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超RIZIN2の超アップセット、鈴木千裕のパトリシオ・ピットブル撃破の裏側!! パラエストラ八王子代表で鈴木千裕のMMAコーチの塩田“GoZo”歩氏を直撃しました!(聞き手/ジャン斉藤)


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――
鈴木千裕選手のMMAコーチ塩田さんにいろいろとお話をうかがいます! 

塩田 Dropkickは昔から読んでいます。Dropkick会員31名のうちのひとりなので、ジャンさんから取材されるのは嬉しいですよ(笑)。

――
「Dropkick会員31名」のネタを知ってるだけで本物です(笑)。ボクは90・00年代格闘技の話が大好きなので、塩田さんのことを取材したかったんですけど。今日は鈴木千裕選手のことで、後日あらためてお願いします!

塩田
 わかりました(笑)。

――
まずは先日の超RIZIN2でベラトールフェザー級王者パトリシオに劇的勝利おめでとうございます!

塩田
 ありがとうございます!

――
当然サポートする側としては、千裕選手の勝利を信じて疑わないというところはあったと思うんですけど。

塩田
 そうですね。ほぼほぼ全員がパトリシオが勝つと思っていたでしょうね。自分はセコンドとして「絶対に勝つと思っている」ということを千裕くん本人には伝えたんですよ。「他の全員が相手の勝利を予想していても、俺は本当に信じているから」と。でも、それには根拠があったんです。まず年齢。千裕くんは24歳、パトリシオは36歳。2人とも1ヵ月前に試合をしたばかりですが、年齢はポイントになりますよね。

――若い頃は年に3~4試合はやれるけど、歳を取るとそういうわけにはいかないですね。やっぱり現代格闘技はある程度のレベルまでいけば、紙一重な部分があって。今回のその根拠が複数転がってる試合だったということですかね。

塩田 そうですね。しかもパトリシオはセルジオ・ペティスとバンタム級でやりましたよね。いったん階級を下げた影響はあると思ったんです。で、セルジオ・ペティスは堀口(恭司)選手とやったときは何度もテイクダウンされてるけど、ピットブルはなかなか取れなかった。千裕くんのタックルの対応でいえば、クレベルみたいに片足タックルの対処はまだ甘いんですけど、正面のタックルには強い。だからパトリシオに取られる可能性は低いと思ったし、打撃勝負になったら千裕くんがいけるんじゃないかと。最初に緊急オファーを受けたときは「ちょっと無謀だよな……」と思ってたんですけど、情報を整理しているうちに「絶対に勝てる」と。自信を持って千裕くんを送り出しました。

――しかし、試合1週間前のオファーは驚きますよね?(笑)。

塩田
 ホントです(笑)。月曜日にクロスポイント代表の山口(元気)さんから「千裕はやりたいって言ってます」と連絡があったんです。自分はそこですぐに即答できなくて「ちょっと相手の映像を見させてください」と。そこでいけるんじゃないかと思ったし、千裕くん本人がやりたいならチャンスを逃す手はないなと。千裕くんに「絶対に勝つ気でやろうよ」って話はしましたね。

――通常では組まれないマッチメイクではありますよね。

塩田 この試合はたぶんピットブルありきですよね。AJマッキーが欠場して、他のカードを用意しようとしているときにパトリシオも出られると。向こうだって直前じゃないですか。そこはもう100パーセント、こっちのことを舐めてると思ったんですよね。だから千裕くんには「そこもチャンスだよ」って話したんです。

――これが仮にクレベルクラスが相手だったら受けてない可能性は高いということですね。

塩田 だと思います。千裕くんだからなんだろうなと。

――
千裕選手はRIZIN北海道大会のクレベル戦が終わってから練習はどんな感じだったんですか?

塩田
 いや、そんなにはやれてないですね。タイトルマッチがああいう結果になったことで気が抜けちゃった状態で。普段だったら休まないでパッと練習するんですけどね。

――
それくらいクレベル戦のショックが大きかったと。

塩田
 試合が急に決まった月曜日の夜からクロスポイントでキックの練習をやりだして、翌日の朝から、ここ(パラエストラ八王子)にも来ました。

――ちなみに普段の練習はどういうメニューでされてるんですか?

塩田
 MMAはここでプロ練です。こないだのパンクラスで中田(大貴)くんに勝った高木(凌)、パンクラスフェザー級ランキング1位の亀井(晨佑)、徳留一樹がいたりとか。あとは日大のレスリング部に行ったり、クロスポイントでキックやフィジカルをやったり。ブルドックジムにもちょっと練習に行ってるのかな。五味(隆典)さんのところは、たまにという感じだと思いますね。

――急な話でしたけど、千裕選手と作戦の話し合いはされたんですか?

塩田
 千裕くんは「ケンカのつもりでおもいきり行きます!」って言ってたんですけど、初めから殴りあいをやってもそんなにうまくいかないじゃないですか。

――そんなに都合よくはいかないですよねぇ。

塩田
 千裕くんのMMAレベルは上がっているし、MMAをやりつつ、その中で行けるときに行ってほしい。3ラウンド戦うつもりでMMAをやろう、鈴木千裕のMMAを全部出そうという話をしましたね。

――
マインドはケンカだけど、現実はMMAをやろう!と。

塩田
 そうですね。自分はそういう試合をやってもらいたいという話をしました。

――
千裕選手ってキャラ的に突っ走りそうですけど、周囲のアドバイスって聞くんですか?

塩田
 自分が千裕くんのことを見始めたのはRIZINの昇侍戦からなんですよ。最初は「自分は作戦はいらないです」って感じだったんですけど。昇侍選手に負けて、次の山本空良戦で作戦どおりやって勝てたら「自分、作戦どおり動けますね!」って笑ってました(笑)。

――
「俺、作戦もできる」みたいな(笑)。作戦の重要性を知ったんですね。

塩田
 そこから「作戦どうしますか?」と聞いてくるようになって。作戦も重要ですけど、千裕くんって動物的な勘にめちゃくちゃ優れてるんですよ。ピットブルの試合を2人でチェックしたときも「これ三日月(蹴り)が入るんじゃないですか」と。実際に長い距離からの三日月はかなり有効でしたからね。ボクはセコンドでよく「いいね、いいね!」と言ってるんですけど、最初の30秒で本当に「いいね!」って(笑)。

――真の「いいね」が出た(笑)。

塩田
 自分が思ってる以上にいい距離で戦ってるなって思ったんですよね。距離を見合ってちょっと構えを低くしてジャブや三日月を出したうえで、中盤の3分くらいにフィニッシュしてる。タックルもちゃんと切ったりして試合を組み立てている。勢いだけで勝ったわけじゃないんですね。細かいところを見れば、千裕くんがブンブン振り回してるわけじゃないのはわかると思うんですけどね。

――鈴木千裕を一皮剥くと、じつは緻密だと。

塩田
 とくにリーチ差は活かそうという話はしてて。三日月だけじゃなくて右ストレートもなるべく長く打とうと。最後は近距離のフックでKOしましたけど、その前に長いのをちゃんと使っていたんですよね。

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――
話を聞くと、やっぱりセコンドって信頼関係をどう結ぶかが重要ですね。最初の昇侍戦のKO負けから、試合を重ねていくうちに……ってことですもんね。

塩田
 そうですね。もともと千裕くんが高校生のときにちょっと練習していたことはあったんですけど。RIZINで戦うにあたり、山口さんが「塩田さんにMMAのコーチをお願いしたい」と。ただ、最初の昇侍戦に関しては、自分もそんなに言えないみたいな。要は信頼してない人からアドバイスされても……ってところはありますよね。

――
その昇侍戦は攻め過ぎたことでKO負けして。

塩田
 あのときの千裕くんはRIZINという大舞台でやるということで、ガンガン行かなきゃと思ったはずなんですね。山本空良戦は千裕くんのポテンシャルを出せれば勝てると思ってたんで「今回は自分が指示したどおりにちょっと抑え目で行き過ぎないようにやろうね」と。試合になったら「もうちょっと行ってもいいかな」と思うくらい忠実に戦って。

――
空良戦と昇侍戦は繋がってるんですね。


・平本蓮、萩原京平、中原由貴戦の振り返り
・千裕くんの強みは◯◯、課題は△△
・クレベルとグラップリングでやりあうくらいが理想
・再戦は千裕くんにアドバンテージがある
・ピットブルvsクレベルの乱闘のときは……
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