労働組合役員として(いろいろな立場持ち)、「退職」について業界のお話を。 美央ねえさんのツイートなどから、ネオプラスとの間には雇用契約がある可能性が高そうです(もちろん、それじたいを争うことも可能です)。 その場合、契約が有期なのか無期なのか(年ごとの契約なのかどうか)で事情が異なります。 もし有期雇用なのであれば、後述の例外を除き、会社・従業員のどちらからも、一方的な契約解除を行うことは不可能です。 もし無期雇用なのであれば、民法627条により、従業員からの退職申込みは、一方的な表明後、2週間で成立し、会社の同意は必要ありません(会社からの申込み(=解雇)は、労働基準法12条により、1ヶ月ぶんのマージンが必須であり、かつ判例の積み重ねにより特別な事情がない限りはそもそも不可能)。 そしていずれの場合も、労働基準法15条に「労働契約が実態と異なっていた場合は、一方的に即時の解除(=退職)ができる」という例外規定があります。 ジュリア選手からの「退職申込み」は13日ですので、スターダムへの顔出しは完全に2週間以内。 ですので、今回の件のポイントは、 ・有期雇用なのか無期雇用なのか ・もし無期なら、民法上の「2週間」の間に他団体に無許可で出場出演してはならないという契約が存在するのかどうか(もしあるのならそこに反する) ・労働契約と実態の間に乖離があったのかどうか ・そもそも、労働契約として無効なのかどうか あたりでしょうか。 以上を踏まえての私見ですが、本件、仮にネオプラスがスターダムを訴えたら、「ジュリア選手に理がないことにより、ネオプラス有利の和解が成立」となる可能性が高いと考えます。 ジュリア選手やスターダムはおそらく「雇用契約ではない」「労働契約として無理があった」の2点を言うしかなく、そのどちらも、判決では認められない可能性が高い。しかしこの程度(失礼ですが)の争いの場合、裁判官は、判決を書くことを極度に嫌います。そして強引に和解を勧めてきます。 で、そういう見通しはかんたんに立つので、やっぱり裁判にするという話にはならないと思うんですよね。それよりも「未来」を考えたほうが会社の実務としてもベター、となりそう。
チャンネルに入会
フォロー
『Dropkick』チャンネル
(ID:3843977)
労働組合役員として(いろいろな立場持ち)、「退職」について業界のお話を。
美央ねえさんのツイートなどから、ネオプラスとの間には雇用契約がある可能性が高そうです(もちろん、それじたいを争うことも可能です)。
その場合、契約が有期なのか無期なのか(年ごとの契約なのかどうか)で事情が異なります。
もし有期雇用なのであれば、後述の例外を除き、会社・従業員のどちらからも、一方的な契約解除を行うことは不可能です。
もし無期雇用なのであれば、民法627条により、従業員からの退職申込みは、一方的な表明後、2週間で成立し、会社の同意は必要ありません(会社からの申込み(=解雇)は、労働基準法12条により、1ヶ月ぶんのマージンが必須であり、かつ判例の積み重ねにより特別な事情がない限りはそもそも不可能)。
そしていずれの場合も、労働基準法15条に「労働契約が実態と異なっていた場合は、一方的に即時の解除(=退職)ができる」という例外規定があります。
ジュリア選手からの「退職申込み」は13日ですので、スターダムへの顔出しは完全に2週間以内。
ですので、今回の件のポイントは、
・有期雇用なのか無期雇用なのか
・もし無期なら、民法上の「2週間」の間に他団体に無許可で出場出演してはならないという契約が存在するのかどうか(もしあるのならそこに反する)
・労働契約と実態の間に乖離があったのかどうか
・そもそも、労働契約として無効なのかどうか
あたりでしょうか。
以上を踏まえての私見ですが、本件、仮にネオプラスがスターダムを訴えたら、「ジュリア選手に理がないことにより、ネオプラス有利の和解が成立」となる可能性が高いと考えます。
ジュリア選手やスターダムはおそらく「雇用契約ではない」「労働契約として無理があった」の2点を言うしかなく、そのどちらも、判決では認められない可能性が高い。しかしこの程度(失礼ですが)の争いの場合、裁判官は、判決を書くことを極度に嫌います。そして強引に和解を勧めてきます。
で、そういう見通しはかんたんに立つので、やっぱり裁判にするという話にはならないと思うんですよね。それよりも「未来」を考えたほうが会社の実務としてもベター、となりそう。