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――今回のテーマは最近プロレス界で多発している「ケガ」になります。
――昔のように巡業が終わったらしばらくオフ……ではなくなってますね。
小佐野 全日本プロレスの秋山(準)社長が言っていたのは「いまはシリーズのオフでも土日に興行が組まれることがある」と。営業からすれば土日が一番稼げるから単発でも興行をやってほしいんだろうね。
――となると、シリーズ関係なく毎週試合があるわけですね。
小佐野 経験豊富のベテランならうまく調整できるけど、若手の場合はずっと緊張したまま過ごしてしまうことになる。ちゃんと身体を休めることはできないから、ケガをしがちになってしまうんじゃないか……と秋山社長は言っていた。
――昔と比べて試合数は減ってますけど、現代ならではの悩みではあるんですね。
小佐野 昔は年間何百試合とかやってたんだけどね。全女は年間300試合とか。全女の納会で松永会長が来年のスケジュールをドーンと発表すると、選手からブーイングを起こるというね(笑)。いまは試合数は減ってるけど、試合のクオリティー自体は相当上がってるから。
――技や動き自体も高度になってますよね。
小佐野 試合の内容も細かくなっているし、リングのマット自体の質はよくなってるけど、受け身を取る回数は圧倒的に多くなってるから。
――リングのマットが柔らかくなったと批判されたりしましたが、受け身の回数は2倍、3倍……5倍に増えている……と言っても過言でないですからねぇ。
小佐野 どんなマットであろうが叩きつけられたら痛いし、マットが柔らかいと疲れるという話もあるからね。それに昔はボディスラムでワンツースリーを取れたけど、いまはそうじゃないから。
――いまは前座から大技ラッシュですよね。
小佐野 そういう試合じゃないと、お客さんが飽きちゃうからね。かつてハーリー・レイスが「ボディスラムはプロレスの革命だった」と言っていて。ボディスラムでマットに叩きつける音でお客さんが沸くようになったんだよね。ハーリー・レイスは受け身もうまかったから、受け身の音の重要性をわかっていたんだろうね。
――受け身の音によってプロレスに革命が起きた、と。
小佐野 それがブレーンバスターやバックドロップに変わっていき、受け身が取りづらい投げ技になっていった。相当なダメージを与えないとワンツースリーは取れないよね。
――必殺技でも一発で決まると逆に違和感がありますもんね。
小佐野 「この必殺技を返しちゃったらどうするの?」っていうシーンにファンは興奮したり、そのレスラーを高く評価するわけだからね。若いうちはみんな動けるでしょ。ベテランになると無駄なものをそぎ落としてシンプルな動きに戻っていくんだけど、若いうちは無駄なことをしたいんだよね。
――たまに「なんでこんな素人をリングに上げてるんだろう?」とビックリするときがあるんですけど、それは現代プロレスのレベルの高さに麻痺しちゃってるからで、それなりに高度なんですよね。
小佐野 試合の組み立てとしては高度なことはやってるんだけどね。格闘技の場合はケガをして動けなくなっても、勝敗が決したということで納得してくれるでしょ。でも、プロレスの場合は「もう終わりかよ」ってなっちゃうんだよね。
――観客満足度も凄く上がってますよね。いまはつまらない興行や失敗興行ってほぼないですし。
小佐野 前座からメインまで隙がない興行が多いよね。とにかくお客さんは飽きさせない。昔の一流のプロレスラーは「グラウンド技でいかに暇つぶしができるか」なんて言われてたけど、いまはいかに派手に動き続けるかでしょ。かといって試合時間が短くなってないからね。タイトルマッチも長い試合になるし。
――マラソンマッチをハイスピードでやらなきゃならない。最近のプロレスってどこが序盤なんだかわかんないですもんね。
小佐野 「そろそろ勝負かけたのかな……」って思ってもまだまだ続くもんね(笑)。オカダとケニーの60分フルタイムなんて昔の60分フルタイムと比べたら考えられないよ。とてもじゃないけど、60分やり続ける展開じゃない。
――「ああ、この展開は60分ドローだな」ってリズムじゃないですよね(笑)。
小佐野 お客さんがそういったプロレスを支持してるわけだから、選手たちもやるしかない。いま新日本でイッテンヨンに向けて、棚橋弘至とケニー・オメガがプロレスのスタイルについて、せめぎ合ってるよね。棚橋が「ケニーのプロレスは品がない」と言えば、ケニーからすれば「棚橋は古臭い」と。たしかにケニーが入ったことで新日本のスタイルは変わった。それまではそのレスラーの必殺技が決まったらオシマイ……という流れだったんだけどね。
――ユークス以降の新日本は必殺技を大事にするプロレスでしたよね。
小佐野 新日本を引っ張ってきたオカダ・カズチカも根っこはルチャだけど、ウルティモ・ドラゴン門下のベーシックなプロレス。最後にレインメーカーで仕留めるために動きを繋いでいくから、レインメーカーという技に説得力があったんんだよね。でも、ケニーが来てから新日本は変わったよね。選手たちもインパクトのある大技連発の方向に行かざるをえない。
――棚橋弘至とケニーのイデオロギー抗争は現実とフェンタージの狭間の闘いではあるんですね。
小佐野 それでもG1公式戦のケニーvs飯伏幸太は、DDT武道館のときと比べてたらかなり抑えていたと思うよ、あきらかに。飯伏の中には「あれ以上はやっちゃいけない」というブレーキがかかったんだろうね。実際飯伏は武道館のあとに「もうケニーとはやりたくない」と言っていたからね。そりゃそうだよね。あれ以上やったら死んでしまうから、違った方向で魅せるしかない。
――そうなると心理的にブレーキはかかりますね。
小佐野 いまの流れはもう止めようがないところあるんだけど、個人的にはひとつの大会に何度も雪崩式ブレーンバスターをやるのはやめてほしいかなあ。繋ぎ技で使うんだったらやらなくていいんじゃないかなって。
――フィニッシュならともかく。いまは雪崩式ブレーンバスターですら決め技にならないですもんね。
小佐野 昔の雪崩式ブレーンバスターは垂直落下だったんだけどね。いまは背中から落とすでしょ。杉浦貴と石井智宏だけかな、頭から落とすのは。見た目は派手なんだけどね、足を滑らせたら大変だし、繋ぎ技なら控えたほうがいいのかなって。
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コメント
コメントを書く(ID:6689630)
重すぎる話でした。ただ、ファンの人たちもこういうエンタメに興奮している以上無視できない言説だとは思った。
レスラーの方たちは、理屈をこねられるのはイヤかもしれないけど。