多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるコーナー。今回のテーマは大晦日です!!(この記事はニコ生配信されたものを編集したものです)



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【1万字インタビュー】シュウ・ヒラタが「RIZIN大好きさん」とのバトルの内幕を激白!

オファーがあるのに「オファーがない」とは何か?



――
シュウさんがマネジメントする選手が4人も大晦日RIZINに出場しました。まずはなんといっても度肝を抜いたのは、元谷友貴選手に一本勝ちした井上直樹選手の圧倒的な強さなんですけども。

シュウ 皆さん衝撃的というか度肝を抜かれました?

――
超衝撃的でした!

シュウ 直樹くんのRIZINデビュー戦だったトレント・ガーダム戦は足をケガしてして蹴りをほとんど出せず、渡部修斗戦のときもある箇所をケガしていて。どちらも万全の状態で試合をすることはなかったんですけど。今回も100%とは言えない状態の試合だったというか、リカバリーが長引いてるケガがあったんですけども。

――
あれでまだ完全体じゃなかったなんて恐ろしいこと言いますね(笑)。

シュウ
 だから100%の状態だったら本当にとんでもないことになりますよ。 UFC2戦目に現在ランカーのマット・シュネルと戦ったときも足を捻挫したままオクタゴン入りしてますからね。試合後にヒビが入ったことがわかって。そんな状態でなんかとフルラウンドやりきったので。

――
もしかしたら井上選手の最大の敵はコンディションかもしれないですね。

シュウ
 そうかもしれないですね。

――
シュウさんからすれば、今回はゲームプランどおりの戦い方ですか?

シュウ
 これこそ「ザ・MMA」という戦い方なんだと思うんですよ。まずリング中央を制しジャブで先手を取る。前に言ったと思うんですけど、クリス・ワイドマン選手が構えからノーモーションでストレートにくる直樹くんのジャブを見習わないと、と言うぐらい彼のジャブは昔から選手やコーチのあいだで評価が高かったんです。シュネル選手が試合後に直樹くんの控え室まで来て「いやぁジャブが全然見えなかった」と言ったぐらいなんで。打撃を細かく当てて、仕方なくタックルに来たところをリバースして仕留める。 なぜこんな試合ができるかといえば、直樹くんは打撃ができるからなんですよ。彼は14歳のときからアマでキックやSBルールの試合をしてきて、17歳ぐらいのときにアマチュアキックボクシングの東日本トーナメントを制する実力を持っていたわけじゃないですか。ここ2年間はニューヨークで練習を重ねて、日本では那須川天心選手や志郎選手、井上尚弥選手を見ているニックさんこと永末貴之さんにトレーナーとしてついてもらって。志郎選手とスパーリングをしてボクシング技術を磨いて、どんどん打撃がうまくなってるんですよね。

――ただでさえ類まれな才能が磨かれていったんですね。

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シュウ それと彼は19歳でUFCと契約して、デビュー戦は相手の体重オーバーによるペナルティでファイトマネーの30%のお金をもらって。そのうえで勝利したのでデビュー戦の時点からお金が入ってくる環境があったので、格闘技以外の仕事をしないで二部練習ができたことは大きいと思いますよ。日本からニューヨークに移ってセラ・ロンゴのところで練習した初日、直樹くんの動きを見たコーチのレイ・ロンゴがボクのところにスタスタと歩いてきて「2~3年後には手がつけられなくなるんじゃないの?」と。

――実際、手がつけられなくなってますね(笑)。

シュウ もともと寝技が強かったのにマット・セラBJJにいるトップ・グラップラーたちと、そしてガチガチのレスラー・タイプのアルジャメイン(・スターリング)や突進馬鹿力タイプのメラブ(・ドラリシビリ)と1年半近く練習をしてきた貯金は大きいと思いますね。2人とも日本にはなかなかいないタイプの選手です。

――今度UFCバンタム級ピョートル・ヤンに挑戦するアルジャメインと。

シュウ 元谷選手も素晴らしい選手ですけども、アルジャメインと比べたらどうしたって違ってくるじゃないですか。試合前に直樹くんと話したときに「まさかアルジョ(アルジャメインのニックネーム)やメラブよりフィジカルが強いということはないでしょ」と私は言ったんです。元谷選手と戦って組んでもビックリすることはないだろうな、とは思っていたんですよ。そしたら直樹くんも、ニコッと笑って「はい、アルジョより強いことはないと思いますし、逆にそうだったらビックリですよね」と言ってたんです。

――井上選手はあのとおり寡黙というか超口下手ですけども、格闘技に対する自信を相当あるって聞いてるんです。

シュウ そうなんですよ。いままでやってきた中で「凄く強いと思った相手は1人もいない」と。

――凄い自信だ!(笑)。

シュウ  ただしスパーリングをやってみて「アルジャメインにはいまは勝てない。2~3年後には勝てる」と。

――……あのアルジャメインに「いまは」勝てないって言えちゃうのも凄いですけどね。

シュウ  姉の魅津希ちゃんも「あと2〜3年ください」と言ってましたね。直樹くんのことを話すときはやや先輩・年上・コーチ目線なんですよ(笑)。厳密には白心会に入門したのも直樹くんのほうが早かったから、厳密には後輩なんですけど。アルジャメインは相当強いんですけどね。

――存じ上げております(笑)。

シュウ 今回の試合が終わったあと直樹くんがやったことは堀口(恭司)くんと朝倉海選手の試合をじーっと分析です。

――怖い(笑)。

シュウ いま日本では分析が流行ってるかもしれませんが、アメリカでもブラジルでもヨーロッパでもチームならどこのコーチもメッチャ相手を分析してますよ。

――カーフキックの件もそうなんですけど、RIZINで起こることって初めて世の中で起きたと捉えてしまう傾向が日本にあって。それだけRIZINが注目度の高いイベントだってことなんですけど。

シュウ
 そうすることでトピックスになって広まるから、それはそれでいいことだとは思いますね。直樹くんもカーフキックは出してますからね。

――
第1試合のスダリオ剛選手もカーフでKOしてるんですよね(笑)。

シュウ
 直樹くんの話に戻ると、ファンの方の興味は「次は誰と戦うのか?」ということだとは思うんですけど。正直3月に東京ドーム大会にもし堀口選手が出るんであれば、ベラトールのバンタム級王者アーチュレッタとやらせたいはずですよね。

――
ただ堀口選手は1月末にアメリカに帰国するので、そうすると東京ドームの3月14日までの行ったり来たりの隔離生活はちょっと厳しいのかなとは思うんですよね。

シュウ
 そこですよね。 朝倉海選手と戦うのも面白いですけど、今回の試合でケガをしてますし、ボクが海選手のマネージャーの立場だったら、いまの状況で直樹くんとはやらせたくないです。だったらボクは直樹くんの相手としてベラトールからバンタム級の選手を連れて来てほしいんですけど。

――日本に馴染みのあるのであればコールドウェルですかね。もしくは元谷選手を倒したパトリック・ミックス。

シュウ
 日本視点だとそうなっちゃいますよね。 マネージメントからすると連れて来てほしいのは、ただ1人なんですよ。セルジオ・ペティスですね。

――おお、なるほど! それは面白いですね。

シュウ
 ファイトスタイル的に直樹くんとは合うと思うし、しっかり勝てると思うんですね。

――でも、セルジオ・ペティスはファイトマネーが高そう(笑)。 

シュウ そこですよね(笑)。なぜボクがペティスがいいかといえば、直樹くんがこの先UFCに戻るとなったときに、この試合に勝つことは凄く大きいんですよ。

――UFCのトップファイターの1人でしたもんね。

シュウ まあ、そんなことはボクが勝手に言ってるだけで、そのとおりにことが動くかはわからないですけど(笑)。直樹くんからすれば、いまの勢いまま堀口選手とやりたいと思ってるはずですよ。

――興行的に考えるともう1試合、挟みたいところなんですよね。 となると対戦相手選びがもの凄く難しい。

シュウ
 堀口選手以外だったら海選手だとは思うんですけど。間に合わないのであれば、ペティスの選択なのかなと。マゴメド・マゴメドフみたいなのが出てきたら困りますけどね(笑)。

――
アイツは絶対に日本に呼んじゃダメですね(笑)。憂流迦選手も次戦の相手として名前を出してましたけど、扇久保博正選手が現実的なのかなあとは。 

シュウ
 扇久保選手とは憂流迦選手が前からやりたがってるんですよね。いまだからいうと、憂流迦選手は今回の大晦日は瀧澤謙太選手じゃなくて扇久保選手でプッシュしてたんですよ。でも扇久保選手は11月に試合をしたばっかり……ということで。

――
憂流迦選手と直樹選手をマネジメントとしてるからシュウさんとしても難しい立場ですね。

シュウ
 そこはRIZINさん次第になりますよね。

――
扇久保選手からすれば、いまの井上直樹に勝つことって凄く大きいですもんね。

シュウ
 直樹くんにしてもここで扇久保選手に勝ては確実に挑戦権を手にできるわけじゃないですか。そうなってくるとバンタム級も面白くなってきますよね。

――
井上選手の課題はマイクだけですね(笑)。

シュウ
 マイクに関してはジャンさんの言うとおり、あのまま放っておいて毎回放送事故にするのも面白いんじゃないかと思いますね(笑)。 お姉さんの魅津希ちゃんはMC能力もあるぐらいなんですけど、姉弟でまったく逆ですからね。直樹くんみたいなキャラがいてもいいとは思うんですけど。

――
マイクの練習をしてうまくなるタイプでもないですよね。

シュウ
 ひとつだけ気になることは……マネジメントの悪い癖でロングタイムで物事を見ちゃうので、バットケースも考えちゃうんです。今回の試合も素晴らしいパフォーマンスだとは思うんですけど、逆にせめぎ合いの試合ができてないことを不安に感じちゃうんですよ。

――
なるほど! 

シュウ
 今回の試合は3分で終わって息も乱れず終わってますから、正直アップの方が疲れたんじゃないかって感じだと思いますよ、ある意味。それでいきなり3ラウンドのガチガチのせめぎ合いをしたときに、どうしても集中力やスタミナが切れることはありえるじゃないですか。そこは贅沢な悩みであるんですけど。

――
堀口選手はRIZINに来てからKO一本勝ちを連発してますけど、UFCでは地味な相手にフルラウンドやって制している試合が多いんですよね。試合巧者でもある。 

シュウ
 どんなスポーツでもそうですけど、強い奴と戦えば強くなるじゃないですか。 そういうせめぎ合いで勝つことが強さに繋がっていくと思うんですよね。直樹くんの自信にもなると思いますし。

――次はいろいろと話題の平本蓮選手です。 MMAデビュー戦は敗戦でしたが……。

シュウ ツイッターでも「なんで試合後の記者会見に出なかったのか?」とか質問が飛んできて。

・平本蓮のこれから…
・憂流迦フェザー級転向!?
・MEGA2021は?
・アメリカの練習環境……10000字インタビューは続く!!
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