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【無料公開】UFCマカオ大会の“熱量”と日本再進出■橋本宗洋の格闘技酔拳批評

2012/11/11 18:33 投稿

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予想していた以上の盛り上がりだった。11月10日のUFCマカオ大会である。これはいつもとは違う大会で、だからここまで盛り上がることが予想できなかったんじゃないかと思う。
盛り上がったというのは、大会そのものというよりファンの反応だ。より具体的にいうと日本のファンの反応。ツイッター見てると、とにかく凄かったわけである。
まあ、僕がフォローしてる人は格闘技好きが大半なんだから盛り上がって当然ではあるんだが、それにしたっていつも以上の“熱量”だったと思う。
やっぱりニコ生での中継が大きかったんじゃないか。WOWOWに加入してない人でも見ることができるし、オフィシャルのネットPPVよりも馴染みがある。
まして今回はアジア開催ながら現地時間の夜開催。土曜の夜だから夜更かしもしやすい。いつものアメリカ時間での生中継、日本の日曜朝から午後にかけてという時間帯よりも見やすかったはず。日曜だと遊びに行っちゃったり、もしくはまだ寝てたりとか、生活パターンとして、あんまり家でテレビ見る感じでもないわけで。
そういう環境があった上で、大会には5人の日本人選手が出場。どうしたって〈日本vs世界・5対5マッチ〉という見方をするし、そうなると余計に燃える。
ただ、この5人は“スター軍団”というわけでもない。日本で闘っている頃から“大人気”だったのは五味隆典くらいのもので、他の4人は実績こそあれ後楽園、ディファがベースのせんだった。あくまでコアなファンに注目される存在。少なくとも、このマカオ大会と同じ“熱量”で見られていたわけじゃない。手塚基伸なんて、動いている姿を初めて見たって人もいるだろう。
でも、だ。彼らはUFCという世界最大・最高の舞台で闘うことで“俺たちの日本代表”になった。しかもUFCは最大・最高であるだけでなく、世界で最も厳しい戦場でもある。次から次へと難敵が現れ、結果を残せず、試合内容が評価されなければバッサリとリリースされてしまう。納得のいく形で、UFCファイターとして選手生活を終えることができる人間はごくわずかだ。
だから、ファンは畏敬の念を抱く。感情移入する。勝ったときの喜び、あるいは安堵感も大きくなる。それが最大級のものになったのが、今回の五味じゃなかったか。決して満足できる内容ではなかった。判定は割れた。でも、とにかく生き残った。その喜び、安堵感。
そして大会後には、来年3月の日本大会開催もアナウンスされた。今回マカオに進出したことで、アジアマーケットにさらに力を入れてくることが予想される。
こうなるとUFCは強い。いやもともと強いんだが、我々から見て“柱”がもう一つ増えることになるのだ。これまでだって、各階級の“最強争い”を楽しんできたが、これからは今年2月の日本大会、今回のマカオ大会のように、“我らが日本代表(あるいはキム・ドンヒョンらを含めたアジア代表)を集中的に応援する機会が増えるわけだから。
そこで気になるのが「じゃあ、DREAMはどうするんだろう?」ということだ。“俺たちの選手”に感情移入し、応援するという魅力をUFCが強化する中で、DREAMは何を見せるべきなのか。
もちろん“より身近な存在”のほうが応援にも気持ちが入るということはあるだろう。選手の成長を見守るという楽しみ方もある。でもそれは基本的に後楽園、ディファでのスタンスであって......。
グローリー体制のDREAMで、何が生まれるのか。どんな価値観を提示するのか。はっきりと“これをやるべき”というものは見えない。見えているなら苦労はしない。
大晦日に見たいのは、一つひとつの試合、そのおもしろさだけじゃないということだ。DREAMが打ち出す方向性、”日本のメジャーイベント”としてのあり方。その指針を示せるかどうかも、大きなポイントになる。


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