格闘技関係者や選手の間で物議を醸している選手によるチケットの手売り問題。Dropkickをご覧になっている好事家の皆さんは既にご存知だと思いますが、事のあらましをおさらいすると発端は新たなキックイベント「KNOCK OUT」に出資する株式会社ブシロードの木谷高明代表の発言。旗揚げ会見でUFCやWWEのようなキック界における上位概念を作ってビッグビジネスにしたいという戦略を語る一方で、古くから続く格闘技界の慣例・常識からの脱却について次のように言及しました。
「選手のチケットの手売りを基本的にやめさせたいです。これまで盛り上がった格闘技イベントは、イベント自体が盛り上がっていた。誰が出るか発表しなくてもチケットが売れるようにしたい。手売りをやっている限り先は無い。手売りは供給者の事情でお客さんの需要側に立っていない」
新日本プロレスをわずか3年足らずで再生させた木谷氏だけに含蓄十分。どうやって手売りをなくしていくのかその方法論は明らかになっていないものの、ある種の説得力を感じるのは私だけではないでしょう。
その反面、本当に手売りを続けいくと「先はない」のか、発言の信憑性や裏側が気になってしまうのが天邪鬼の悲しい性。そこで今回は手売りのメリットとデメリットを大会を見る観客の視点、さらに試合に出場する選手の視点から数人の関係者による証言を交えて考えていきたいと思います。
まず、そもそもチケットの手売りとは何なのか?
それはボクシングを始めとする格闘技興行において、出場選手のギャラを現金ではなく大会のチケットで支給する事。選手は支給されたチケットを販売する事で収入(現金)を得る事になります。格闘技に縁のない人にとっては「すわ現物支給か!?」と仰天する方も多いかもしれませんが、日本の格闘技界ではごく一般的な給与形態。江戸時代の武士が給料を米でもらっていたのと同じようなイメージでしょうか。最近の格闘技興行の中でも手売りがチケット販売の大半を占めているのでは?と思う場面によく出くわします。
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