アメリカのインディプロレスの“現在”を伝える連載! アメリカインディープロレス専門通販「フリーバーズ」(https://store.shopping.yahoo.co.jp/freebirds)を営む中山貴博氏が知られざるエピソードを紹介していきます! 今回のテーマは 「我々はカサイに無礼なことしてしまったのか?」……葛西純がアメリカでふたたび血を流す日です!
アメリカが葛西純を待っていた。デスマッチのカリスマは自分たちの過ちにより、二度とアメリカで血を流してくれないと思い込んでいた。新型コロナが世界を襲う前、葛西純が所属するプロレスリングFREEDOMSは、フロリダ州タンパで団体初となるアメリカ大会を2020年4月4日に開催する予定だった。
前年末から無期限の長期欠場に入っていた葛西純は、アメリカ大会では試合をせず、サイン&握手会を行うと発表。そんな“デスマッチのカリスマ”葛西純に、“アメリカデスマッチのカリスマ”ことニック・ゲイジが猛然と噛み付く。
「俺ら知り合ってからもう20年か。そのあいだ、俺は悪いことして牢屋にも入っていたんだ。いくらオマエが怪我しているとはいえ、アメリカに来てサイン会だけして日本に帰っちまうってのは筋が通らねぇぜ」
現在の米デスマッチの代表選手とも言えるニック・ゲイジの対戦要求に、葛西純はどこ吹く風と無反応。そんな挑発になかなか乗ってこない葛西純に対し、ニック・ゲイジが放った「俺とヤリてぇんだろ」。この強烈な一言には、葛西純もようやく重い腰を上げた。
受けて立った葛西純は、パートナーに竹田誠志を指名し、タッグデスマッチとして復帰戦を行なうことを発表。対するニック・ゲイジの相棒はマット・トレモントと、日米デスマッチ四強が揃い踏みし、葛西純復帰を看板にしたFREEDOMSアメリカ大会は開催されるはずだった。
しかし、新型コロナウイルスのパンデミックにより、大会開催は中止になる。本来ならば、ここからFREEDOMSとGCW(ゲーム・チェンジャー・レスリング)による『日米デスマッチ大戦争』が始まるはずだった。しかし、コロナウイルスの猛威が終息しない中、日米両国を股にかけたその計画は暗礁に乗り上げてしまった。この計画は、現代デスマッチの象徴、葛西純なくしては始まらなかった。
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