ズンドコ・トラブル興行研究会――プロレス格闘技のウラに精通する書き手たちがマット界を騒がせたズンドコな事件を振り返ります! 今回は昭和プロレス研究家の小泉悦次さんによる「シュートマッチの起源と世IV虎vs安川惡斗」です!




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シュートマッチの起源は1925年4月15日、米フィラデルフィアで行われた世界ヘビー級選手権(統一王座時代)、チャンピオン、ウェイン・マン対挑戦者スタニスラス・ズビスコ戦とする見解が主流である。当時、アメリカのプロレス界は、前王者エド・ストラングラー・ルイス派と元王者ジョー・ステッカー派の冷戦状態であった。ステッカー派のスパイだったズビスコが裏切り、ルイス派の傀儡王者マンをボロボロにした上で王座まで奪った、そんな試合である。

単純に考えて、格闘技であればすべての試合が「シュート」のはずだ。シュートマッチと言われる試合の誕生は、シュートではない試合がスタンダードになってしまったからであり、その時期が20世紀の20年代だったのだ。実際にはすでに10年代、第一次世界大戦の頃「気がつけばすでに試合は拵えられていた」ようである。

それから100年が経とうとしている。直近のシュートマッチとして挙げられるのが、2015年2月22日、スターダム後楽園大会で行われたワールド・オブ・スターダム選手権、王者世IV虎対挑戦者安川惡斗の試合だ。これは大きな話題となったので、読者の方々におかれてはご存知のことと思う。概略を振り返っておこう。


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