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大会ギリギリのカード発表が話題を呼んだ金太郎戦。スリリングな打撃戦で会場をわかせ、スプリットの判定でバンタム級トップグループへの挑戦権を手にした瀧澤謙太インタビュー。金太郎戦をあらためて振り返ってもらった。

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――
瀧澤選手、RIZINデビュー戦での初勝利おめでとうございます! 反響は大きかったんじゃないですか。

瀧澤 大きかったですけど、それは相手が金太郎選手だからこそですね。他の選手が相手だったら、ここまで注目されなかったのかな、みたいな。

――
今回はギリギリまで対戦相手が決まらない中で調整は大変だったと思いますが、出場自体はいつ頃に内定されていたんですか。

瀧澤
 8月大会2連戦のお話をいただいたので、 試合ができるなら8月も準備しますと。手術した右の拳は6月末から7月頭には完治する予定だったので、8月はギリギリ間に合うかなあという感じだったんですけど。結局8月の試合は流れたので9月によろしくお願いしますということで。

――
でもギリギリまで相手がなかなか決まらないと。

瀧澤
 対戦候補は何人かいたんですけど全員オーソドックス。その中で金太郎選手も候補に入ってきたんです。金太郎選手はサウスポーじゃないですか。ギリギリになってサウスポーとの対戦もありえるなと。ぶっちゃけスパーリングはサウスポーとはやってなかったんですよ。それに指がじゃっかん痛くてスパーをやると悪化するかもしれないので、ミットに切り替えようとしたときに金太郎選手に決まって。

――
サウスポーとはスパーできなかったんですね。

瀧澤
 金太郎選手という話が出た時点でサウスポーのミットをやり始めて。試合6日前に金太郎選手と決まって「よっしゃあ!!」という感じでしたね。

――
「よっしゃあ!!」なんですね。

瀧澤
 そうですね。 ボクの中では金太郎選手が一番話題を呼ぶだろうなって。そのときはそんなに手こずる相手ではないだろうなとは思っていたので。蓋を開けてみたらそうでもなかったんですけど(苦笑)。試合前は1ラウンドか2ラウンドで倒すイメージができていて。

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――サウスポー対策ができなかったことのは不安ではなかったんですね。

瀧澤
 不安になるような気持ちはなかったですね。普通に勝てる、倒せるって感じで。だから判定になったときにはKOできなかったショックが大きかったというか。自分も試合前に「KO 決着しかありえない、判定はありえない」と言ってたので「これは批判が殺到するぞ……」と(苦笑)。

――
あんな大口を叩いておいて判定とは何事だ!みたいな(笑)。

瀧澤
 「最悪だ!」と思ってて。でも、SNSでは「よかった」という声のほうが多くて安心しました。みんながKOを見たかったはずなんですけど、「楽しかった」とか「バチバチの試合だった」とか喜んでもらえて。

――
相手が決まらなかったことへの焦りはなかったんですか?

瀧澤
 早く決まってほしいなあとは思ってたんですけど、 RIZINのデビュー戦からガタガタ言ってらんないなあと。デビュー戦から相手がどうのこうのとか言ってたら、しょーもない奴に思われちゃうじゃないですか。「相手は誰でもいい」ということはRIZINさんには言ってました。

――
KOできる自信があるとのことでしたが、どういう戦略だったんですか?

瀧澤
 金太郎選手がステップインしてパンチを打ってくると考えていたんですよ。そこをカウンターで倒すイメージはしてたんですけど、 金太郎選手はステップインしてこなかったので。

――
金太郎選手は距離は詰めてきてましたね 

瀧澤
 距離は詰めてきましたけど、蹴りを放ってからパンチとか、それまでの戦い方とは違うなと。「本能で戦う」ようなことは言ってるんですけど、けっこうクレバーな戦い方をしてきたので。金太郎選手はドンパチやって負けてる試合もあったので、自分の中で技術を磨いて、勝てる可能性を高めてきたんだと思うんですよ。ドンパチやっちゃうと練習の成果を活かせなくなったりすることがあるので。だからちゃんと作ってきたなという印象があって、最初は戸惑いましたね。オラオラってやってきたときに、かわすのはそんなに難しいことではないと思ってたので。向かい合ったときも、もうちょっとオラオラ来るのかなと思ったんですけど、スポーツマンみたいな対応でしたし。

――
瀧澤選手の作戦はステップインしてきたときにカウンターを狙うと。

瀧澤
 作戦的には入ってきたところに腹にヒザを効かせてKOするという作戦で。変則的な右ハイキック、腹に見せかけてハイキックを決める。あとは距離を詰めてヒザで腹か顔面を狙って、倒れたところでパウンド……とイメージはできてたんですけど。ステップインで飛び込んでくるパターンではなかったし、徐々に腹は効かせられたけど、倒れるほどのダメージを与えられなかったので。相手もうまい感じで戦ってきたので荒削りに攻めないとなと思って、一気に前に出てバチバチにやりにいったって感じですね。

――
そこはあえて前に出たんですね。

瀧澤
 リスクは背負いたくなかったんですけど、散発で終わっていたので、もうちょっと近い距離で打たないとダメだなって。

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――
瀧澤選手のあのヒザは本当に有効でしたね。

瀧澤
 相手はサウスポーなので右のヒザは有効ですよね。もともとはサウスポーに対しての右の攻撃、右のヒザが得意で。最近は練習でオーソ相手でも倒せるようになってきたんですけど。いままでの自分の試合を分析すると、ヒザがキーになっていて最後にパンチで倒している。ヒザがあったからこそ勝負をつけられていると気付いていたので、今回の試合もヒザが鍵になるとは思ってて。実際にヒザで効かせて相手の動きが悪くなったところにフックが当たったし、 プレッシャーもかけられて。

――
石井逸人戦の飛びヒザが衝撃だったので、金太郎選手もヒザは気にしていたんでしょうね。

瀧澤
  だからステップインしてのパンチはなかったし、 出入りはそんなにしなかったのかなと。そこはリスクがないような戦い方をしてきたなっていう。このヒザのイメージがあると相手もタックルには入りづらいじゃないですか。それが相手の頭にあるということはボクにとって大きいことだと思いますね。

――
ダウンを奪ったあとテイクダウンの攻防に移りましたよね。瀧澤選手はデフェンスする側で。

瀧澤
 まったく問題ないという気持ちでした。極められる気もしないし、 殴ってくる気配もなかったように感じたんですね。金太郎選手はとりあえずクラッチだけを外さないことだけを考えてる感が伝わってきて。テイクダウンしたいなら壁から離してリングに中央に振るはずなのに、強く押し込んできたので「グラウンドに行く気はないんだな。とりあえず時間を稼ぎたいんだな」と。映像を見返したらわかるんですけど、グッと押し込むことだけを考えてるというか、 グランドに投げてパウンドという感じも伝わってこなくて。

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