UFC4連勝という快挙を達成し、日本人選手で唯一のランキング入り(バンタム級8位)を果たしている水垣偉弥選手インタビュー。過酷なオクタゴンで生き残り続ける戦士の思考とは?


――水垣選手はしばらく海外で試合をしてますが、アウェイという面は気にならなくなっていくもんなんですか?
水垣 でも、ここ最近はマカオと日本だったんです。この前はひさしぶりにアメリカで試合をしたら時差の対応はやっぱり大変でしたね。
――そこはどうしても身体は慣れないもんなんですね。
水垣 久々のアメリカだったので身体がおぼえてないのかなって。8月の試合は減量で苦しんだんですけど、海外で試合をするときはやっぱり時差が問題ですよね。身体を動かす時間じゃないときに動かすわけですから。
――時差ばかりはうまく対応できない、と。
水垣 どうしようもないんじゃないんじゃないですかね(笑)。現地に早く入るとかくらいで。
――それ以外のトラブルって何があるんですか?
水垣 トラブル……いや、そんな困ったことはないですね。UFCはあらゆる面でちゃんとしてるので。ちゃんと空港まで迎えに来てくれますし。飛行機移動はなかなか大変ですけど。
――そうするとやっぱりマカオや日本でやるのが楽なんですね。
水垣 日本よりマカオのほうが楽でしたね。マカオのときは大会が夜だったんですけど、日本は朝から大会開始じゃないですか。
――ああ、日本大会はアメリカの放送に合わせて朝開始でしたね。
水垣 マカオは日本と時差はほとんど変わらないし、移動の距離も短いし。こないだのオーストラリア大会は朝からだったんですよ。
――時差はあるわ朝から試合だわ(笑)。日本の場合は都内のホテルに泊まってそのまま会場入りなんですよね?
水垣 ルールだと火曜日にホテルに入らないといけないんですけど。いちおうチェックインしてから家に帰りました(笑)。朝から試合だと、計量と試合の間隔が短くなっちゃうんですよ。アメリカだと前日の16時に計量して、第1試合が翌日の16時開始だとしても最低でも24時間あるんですけど。オーストラリアは前日の19時に計量してボクの試合が朝9時半でしたから。24時間ないと体力面の回復という意味ではつらいですよね。
――かといって毎回マカオ大会に出場というもの現実的ではないですよね。
水垣 アメリカに生中継しないとスポンサー面でもいろいろ……(笑)。
――ハハハハハ。
水垣 そこは気になりますよね。
――なるべくならPPV中継やFOXで放送する大会に出たいですよね。
水垣 どこの大会に出たいとかは選手サイドは決められないですけど。やっぱりメインカードには入りたいですね。そこはスポンサー面が全然違ってくるんで。
――そういえば、オーストラリア大会のときマーク・ハントがノースポンサーでしたね。スパッツに何もロゴがなくて。
水垣 あ、そうなんですよね。「なんでかな?」って不思議だったんですけど、一説によると書類の準備を忘れたんじゃないかなって。
――ああ、ハントのことなら考えられなくもないですけど(笑)。
水垣 UFCってスポンサーのチェックが厳しいんで、そこで何か不備があってダメだったんじゃないかなって。詳しくはわからないですけど。
――決してスポンサーがつかなかったわけじゃないと?
水垣 いや、メインカードでつかないわけがないですよ。と思いますけど。
――でも、ハントは試合内容が絶賛されて、ダナ・ホワイトから島をプレゼントされそうですけどね。
水垣 あの試合は凄かったですよねぇ。自分は自分でファイト・オブ・ザ・ナイトを期待していたのであの試合を観ながら「ああ、終わった」って(笑)。
――あんな試合をやられたら諦めちゃいますよねぇ(笑)。
水垣 マーク・ハント大好きなんで楽しく見てたんですけど、そこだけガッカリしちゃいました。
――試合のときは三賞(ベストバウト、KO賞、一本賞がそれぞれ選ばれて賞金が出る)のことを考える余裕はないですよね。
水垣 そうですねぇ。いやでも、終了間際になるとチラチラ出てきますね(笑)。
――「ここで頑張ればファイト・オブ・ザ・ナイトが取れるかも!」とか。まあ日本円で500万近くもらえるわけですから欲が出てくるのは仕方ないです(笑)。
水垣 ほかの試合をドキドキしながら見てますね。いつもダメなんですけどね(笑)。
――受賞の傾向って考えたときあります?
水垣 そうですねぇ。獲ったことのないボクが言うのもなんですが、サブミッションが極まる試合はKOより少ないんで取りやすいですよね。
――たしかにそうですよね。UFCってそれ以外でもボーナスを弾んだりするんですよね?
水垣 毎回出てますね。
――毎回! ボーナスが!!
水垣 家に帰って一ヶ月後にチェック(小切手)が届きますね。
――それはなんのチェックなんですか?
水垣 わかんないですね。
――わからないけどチェックが届く!(笑)。
水垣 はい(笑)。勝っても負けても届きますけど、勝ったときのほうが額は多いですけど。
――それってウィンボーナスとは別ですか? さすがに三賞ほどの額じゃないですよね。
水垣 三賞ほどではないですけどね。名目はなんですかね、「おつかれさん賞」かな(笑)。負けたときは来ないかなと思ったんですけど。
――いい会社ですねぇ。
水垣 いい会社ですよね、UFCは(笑)。レジェンド的な選手以外はUFCがいちばん稼げるんじゃないですかね。<後編はこちら


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