プロレスラーの壮絶な生き様を語るコラムが大好評! 元『週刊ゴング』編集長小佐野景浩の「プロレス歴史発見」――。今回は追悼・小林邦昭さんです!
――今日は先日お亡くなりになった小林邦昭さんを語っていただきます。おさのさんはもうかなり古い付き合いだったんですよね。
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――今日は先日お亡くなりになった小林邦昭さんを語っていただきます。おさのさんはもうかなり古い付き合いだったんですよね。
小佐野 邦昭さんと初めて会ったのは、ボクが新日本プロレスのファンクラブを作った高校2年生の16歳のときだから、1978年ですね。
――はっはー、46年前ですか!(笑)。
小佐野 会った場所は1978年6月1日の日本武道館。そこでアントニオ猪木vsボブ・バックランドのWWWF&NWFのダブルタイトル戦があったんですよ。会場で初めて会った新間(寿/当時・新日本プロレス営業本部長)さんにいきなり声をかけて、藤波(辰爾)さんのインタビューを試合前にやらせてもらって。
――アポなしでファンに取材させてくれるって牧歌的な時代です(笑)。
小佐野 新間さんが「いいよ、坊や、入ってきな」ってことで藤波さんのところに連れてってくれて。ついでにいろんな選手のサインをもらっちゃったりして。ただね、邦昭さんだけはサインをしてくれなくて印象がよくなかったんですよ。長州さんだってサインをくれたのに。
――気難しい方だったんですか?
小佐野 それには面白い話があってね。ボクはマスコミとしてプロレス業界に入ってから、同い歳のヒロ斎藤さんと仲良くなったわけですよ。ヒロちゃんはもともとファン出身だから「ファン時代にサインくれなかった選手っていた?」って聞いたら、邦昭さん。きっと男のファンが好きじゃなかったんじゃないかな(笑)。
――ハハハハハ! 小林さんといえば、モテてしゃーない方ですよね
小佐野 やっぱりね、高校生の汚い男が来たら邦昭さんもイヤだったのかな(笑)。いつから喋るようになったのかは記憶がない。ファンクラブ時代も道場に行ったりしてたから、自然に喋るようになっていったんだと思うんだよね。
――道場まで乗り込む小佐野さんの行動力も凄まじいです(笑)。
小佐野 ファンクラブ時代はまだパーマ頭だった長州さんにもインタビューしてるし、あと上田馬之助さん、剛竜馬さん、栗栖正伸さんなんかも取材してたね。
――道場の小林さんにはどんな印象がありました?
小佐野 あのね、やっぱり女の子のファンには優しかった。
――またそれですか!(笑)。
小佐野 本当に優しいお兄さんという感じ。当時の新日本の女の子って藤波さんのファンなんですよ。年齢的にも中学生や高校生。そういう子に手を出すとかそういうトラブルはなく、非常に優しいお兄さんという感じですね。
――紳士だったわけですね。「プロレスラー小林邦昭」はどう見てたんですか?
小佐野 いわゆる普通の若手で、ちょっと身体が固いイメージだった。邦昭さんは海外修行先のメキシコから帰ってきてから売れたんだけど、やっぱりあのパンタロン姿が印象的だったよね。
――キックの怪鳥ベニー・ユキーデの影響ですけど、当時はかなり斬新でしたよね。
小佐野 プロレスラーでパンタロンをコスチュームにする人はいなかったけど、メキシコ時代の佐山聡がそうで。佐山さんがイギリスに転戦するときにもう使わないことでパンタロンを置いていったものを邦昭さんがコスチュームにした。それから邦昭さんは自分に合ったパンタロンを作ったんだよね。佐山さんのパンタロンはベルボトムじゃないけど、ちょっと幅があってヒラヒラしてて、蹴りを使うとすごく映えるようにできていた。邦昭さんの場合はスピンキックは使っていたけど、蹴りのスタイルではないから、動きやすいパンタロンにしたんじゃないかな。
――メキシコから凱旋帰国したときに、小林さんの代名詞であるフィッシャーマンズ・スープレックスを持ち帰ってきたんですね。
小佐野 フィッシャーマンズ・スープレックスはメキシコでも使っていたのかなあ。そのへんは定かではないんだけど、邦昭さんのすごいところはいかに注目を集めることができるか?という感性に優れていた。メキシコから帰ってきたら、後輩の佐山がタイガーマスクとしてブレイクして、長州さんは噛ませ犬発言で人気爆発。「じゃあ自分はどうやったら目立てるか」って考えてタイガーマスクにケンカを売った。マスク剥ぎで邦昭さんは一気にクローズアップされていくでしょ。これは晩年の邦昭さんが言ってたんだけど、タイガーマスクとの抗争は1年もやってない。邦昭さんは82年10月に帰国して、翌83年の夏に佐山さんは引退してるから1年弱ですよ。
――長期間抗争をしていたイメージがありますけど……。
小佐野 だから、あの2人の試合のインパクトが強かったかってことだよね。邦昭さんが言ってたのは、シングルマッチでマスクを破いたのは2回しかないと。むやみやたらに破いていたわけじゃないんだけど、邦昭さんとタイガーマスクといえばマスク剥ぎの記憶が強い。それこそブッチャーがテリー・ファンクの腕にフォークを刺したのは1回だけで、あとはフォークを持っただけで、ファンが勝手に突き刺す絵を思い浮かべるのと同じ。邦昭さんがマスクに手をかけただけでファンが騒ぐ。それ以外は本人的には真っ当な試合をしていたと。佐山さんとは若手の頃さんざん試合していたし、お互いがメキシコやイギリスで経験したものを付け加えただけ。
――試合内容は保証付きだったから、あとはいかにベビー対ヒールの構図を作るかだけだったと。
小佐野 新日本って若手がいい試合をすると、山本小鉄さんから5000円のボーナスが出たらしいんですよ。逆にしょっぱい試合をすると罰金3000円。
――ボーナスはわかりますけど、罰金も!(笑)。
小佐野 取り組みで佐山さんとの試合だとわかると「5000円ごっちゃんだ」と。絶対にいい試合になるから。逆に荒川(真)さんとやると「ひょうきんプロレス」に引っ張られて微妙の内容だから罰金だったと(苦笑)。
――ハハハハハ。
小佐野 猪木さんや小鉄さんは、荒川さんの「ひょうきんプロレス」が好きじゃないから。どこかで荒川さんとやったときに邦昭さんが控室に戻ったら、猪木さんにボコボコに殴られたって言ってましたねぇ……。
――とばっちり! 猪木さんも荒川さんをボコボコにするわけにいかないですね(笑)。
小佐野 荒川さんから罰金も取れないからね(笑)。だから荒川さんとの試合は鬼門だったみたい。
――佐山さんと小林さんは若手の頃から手が合ったし、タイガーマスクvs小林邦昭にみんなが熱狂するに決まってるという。
小佐野 そのきっかけ作りとしてマスク剥ぎは重要なポイントだったということだね。
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