プロレスラーの壮絶な生き様を語るコラムが大好評! 元『週刊ゴング』編集長小佐野景浩の「プロレス歴史発見」――。今回は孤高のプロレスラー、小川良成引退す!


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サイバー攻撃のドタバタもあって久しぶりの小佐野さんインタビューは、ここ最近のプロレス界のニュースを振り返ってもらいます!

小佐野 よろしく。

――まずがノアの小川良成が電撃引退発表。首のコンディションが大きな理由ですが、びっくりすることに引退試合も引退セレモニーもやらないと。

小佐野  そこは彼らしいよね。「それじゃあ……」ってあっさり去っていってしまう。昔からそういうスタンスなんですよ。いまから40年前、ボクが全日本プロレス担当記者になったときに、彼は17歳の新弟子だった。新弟子からデビューするところを見た初めてのプロレスラーなんです。そういう関係もあって仲はよかったから心を開いてくれたんだけど、インタビュー取材は基本的にNG。長い付き合いだけど、正式にインタビューしたのは2回だけ。

――小佐野さんでも2回だけってことは、他でも取材できてないってことですねぇ。

小佐野  その2回も天龍さんがテーマだったから受けてくれた。『ゴング』で天龍同盟の増刊号につくるときに、小川本人に直接お願いしたら「天龍さんのことだったらいいっすよ」ってことでノアを通さずやったら、本が出たあとに仲田龍さんから文句を言われてね(笑)。ほら、当時の天龍さんは全日本に復帰したばっかりの頃。ノアと全日本は緊張状態にあったでしょ。

――ノアからすれば、全日本の話題はよろしくない。だから小佐野さんも団体を通さなかったわけですね(笑)。

小佐野  でも、小川は天龍さんがテーマならOKなんですよ。もう一度の取材は、天龍さんの引退が決まったときのGスピリッツ天龍特集。

――2回とも天龍さんがテーマというのがいいですね。

小佐野  こっちとしては技術の話をしたいんだけど、そこはNG。雑談でそういう話をするぶんにはいいんだけど、それが文字になるのはダメ。それなのに最近はノアの解説をやってるからビックリしている(笑)。

――引退試合をやらなかったり、取材を受けなかったり、そこはテコでも動かないんですね。

小佐野 彼は天龍さんの付き人になった以降は天龍さん以外の言うことは聞かない……ぐらいのイメージを持たれて。とはいっても、天龍同盟入りも直訴したわけではなく、天龍さんから「オマエは天龍同盟だから」とレボリューションTシャツを着せられてね。そんな経緯だけど、ものすごく天龍さんを尊敬していた。天龍さんとプロレスのスタイルは違うけど、人としての生き方に惹かれたんじゃないかな。たとえば巡業中の洗濯代としてお金をもらって、巡業が終わるときにはギャラよりも多くなっちゃう(笑)。

――コインランドリーでの洗濯の手間賃がとんでもない額になるわけですね(笑)。

小佐野 でも、そういう人についてたからお金は貯まらない。お金の使い方を教わったけど、貯め方は教わってない(笑)。

――江戸っ子とプロレスラーは宵越しの銭は持たない!

小佐野 昔から孤高の人に見えるのは同期で残ってる人が1人もいないこともある。みんな途中でいなくなった。ミステル・カカオも同期だったけど、やめちゃったしね。それに入門した翌年にジャパンプロレス軍団がやってきて、選手が一気に増えてまだ身体も細かったからデビューができない。デビューしたのはん85年だったけど、入門してから1年以上経っていた。

――入門からデビューまで1年以上かかるって相当ですね……。

小佐野 当時、アメリカと日本を行ったり来たりしていたカブキさんに「オマエ、まだデビューしてないのか」って驚かれたくらいだから。デビューしたあとも左肘の脱臼グセから長期欠場することがあって、そのあいだに後輩の小橋建太、菊地毅、北原光騎がガーっと上がったから、不遇な若手生活を送ってたんだよね。小川いわく「小橋たちは売り出されたけど、俺なんかはどんじりの若手だった。俺はいなくてもいい人間だ」という自覚はあった。

――当時の全日本は小川良成を売り出そうする気配はなかったですね……。

小佐野  だって、あんなに身体が細かったら、まず馬場さんが売り出そうなんて思うわけがないよね。

・「ザックは新日本に取られちゃいますよ」(小川)
・すごかったG1の竹下幸之介
・こびてきたのは小池都知事のほう
・いびつな昭和の政治と興行
・プロレスラー青木真也の評価……まだまだ続く

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