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RIZINフェザー級王座の防衛戦を控える鈴木千裕13000字インタビューです!(聞き手/松下ミワ)

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――
先日、あらためてRIZIN.46のカード発表会見がありましたが、鈴木選手は王者の風格でした!

鈴木 本当ですか? いやあ、うれしいですね!

――
ファンから質問の受け答えも凄くやさしくて。会見でも言われてましたが、やっぱりチャンピオンになって変わったことは多いですか?

鈴木
 いっぱいありますよ。でも、一番は練習のワガママが通るようになったことですね。クロスポイント吉祥寺の隣に強化室をつくってくれとか、ボクシングトレーナーを呼んでくれとか。もともと隣はセブンイレブンだったんですけど、そこがなくなったんでめっちゃ広くなるんですよ。やっぱりチャンピオンはファイトマネーで稼げるんで、そうなると車で移動できますよね。駐車場代も高いじゃないですか。

――
たしかに都内の駐車場代はなかなか高いです(笑)。

鈴木
 昔は絶対に払えなかったんですけど、いまだったら強くなるための投資として払えますし。あとは、アスリートにとっていいご飯も食えるようになりますし。前だったら日高屋とか、出費を抑えてスーパーで安い食材を買ってつくったりしていたんですけど、いまは「よっしゃ! 肉食ってタンパク質を摂ろう」とか、食費にもいっぱい使えるようになりました。

――
強くなればなるほど、いい環境ができていくということなんですね。

鈴木
 それが一流になるということだなって。食べるものも一流、ケアも一流。だから、練習は凄くやりやすいです。前だったら、ケガしたら気合で治すって感じでしたけど。

――
えっ! 気合いで?(笑)。

鈴木
 だって、それしかないんですもん。病院に行こうとしても初診料が高いですし、通院するのもお金かかりますし。そこでお金払うくらいだったら、練習代とかにしたいですもん。でも、いまはケガしたら病院行く、薬もらう、速攻治る、練習復帰! みたいな。すぐ回復しますよね。

――
逆にいままでの生活が過酷すぎますよ(笑)。

鈴木
 でも、トップになるまでは、みんなそうなんで。だから、いまはありがたいです。ただ、これ負けたらすぐ戻るんでね。勝ち続けないといけないんで、なおさら強くなるためにお金も使いますし、周りの力も借りますしって感じです。

――
一方で、会見では欠席した対戦相手の金原正徳選手への怒りもあったみたいですね。金原選手はタイ修行中みたいでしたけど。

鈴木
 あれは、めちゃめちゃムカつきました! だって、練習で会見に出なくていいんだったらボクも出ないですもん。その日は練習できるんでフェアじゃないですよ。みんな練習時間を削って会見に行くわけじゃないですか。会見をパスして一歩でも多く進めるってズルイなって。

――格闘家の心理ってそういう感じなんですね。

鈴木
 人によりますけど、ゲームで考えたらレベルアップを「よーいどん!」でスタートしたとして、休んでるあいだにモンスターを倒しに行けるみたいな。勝負ってその僅差で決まるところがあるんで、それ考えたらムカつきますね。

――
ただ、蓋を開けてみたら金原選手は会見の話はまったく聞いてなかったみたいですね(笑)。SNSで「会見は呼ばれても、コメントも求められてもない!」と発信されていました。

鈴木
 そうそう。だから「マジ、すみませんでした!」って感じです!! 金原選手、すいません!

――
ハハハハハハ!

鈴木
 昨日、YouTubeとかでも「マジ、ムカつくんだよ!」とかめちゃくちゃ言っちゃったんですけど、金原選手が何も聞いてなかったというのを聞いて、それは知らなかったんで(苦笑)。だって、どう考えてもRIZINスタッフから話がいってると思うじゃないですか。

――
普通はそう思っちゃいますよね。

鈴木
 それが伝わってないっていうのは理解できなくて。まあ、それはあっちのミスでボクは知らなかったんで、それを聞いたいまは「申し訳なかった!」って気持ちです。

――一喜一憂ですね(笑)。でも、金原選手のそういう姿勢に鈴木選手も油断ならないものを感じているわけですよね。

鈴木 だから、金原選手はいまも生き残ってますし、絶対にボクや格闘技を舐めてないですし、本当に強いんで。勝つ理由というのがわかりますよ。

――そもそも、金原選手とはこれまであまり接点はなかったんですっけ?

鈴木
 ないです。まあ、強いて言うなら金原選手はボクのセコンドの塩田(“GoZo”歩)さんの元生徒なんですよね。前にパラエストラ八王子に所属していたから。

――
ああ、たしかに。じゃあ、塩田さんからかなりアドバイスを聞けるわけですね。

鈴木
 まあ、そういうこともできるんですけど、ボクはあえて聞かないようにしてます。

――
え、なんでですか?

鈴木
 だって面白くないじゃないですか。カンニングみたいな感じだし。それに、金原選手もいまと昔では違いますし、自分で導き出して作戦を練って勝ちたいなって。まあ、ある程度は聞きますけど、全部聞こうとは思わないです。でも、ボク以上にあっちはボクにナメられたくないでしょうね。ボクとはだいぶ歳もキャリアも違いますから。

――年齢でいうと20歳弱離れてます。

鈴木
 まあでも勝負の世界なんで最後は強い人が生き残りますよ!! それが格闘技ですよ!

――
金原選手がここまで一気に上がってきたのって、やはりクレベル・コイケ戦での勝利が凄く大きいと思うんですけど、あの試合はどう見ました?

鈴木 ボク、あの試合は解説席で見てたんですよね。金原選手は手札が多いし、それはみんなが認めてると思うんで、そこをどう崩していこうかなと考えてます。

――
金原選手としては、やっぱり寝技で勝負したいという読みですかね?

鈴木
 まあ、打ち合ってこないですよ。だから生き残ってるんですもん。相手の強みの土俵で戦ってこなかったんでケガも少ないですし。たとえば、打撃系の選手も打ち合いの試合をしたら少なからず被弾するんですよ。パーフェクトで終わらせられる試合なんてないんで。その積み重ねがダメージにつながってくるんですよね。でも寝技って、自分でタップすれば自分の身は守れるんで、正直外傷的ダメージはないじゃないですか。失神もそこまでダメージはないんですよ。まあ、腕を折られるとかになると競技的なダメージが長くはなりますけど。

――たしかにロータスで練習している選手はベテランが多いですけど、みんな寝技系ですもんね。だから練習で削られないってことなんですね。

鈴木
 そうそう。全力で抑えるか極めるかに徹している人たちなんで。だから、金原選手は打撃ももちろんできますよ。ボクよりうまいスキルもあると思いますけど、打撃で勝負するんじゃなくて、寝技でダメージをもらわないようにクリアする。そういう意味では、クレベル選手とはべつに打ち合う必要はないんで、試合はけっこう楽だったと思いますよ。

――
ああ、逆に。

鈴木
 打撃で失神するとか、そういうへんなリスクも少ないんで。だから、クレベル選手みたいなタイプはやりやすいんじゃないですか? でも、ボクみたいに飛び道具を持ってる人に対しては、常に集中しないといけないんでね。

――金原選手もけっこう立ち技の試合に出たりとか、MMAの中でも打撃はかなりできる選手ですけど、それでも鈴木選手から見れば心配ないですか。

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