プロレスラーの壮絶な生き様を語るコラムが大好評! 元『週刊ゴング』編集長小佐野景浩の「プロレス歴史発見」――。今回は東京スポーツ新聞社制定「2023年度プロレス大賞」です!
――今回は小佐野さんが選考委員を務めているプロレス大賞、謎の中嶋勝彦の「闘魂」路線、NOAHの試合順についておうかがいします!
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――今回は小佐野さんが選考委員を務めているプロレス大賞、謎の中嶋勝彦の「闘魂」路線、NOAHの試合順についておうかがいします!
小佐野 よろしくお願いします。
――本題に入る前に……昨日、和牛という人気お笑いコンビが急遽解散しちゃったんですけども。
小佐野 はいはい。
――きっかけは相方の遅刻みたいなんですけど、遅刻といえばプロレス格闘家も欠かせないエピソードだなと思いまして。小佐野さんは取材でどれくらい待たされたことがありますか?
小佐野 取材で待たされたことはないよ。これは前回のテリー・ファンクのときにも話したけど、私が寝坊して1時間遅刻、テリーがさらに1時間遅刻したときくらいかな(笑)。
――ダブル遅刻!! プロレスラーの遅刻といえば蝶野(正洋)さんですよね。何かで6時間遅刻したとか……そこまでいくと遅刻の定義からは外れるんでしょうけど(笑)。
小佐野 蝶野さんのことは何回か取材したけど、1回も遅刻はなかったんだよね。約束の時間より早く来るのは武藤(敬司)さん。あの人は本当にしっかりしてる。
――三銃士の蝶野さんと橋本(真也)さんは巡業中、定刻にバスに乗らないから、遅刻1分につき1000円の罰金制が導入されたんですけどね。
小佐野 全日本で遅刻がすごかったのはファンクスだね。兄貴のドリーもルーズ。よく兄弟揃ってNWA世界チャンピオンとしてやっていけたなって。
――チャンピオンとして全米各地をサーキットするわけですもんね。
小佐野 噂ではドリーは乗り遅れるからってことで、飛行機を止めたとか、遅らせたとか(笑)。アメリカの国内線くらいだったら、そんなに時間にうるさくないだろうから、ホントにやっていたかもしれないね。
――時間といえば、ボクは詳しい事情はよく知らないんですけども、プロレス大賞の情報解禁は朝5時だったのに、なぜかその前からツイッターで情報が駆け巡っていて。
小佐野 みたいだよね。何時くらいから出ていたの?
――コメント欄によれば、いちばん早いのは2時40分らしいですね。
小佐野 そうなんだ。私が朝5時に受賞者とそれぞれの短評をツイートしたら、もうすでに結果が出てたら「どういうことだろう?」って。少なくとも会議に出た選考委員やマスコミは絶対に時間厳守だから。1分でも早く出しちゃマズイわけですよ。
――小佐野さんのあのツイートは予約投稿ですか?
小佐野 以前は予約投稿でやったときもあったんですが、どうしても時間差が出ちゃうんですよ。今回は4時50分に起きて手動でツイートしましたよ。
――ごくろうさまです! 朝5時じゃなくて昼間の発表にすると朝のスポーツ紙に載せられない事情も出てきちゃうんでしょうね。
小佐野 朝5時前に情報が漏れるとすれば、刷り上がった朝刊が新聞配達されたときに知ってしまうことはあるかもしれないね。
――なるほど! 関係者から聞いた人間が承認欲求を満たす以外だと、それしかない。ネット時代に紙の新聞の重要性がクローズアップされた!
小佐野 なんだかんだアナログが一番早いっていうことだよね。プロレスファンがすごいなと思ったのは、ツイートしたら朝5時なのに反応がすごいんだよね。
――みんな早起きして待ってるんですね。小佐野さんも早起きしたかいがあるという。
小佐野 あとプロレス大賞が発表されると毎年ブーイングが起きるんだよね。「この受賞はおかしい!」とか。
――そこも毎年恒例行事ですね(笑)。
小佐野 でも、選考委員は本当にガチでやってる。拳王じゃないけど、忖度はないから。たとえば毘沙門が最優秀タッグだから、バランスを取って斉藤ブラザーズが新人賞に振り分けた……みたいな書き方をされるんだけど、そんな風に決めてないからね。
――ちなみにどういう順番で賞の話し合いはされるんですか?
小佐野 毎回MVPから決めます。やっぱりMVPが決まらないと他の賞も決まらないでしょ。
――柱をドンと打ち込まないと家は建てられないってことですよね。
小佐野 そう。どの選考委員がどの選手を推したのか、投票したのか、は公表しちゃいけないんだけど、投票前の話し合いで戦い方があるんですよ。いまどきこんなにオープンな選考会もないと思うんだよね。投票箱に票を入れるやり方じゃないし、誰に投票したかその場でわかるからね。
――可視化されてるから“戦い”になりやすいんですね。
小佐野 「その意見はおかしいだろ!」と険悪になるときもあったんですよ。「その選手が選ばれるのは許せない」とか。
――許せないまで!
小佐野 いまだに門馬(忠雄)さんが「ボブ・サップと大仁田厚のMVPだけはありえなかった」って言うんだから。
――うわー、その2人はもう許してあげましょうよ(笑)。
小佐野 そのぐらいみんな熱くやってるんですよ。かつて選考員だった菊池(孝)さんもそこは譲らなかったし。
――菊池さんは『週刊ゴング』のレギュラーコーナー「三者三様」でも歯に衣着せぬ感じでしたよね(笑)。
小佐野 だから和気あいあいでやってるわけじゃない。そこは理解してほしいなと思います。門馬さんでいえば、今年で選考委員を引退されるんですよ。プロレス大賞は今年で50回目の節目なんですけど、門馬さんは第1回から参加してるんですよね。
――第1回のときはボクですら生まれてないですよ(笑)。
小佐野 第1回のとき門馬さんは35歳、今年で85歳。いまもなおプロレスを熱く語るわけですよ。
――85歳でプロレスを見て熱く語れるってすごいなあ。自分にその自信はないです!
小佐野 第1回のときはボクは中学1年生かな。それから50年経ったから当然還暦を過ぎて。門馬さんがご勇退されると、私が最年長者になっちゃうかもしれないですね(笑)。
――2023年今年のMVPは新日本プロレスの内藤哲也が4度目のMVPということで。
・選考委員が語る「2023年度プロレス大賞」
・選考は「戦い」である
・情報解禁前に情報漏洩した件
・台風の目だったウナギ・サヤカ
・先が読めないから面白い中嶋勝彦
・NOAHの試合順問題で拳王vs征矢に興味が増した…
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