『TOP BRIGHTS』を直前に控えた堀口恭司インタビューです!(聞き手/松下ミワ)
【1記事から購入できるバックナンバー】
・斎藤裕、石渡伸太郎が生き抜いた“冬の時代”のマネジメント術■遠藤正吾
――堀口選手が立ち上げる格闘技イベント『TOP BRIGHTS』の開催(1月21日)が迫ってますが、準備のほうはいかがでしょうか?
――旗揚げイベントにして、U-NEXTやABEMAでの配信を決めたり、最寄りの太田駅からシャトルバスを出したり、手際のよさも感じるんですけども。
堀口 まあ、そこらへんは自分がやってるんじゃなくて、裏方の人たちがやってくれてます。それも本当に初めてなんでみんなバタバタっすよ。
――そもそも『TOP BRIGHTS』での堀口選手の役割というのは?
堀口 自分はプロモーションだったり、選手紹介だったり。あとは初めてやることで人手が足りてない部分も多いんで、自分も裏方もやったりしてますね。
――あ、気を遣われてるなというのはわかりながらも。
堀口 まあまあまあ。だって、自分が負けたら絶対に興行もコケるじゃないですか。
――なるほど! そう考えると、大晦日の試合って思っている以上にプレッシャーのかかる試合だったんですね。
堀口 まあそういう人生を送ってるんでしょうがないんですけど。
――というか、堀口選手っていつも試合後にイベントや取材が詰め込まれてますよね(笑)。
堀口 だって、いつもすぐアメリカに帰っちゃいますから。日本にいるあいだしか動けないじゃないですか。だから試合後にやるしかないんですけど……ちょっと「どうなのかな?」と思うことがありますよ!
――試合後にイベントがあることに、ですか?
堀口 いや、予定があるのは全然いいんですけど、釣りに行けないことですよ!(笑)。
――そっちですか!「なんで試合後に予定を入れるんだ」「プレッシャーになるじゃないか」とかじゃなく(笑)。
堀口 ただ釣りに行きたいだけ! まあでも格闘家として「負け」はやっぱダメなことなんですけど、試合後の予定がプレッシャーにはならないですね。自分も「試合前に『TOP BRIGHTS』があるからコケられない」とかは思わないです。何があろうが選手としては目の前の試合に勝つことが一番大事ですから。
――実際、自分で興行を携わることになって何か発見もあります?
堀口 やっぱり細かい部分ですよね。たとえば、セコンドが持つバケツだったり、そういう細かい部分が選手を経験してないスタッフだとちょっとわかってないときとかあるんで。
――「このバケツがちょうどいいサイズなんだ」だったり。
堀口 あとは選手が泊まるホテルも地方なんで朝食がパンだったりとか。自分は「パンじゃないほうがいいんじゃないの?」というアドバイスをしたり。
――それはたしかに選手側の視点です!(笑)。
堀口 やっぱりタンパク質を採らないと。体重も落ちづらいし。で、今回、ATTの選手が早めに来日してきてくれたんで、それでいろいろ気づけたりもしていて。だから「早く入ってくれて本当にありがとう!」という感じですね。
――「キョージ、あれはどうなってるんだ?」とか、いろいろと言われるわけですね。
堀口 最初の頃は「キョージ、マジで部屋が狭いから変えてくれ!」と。それで全選手のホテルを変えたりとか。
――減量があるから、サウナがついているかどうかも気になりますし。
堀口 サウナはねえ、地方だとなかなか設置しているホテルがないんですよ。体重は半身浴で落とせるように、バスタブがちゃんとしてるところを選んだんですけど。選手によってはサウナがいい選手もいると思うんで、次やるときはまた考えないといけないですよね。まあこれもいい経験かなと思ってます。どんなものでも最初は何もないところから始まりますから。
――いまは盛り上がっているバンタム級も、堀口選手がRIZINに帰ってきたときは正直階級として確立されてる感じはなかったですね。
堀口 そこは自分だけじゃなくて、いろんな要素が絡み合って盛り上がってますけどね。海くんが出てきたり、格闘技っていろんな選手が出てきて盛り上げるものなんで。ひとりじゃやっぱり盛り上げられないので、まあ自分がRIZINに出たことによって強い選手が集まってきたかなというイメージですよね。
――ベラトールのバンタム級もいまほどの選手層ではなかったですし。
堀口 ひとり本当に華がある選手がいて注目されてると、やっぱりみんな「あそこ出たい」となるんで。自分もそういう団体をつくりたいなと思ってますけどね。まあでも、自分がRIZINに戻ってきてバンタム級を盛り上げたというよりは、やっぱり榊原(信行・CEO)の仕掛けがうまいですよ。自分を確保しておいて「じゃあ、この選手を当てよう」「この選手に呼んでこよう」と。全部榊原さんの思い描いたようになってるんじゃないですか?(笑)。
――地獄のプロデュースですか(笑)。
堀口 やっぱり興行は指示係がちゃんといないと成り立たないですよ。自分も興行に携わってみてそう思いますもん。なので、自分も指示係になろうと思ってたんですけど、なかなか難しいです。やっぱり初めてなんで。
――よくよく考えてみると、バンタム級GP優勝からの那須川天心戦、そしてダリオン・コールドウェル2連戦も普通は思いつかない“指示”ですよね。
堀口 あのキックルールもよかったんじゃないですかね。天心くんは知名度が凄くあったし、本当に当時はどっちが強いかわかんなかったじゃないですか。そういうところでKIDさんと魔裟斗さんが試合したときの熱が少し戻ったのかなと。そこから日本の格闘技は火がついたんじゃないかなとは自分は思いますけどね。
――ちなみに、先日、朝倉未来選手との対談映像でBreakingDownや『TOP BRIGHTS』のこともいろいろお話しされてましたよね。
堀口 ああ、あれは自分は主催者としては何も知らないゼロからのスタートなんで、ちょっとアドバイスもらえればいいかなということで。自分らはまだ1回も興行を打ったことないから、自分としてはコラボとかは二の次なんじゃないかなと思ってて。まず目の前の『TOP BRIGHTS 1』をしっかりやって、継続できるように収支も立てていきたいですね。
堀口 それはそうですよ。だって、同じまだ土俵にも立ってないし。
――謙虚ですね。
堀口 いやいや、それがたぶん一般論です。だって、こっちはまだ何もしていないじゃないですか。たとえば、アマチュア選手がプロになってすぐ「勝てます」と言っても誰も信用しないですよね。自分はまずそこの信用をつくりたいなと思っているんで。だから、あの対談はまだ早かったんじゃないかなと思いますけど、実際にはいい宣伝効果になったんじゃないかなとは思いますよね。
堀口 そうそう、自分はまだその位置に立ててないですから。「オレら、まだ興行も打ってないですからね」と言ってますし、そこは筋が違いますよね。
――堀口選手って、動画も含めて「BreakingDownみたいなのは好きじゃない」とおっしゃってますけど、BreakingDownはイベントとしてはちゃんと地位が確立されているものだから、そこは朝倉未来選手に対してはリスペクトがあるというか。
堀口 それはもちろんです。向こうはプロモーターとして収支が合って儲かっているわけじゃないですか。だからそこは凄いなと思います。ただ、やっぱり自分は格闘技というものを悪いイメージにしたくはないなと思ってるんで。正直、自分は好きではないですよね。
――朝倉未来選手ご本人の前でもはっきりおっしゃってましたよね(笑)。
堀口 いや、本人の目の前で言えないことだったら言わないほうがいいじゃないですか。なので、自分はあんまり好きじゃないです(キッパリ)。
――堀口選手としては、やるんだったらビジネスとして確実に進めなきゃならないけど、ちゃんと理想の格闘技ができるようなものを目指したいということですよね。
堀口 そうです。自分が18歳でクレイジー・ビーに入って、そのときくらいからもう格闘技の冬の時代が入ってて。ああいう時代が来ちゃうと競技人口だって減っちゃうし、格闘技に夢を持ってくれる人たちもいなくなっちゃうんでね。ああいう時代をつくりたくなくて『TOP BRIGHTS』をやりたいなと思ったので。
――BreakingDownは会見も派手でPR力がある一方、『TOP BRIGHTS』は本物路線というコンセプトで、そういう派手な煽り合いはやったりしないというか。
堀口 いや、でもそこは選手たちによりますよ。
――あってもいいですか。
堀口 本当にバチバチに煽りたい選手が来たら、会見でやり合っちゃうかもしれないし。それはそれでリアルなものなんでいいのかなと思いますけどね。全部が全部ダメと言ってるわけではなくて、そこはやっぱ観客ありきというか人気商売なので、たまに乱闘があったほうが見てる側は「おお、なんだ?」となりますよね。だから、たぶんですけど、BreakingDownはそれがもう日常茶飯事じゃないですか。
――それを『TOP BRIGHTS』でやったら……。
堀口 そこは「結局、同じじゃねえかよ」という人たちがいると思うんですけど(笑)、そこからまた格闘技に入ってくれればいいかなとも思っていて。正直言って、あんまり他人の団体を悪くは言いたくないんですけど、BreakingDownって煽りはほぼみんな見るじゃないですか。でも試合になると「ん?」というのがほとんどだと思うんですよ。とくに自分はプロなんで、あれは面白くないなと思っちゃうんですけど。だから『TOP BRIGHTS』でああいう煽りあいがあったとしても、試合内容でも魅せられたら、もっと面白いと思うんですよね。
――その理想系がまさに堀口恭司vs神龍誠だったりしますよね。煽って煽って、試合でもちゃんと魅せられて。
堀口 でも、あれは正直言って、いろいろ向こうが煽ってくれたから自分も言えたというのもありますよね。だって、相手も文句を言わずに「リスペクトします」と言われたら、こっちは言えないじゃないですか(笑)。だからまあ、そこは「いろいろ言ってくれてありがとう」って感じです。
――堀口選手の煽りがいい感じなのは、演じてるようで演じてないというか。
堀口 そうそうそう。自分、演じてないですから。普通に思ったことを正直に言ってるだけで。もちろん煽りに使ってほしいから言ってることもありますけど。でも、昔はRIZINさんはそういう部分はカットしてたんですよ。でも、なんか今回から使い出しちゃって(笑)。
――ハハハハハハハ!
堀口 まあまあ、いいんですけど。あれが本当のオレだから。
この続きとRIZIN大晦日、ブラックローズ、堀口恭司、全日本プロレス…などの12月バックナンバー記事が700円(税込み)でまとめて読める「11万字・記事14本」の詰め合わせセットはコチラ
https://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar2184520
この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック!1記事200円から購入できます!
コメント
コメントを書く(ID:30565128)
>最初からこだわってたらたぶんできないですよ
いやぁ、クレバーですね。
変にこだわりを入れるから、結局何もできない人ってたくさんいますもん。
やはり、人の上に立つべくして立つ人なんだなと思いました。
(ID:30565128)
>最初からこだわってたらたぶんできないですよ
いやぁ、クレバーですね。
変にこだわりを入れるから、結局何もできない人ってたくさんいますもん。
やはり、人の上に立つべくして立つ人なんだなと思いました。
(ID:88980452)
堀口選手のインタビュー、読めるだけで嬉しい。