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【掘り起こし企画】ニック・ディアス ロングインタビュー

2013/12/30 12:22 投稿

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 年末掘り起こし企画! ということで昨年夏に収録したニック・ディアスインタビューを再録します。この取材はGSP戦前のもので、マリファナの陽性反応で1年間の出場停止中に行ったものです。

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“暴力柔術”ニック・ディアスのUFC再デビューは、悪童の異名に相応しい幕開けとなった。本来は昨年10月の『UFC137』において、ウェルター級王者ジョルジョ・サンピエール(GSP)とのタイトルマッチが発表されていたが、事前の記者会見を無断欠席するなどプロモーションに非協力的であることを理由に挑戦権が剥奪された。
 その『UFC137』ではBJペンに圧勝して再び挑戦権を握るも、GSPの負傷欠場によりカーロス・コンディットとの暫定王者決定戦に。試合は手数で勝ったコンディットに判定で敗れた。しかし、この判定について、ファイターや関係者から「ニックの勝利ではないか」と大きな議論を呼び、すぐさまコンディットとの再戦が内定するも、試合後のドーピング検査でマリファナの陽性反応が検出。コミッションから下された処分は1年間の出場停止である。
 このように常に渦中の身であったこともあり、ここ最近のニック・ディアスを取材することは困難な状況であった。それは彼の性格によるところもある。カルフォルニア州ローダイにある彼のジムを訪ね、ICレコーダーのスイッチを向けるやニックは「ちょっとトイレに行ってくる」と言ったきり二度と姿を現わさないこともあった。
今回はニックの師匠であるシーザー・グレイシーを通じて、オークランド州にあるボクシングジム『KING'S BOXING GYM』に現われたところをキャッチすることができた。ひさしぶりのロングインタビューとなるニック・ディアス。彼は嵐のような一年をどう振り返るのか。
 まずは練習を終えたニックを待つあいだ、シーザー・グレイシーとの会話をお届けしよう。


――シーザー、今日はニックのインタビューのために『KING'S BOXING GYM』に招待してくださりありがとうございます。
シーザー こういう場所でもなければ、ニックを取材することは無理だろうからね(笑)。
――それにアメリカのオールド・スクールのボクシングジムに来れる機会は早々ないですから貴重な経験です。古びたレンガ作りのビル、年季の入った設備や昔からのポスターなど、映画『ロッキー』の世界に入り込んだような気分です。
シーザー いかにもオールド・スクールって感じで味わい深いだろう? 私も気に入ってるんだ。
――この『KING'S BOXING GYM』にはなんといっても地元のヒーローであるアンドレ・ウォード(アテネオリンピック金メダリスト、現WBA&WBCスーパーミドル級チャンピオン、2525勝無敗13KO)が所属するジムなんですよね。 

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シーザー そう。アンドレは9月に試合を控えていることもあり、ニックとネイトが週3回このジムに来てはアンドレとスパーを行なっているんだ。今日のニックはネイトのサポートに来ていただけなのでスパーは不参加だったけどね。
――ディアス兄弟にとってアンドレとのスパーは大きな経験になってるじゃないですか?
シーザー そのとおりさ。ニックとネイトにとって世界最強のボクサーの一人であるアンドレとのスパーは非常に重要なトレーニングなんだけど、同時にアンドレにとっても彼らは最高のスパー相手になっているんだ。ここには約30名ほどのプロのボクサーが所属しているけど、さっきのアンドレとネイトのスパーを見ただろう? ほかのボクサーとなんら見劣りしていない。
――ええ。3ラウンドにわたってとても激しいスパーでした。
シーザー ニックにしてもどれだけ良いスパーリング仲間になっているかわかったはずさ。
――このジムとの交流はいつごろから始めたんですか?
シーザー 2000年頃から。今年でちょうど12年目になる。
――へえ、ずいぶん長い付き合いなんですね。
シーザー ボクシングはMMAでとても重要なツールになると思い、ボクシングジムを探していたんだ。ほかのジムでは、ボクシング+キック+クリンチなどの技術を学べるけど、ここではMMA向けのスタンドスキルではなく“ボクシング”を習うんだ。
――なるほど。ニックがボクシングマッチに興味があるのは、そういった下地がちゃんとあってのことなんですね。
シーザー ニックはここに通う前からボクシングテクニックは素晴らしかった。それから12年間、ここではボクシングだけの練習をしている。いつでもボクシングの試合をする準備はできているのさ。ただし、簡単に言うと現在はUFCとの契約によりボクシングの試合をすることができないんだ。その背景はちょっと複雑なんだけどね。ご存知のとおり現在ニックはネバダ州のアスレッチクス・コミッションよりMMAライセンスの停止処分を受けているわけなんだけど、ボクシングのライセンスの規定では、ある州で停止処分を受けても、ほかの州が認めれば試合をできるんだ。なのでボクシングに限っては、ヨーロッパやブラジルでニックの試合を組むことは可能なんだよ。ただし、UFC とネバダ州のアスレチック・コミッショナーのあいだには、我々のような外部の人間には理解できない関係があるようで、その許可が出ないんだ。そこまでUFCが契約でニックのことを縛ることが法的に可能かどうかは理解できないけど、そういう見えないところでの制限がUFCの契約条項にあるということなんだ。
――どうせUFC で1年間試合をできないのであれば、ニックの生活のためにもボクシングをさせてあげてもいいじゃないですかね?
シーザー まあ、それがUFCのやり方なんだろうね、残念な話だけど。我々だってできるかぎりのことはしているんだが……。
――ニックのケースはマリファナですよね? 

 

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