね?」

さらに絶好調なアスクレンは、今度はTwitterでダナ・ホワイトにかみつき始めたからたまらない。ダナが「契約選手375人に自前で薬物検査するなんて絶対無理!」と発言したことに対して……

「アメリカオリンピック協会は、五輪に出場する全種目の選手に抜き打ち検査を実施しているんだ。ダナが無理だと言っているのはまるっきりのウソ! 検査をしないことでかえって競技が平等になっているとでも言いたいんだろ。カネがかからないとは言わない。でも無理だと言うことはない」

するとダナ・ホワイトは次のようにうっちゃったというからさすがである。

「睡眠薬が効かないときには、ベン・アスクレンを使おう。史上最大のあんな退屈な選手を見てるくらいなら、ハエの交尾でも眺めている方がまだ楽しめる。ベンの前では、ジョン・フィッチすらヴァンダレイ・シウバに見える」

今回は、日本ではまだあまり知られていないであろうベン・アスクレンという選手が、米MMAシーンで徐々に巨大化しつつある経緯をかいつまんで紹介した。どこまで天然でどこから意識的なのか、よくわからないのだが、どうもこの人は要するに強すぎて、いまのポジションに退屈し始めているのではないか……という幻想を抱かせてくれる。アスクレンは練習環境も変えて、しばらくシンガポールのEvolve MMAに滞在する模様だとの報道もあったから、これからはファイティングスタイルも変わってくるのかもしれない。フェイスかヒールかはさておき、モンスターに化ける可能性を秘めたアスクレンに着目しておくと、これからいろいろと楽しいことがあるかもしれない。(文・高橋テツヤ/ OMASUKI FIGHT http://omasuki.blog122.fc2.com/)

(出所)
- April 16, 2012 Wrestling Observer 
- April 9, 2012, MMAWeekly.com, Ben Askren Happy with Defense; Not Going Toe-to-Toe with One-Punch KO Power


【非会員でも購入可能!】「Omasuki Fight」の北米コラム『MMA Unleashed』2月度更新コラムセット

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