多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるコーナー。(この記事は8月6日にニコ生配信されたものを編集したものです)
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・平本蓮とRIZINの契約、井上直樹vs瀧澤謙太、PFLとベアナックルは美味しい?
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――RIZINのスポンサーだった議員さんですが、シュウさんは何か繋がりはあるんですか?
シュウ 堀江圭功選手と佐々木憂流迦選手の試合のときに花束贈呈をしていた方ですね。あのとき堀江選手にサムアップしてウインクしてますから、彼女。
――そんなことがあったんですか(笑)。
シュウ でも、これはRIZINさんにとっても被害者ですよね。じつは裏で詐欺をしていました……なんてわかりっこないですし。時系列ではTRIGGER開催あたりに、彼女の仲間のところには強制捜査が入ったらしいですけどね。
――さすが詳しいですね(笑)。
シュウ ジャーナリストからそういう情報が入ってくるんですよ。だけど、それだって専門家じゃないとわからないじゃないですか。
――以前もスポンサー絡みの問題があったじゃないですか。RIZINだけじゃなくてUFCやベラトールの選手をサポートしていたTDT。
シュウ ありましたねぇ。
――あのときはシュウさんのセンサーが危険を察知して、TDTのスポンサーを断りましたけど。今回はどうだったんですか?
シュウ そのセンサーはまったく動かなかったですね。ちょっと言い方が悪いですけども、RIZINさんに限らず、「この選手の試合を組んでくれ」と口を出してくるスポンサーってよくいるじゃないですか。実際スポンサーのプッシュで試合が組まれるってことはありますよね。
いきなり話は逸れますけど、これはもう時効なんで言いますが、昔のUFCの2代目マッチメーカーのジョー・シウバがマッチメーキングのミーティングのときに社内の他の人たちから「この対戦はどうかね?」みたいな提案が出たんです。営業部門からの意見はもちろんスポンサーの意見が反映する部分もあったと思うんですけど。そしたらジョーはこう返したんです。
「俺がオマエらのやっている仕事に口出したことあるか? なら俺の仕事に口出すな、黙ってろ」
この一言で終わったそうです(笑)。
――強烈ですね(笑)。
シュウ けど、他の団体では、スポンサーからのプッシュみたいな部分がまったくないとは言い切れないと思うんですね。
――どんなイベントもご当地選手は出たりしますし。いまは大人気選手も始まりはスポンサーのプッシュから……ってケースはけっこうありますよね。
シュウ ありました。そもそも選手に魅力がないとスポンサーもつかないですから。まあでも彼女のことに関してはそんなに深くは考えなかったですね。向こうからスポンサーのアプローチがあったわけでもないですし。
――それにまさか議員さんが、あんなことをやっているとは……ってことですね。
シュウ 我々一般人に簡単にわかるような話ではないですよね。どんだけ金を払って、ひとりひとりバックグラウンドチェックするんですかってことですし。選手からしても、それなりの会社で、それなりの名刺があって、それなりのホームページがあったら、それは「ありがとうございます」ってスポンサーを受けちゃいますよね。さらには議員だったら、クレデンシャルとしてはバッチリじゃないですか。
――ダークな話から入っちゃいましたけど。本日UFCで佐藤(天)選手の試合がありますね(この配信は8月6日に収録)。
シュウ いまラスベガスは朝7時なんですけども。
――今回シュウさんは長いあいだラスベガスにいらっしゃいますね。
シュウ そうですね。まず8月30日の「ダナ・ホワイト・コンテンダーシリーズ 」に出場する木下憂朔選手が撮影のためだけにこちらに呼ばれたんですよ。
――撮影だけのために日本から呼ぶってすごいですねぇ。
シュウ UFCはやっぱり景気がいいんで。しかも付添人の1人の渡航費と宿泊費、食費も出してくれるんですよ。
――だから萩原京平選手が同行してたんですか?
シュウ そういうことなんですよ。木下くんはせっかくの機会ですから佐藤選手とUFC PIで一緒に練習してもらって。
――佐藤選手はUFCファイターだからUFC PIを使えますもんね。
シュウ 面白いことにUFC契約選手とコンテンターズに出る選手って、くっきり差をつけるんです。まず撮影場所はUFC APEXなんですけど、絶対にオクタゴンを見せてくれない。PIにも連れてってくれない。「オマエらはまだまだ」みたいな扱いで。
――試合で使うグローブにもUFCのロゴがなかったり。
シュウ しかもコンテンターズだと宿泊先は安いホテルなんですよ。UFCファイターはすごく高い一流ホテルなんですけど。そこも線引きしてるんです。
――ちゃんと格差をつけるんですね。
シュウ だけども木下くんにUFC PIで練習させたかったし、実際のファイトウィークを経験させたかったので、2泊延泊してもらいました。萩原選手は、佐藤選手とかセコンドが身体のでかい選手が多かったんで、練習しづらい部分もあって。かわいそうだったので、シンジケートMMAのコーチに電話して、プロ練に参加してもらいました。そこにたまたまアルジャメイン(・スターリング)とメラブがいたんで、萩原選手も一緒に練習できたんです。
――シュウさんがアテンドしたんですね。
シュウ ある日本人選手がシンジケートMMAに行くことになってるんで。その件で交渉もしなくちゃいけなかったので、一石二鳥みたいな感じだったんですけども。
――そういえば同時期に中井りん選手もラスベガスにいましたね。
シュウ 中井選手には会えてませんね。ベガスの大手ジムはエクストリーム・クートゥアとシンジケートしかないんですよ、中井選手はエクストリーム・クートゥアですよね。あそこは身体のでかい選手が多いんで、シンジゲートMMAにしました。アルジャメインとメラブがいることがわかっていましたし。
――さすがラスベガスだけにトップどころがウロウロしてるんですねぇ。
シュウ 最近アメリカのチームのトレンドは、試合の朝ちょっと身体を動かすんですよ。モーニングシェイクダウンって言い方をするんですけども。そのほうが試合の調子がいいという話をしてたら、そのときに木下選手や萩原選手が言っていたことは、日本の大会は拘束時間が長過ぎると。要するに、8時間、10時間も前に会場入りしなくちゃいけないじゃないですか。そうすると、モーニングシェイクダウンの意味がない。UFCだとモーニングシェイクダウンしたあと、部屋に戻ってゆっくりしてから会場入りできるんですけども。
――日本の大会は全選手が第1試合前から集合ですね。
シュウ たとえば「RIZINみたいな開会式は必要?」って聞いたら、みんな全然必要じゃないって言うんですよね。試合前のリングチェックもいらないし、会場入りを遅くして、UFCみたいにその姿がカメラに映ったほうがカッコいいじゃないかと。
――たしかに長時間興行でメインクラスの選手が第1試合前から会場入りするのはけっこう大変ですね。
シュウ RIZINに出たジェシカ・アギラーも言ってましたから。「なんで、そんな長いあいだ会場にいなくちゃいけないの?」って。
――アギラーの試合順はセミでしたし。
シュウ 「オープニングショーがあるのが、ジャパニーズMMAのいいところだろう?」ということで納得してくれたんですけれども。たとえば日本なら野球の試合でもそうですよね。東京ドームなら、あのライトからレフトまで続く大きなビジョンをフルに使って、チアリーダーが出てきて、英語で言うとTheatrical Experience、つまり劇場で見るショー、スーパーボウルのハーフタイムショーとかブロードウィーとかのショート・バージョンみたいなものが見れる。
これって、じつをいうとジャパンのスポーツ文化でもあるんですよね。それをアメリカのファンが観に行き体験すると、だいたいの人たちは「すごくクールだ、なんでアメリカでもやらないんだろう?」と言うんですよね。けど、選手にとっては負担になるんで、できれば選手がいなくてもいいジャパニーズMMA独特の開会式を創作してくれればいいのでは?と。そこらへんはそれこそ佐藤大輔さんの演出チームの腕の見せどころでしょ?とも思うんですよね。
――なんとかなりそうですね。あと運営側が管理しなくても、選手やセコンドがちゃんと時間どおり会場入りできるようにお願いしたいです(笑)。
シュウ ついでに聞いたのはリングとケージ。絶対にケージのほうがいいと。みんなそう言うんですよ。そこで面白い話があって。今回のアギラーのセコンドには、ボクのビジネスパートナーのブラジル人がついたんですけど。彼から言われたのは「RIZINのリングは素晴らしい」と。あんなにロープに張りがあって落ちにくい画期的なリングだと。
――改良を重ねた結果。
シュウ インターバルのときに、セコンドもリングの中に入らなくちゃいけないじゃないですか。あまりにもロープが張りがよすぎて、彼の身体も大きいこともあってロープとロープのあいだに入るときに「おちん○んが当たって痛い」と(笑)。
――ハハハハハハハ! そんな問題が(笑)。
シュウ はい(笑)。「おちん○んを一生懸命、抑えながらリングインしなくちゃいけないぐらい、張りが良かった」と。
――RIZINのリングはおちん○んに気をつけろ(笑)。
シュウ じつをいうと、ウチはブラジルのサンダーファイトという団体の株を買って、会場をつくったりして、いろいろとやろうとしてるんですけど。彼いわくリングはリングで面白いから、RIZINも非常に参考になるっていうんですよ。若い選手たちはケージでやりたいという意見ですけど、RIZINも素晴らしいリングをつくっているということですね。
――RIZINもいまのところケージに完全移行する気配はないですけどね。
シュウ そこは差別化を図ってるんですかね、他のイベントと。なんとかストップ・ドント・ムーブをなくせれば最高のリングなんですよね。あのルールだとレフェリーの介入が多すぎるし、あのストップ・ドントムーブは選手からも明らかに不評ですし。ただもう世界中どこでもMMAはケージですからね。いまさら「ケージとリングどちらか観やすいか?」という論議をすることもないと思いますし、まさか国際プロレス時代に遡って、一般視聴者にケージはショッキングだとか言う人もそんなにいないと思いますから。逆にキックやボクシングとの差別化、そして選手全体の競技面でも強化を考えたら、リングにこだわる意味はまったくないと私は思います。
――今回は、シュウさんがマネジメントする選手がケガやコロナで続々と欠場することになってしまって大変だったみたいですね。
シュウ 憂流迦選手もコロナで欠場。これも仕方ないんですけど、本人はギリギリまでやろうとしてたんですよ。
――感染時期からすると、回復すれば試合は出られなくもなかった日程ですけど……。
シュウ でもまあ現実的ではないですよね。ボクはコロナになった時点でダメだなと思ってました。そのあいだは全然運動できないし、対人練習もできないし、調整もできない。それに咳がずっと止まらなくて。だけども彼は陰性になったら、やりたいと言ってたんですけども。でも、保健所から「29日まで絶対に家から出るな」って言われちゃったんですよ。それじゃあ、もう無理じゃないですか、30日は計量なのに。
――そこでシュウさんがマネジメントする関(鉄矢)選手が代役として緊急出場と。
シュウ RIZINさんのほうから「関さん、どうですか?」という打診があって。関選手も1週間ばかり仕事が忙しくて、そんなに練習はできてなかったんですけど。キャッチウェイトならできるということで。あともうひとつ重要なのは、こういうときは無理して出るわけですから、次の試合も保証してもらったほうがいいですよね。
――ショートノーティスはただでさえ不利ですし。
シュウ だから今回関選手は2試合契約で受けましたよね。そうしないと、かわいそうじゃないですか、無理して受けて負けたら。
――関選手は先日の「ROAD TO UFC」で緊急オファーを受けたら、じつはパスポートが切れていた……という騒動があったばかりですけど、こういうチャンスが巡ってきて。試合もアグレッシブに戦ったことで評価を上げましたね。
シュウ 関選手はRIZINやDEEPでずっとコンスタントに試合をやれていて、試合も面白いんですけど。ただ勝ててないのがちょっと悔しいですけどね。
――もうひとつ残念だったのは、井上直樹選手が瀧澤謙太戦をケガで欠場と。
・井上直樹は大晦日に間に合う
・神龍誠のUFC契約は?
・「元UFCファイター」に勝っても意味がない?
・LFAのギャラはPFLの10分の1
・タイガームエタイ分裂
・格闘技ジムにネーミングライツ
・Breaking Downとプロアスリート論……など15000字のMMAマシンガントークはまだまだ続く!
この続きと星野育蒔、所英男、寺田克也、ビンス引退、齋藤彰俊などの8月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「14万字・記事16本の詰め合わせセット」はコチラhttps://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar2117637
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コメント
めちゃくちゃ勉強になるし、海外目指す格闘家はこれ読んだ方がいいね
工藤選手の次戦が佐藤天選手より上とは驚き!
UFC中毒!!Twitterにも沢山いますね笑
海外のMMA事情は中止になったヒョードルVSジョシュ・バーネットのアフリクションで止まっています。
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