事情通Zがプロレス業界のあらゆる情報を線に繋げて立体的に見せるコーナー「プロレス 点と線」。今回は格闘技がテーマなので「MMAボンヤリ層」のZさんは聞き役です(ジャン斉藤)






――「MMAボンヤリ層」の事情通Zさんは、修斗世界ウェルター級王者が誰かご存知ですか?

事情通Z 本当に本当に申し訳ないんですけど、知らないんですよね……。「MMAボンヤリ層」からするとUFCのチャンピオンでも名前がパッと出せるのは、コナー・マクレガーとロンダ・ラウジーくらい。

――いや、ロンダ・ラウジーはとっくの昔に王座から陥落してます(笑)。

 うわあ、そうだった……。

――修斗世界ウェルター級王者は松本光史選手なんですけど、ちょっと面白いことが起きてたんですよね。松本選手は9月19日の「VTJ 8th」でカナダ人ファイターのアレックス・リッチと対戦するはずだったんです。ところが8月28日のUFCカナダ・バンクーバー大会のライト級の試合で欠場者が出てしまった。UFCは代役を探したんですが、メディカルやMMAライセンス等の関係でカナダ大会に出られるのはリッチだけだったんですよね。

 UFCはリッチに代役のオファーをするしかない。リッチにとっては願ってもないチャンスだね。

――ところがリッチはVTJと契約済み。VTJがリリースしないかぎりはUFCに出場できない。ほかに代役選手が見当たらないUFCからすれば、一刻も早くリリースしてもらいたいんだけど、UFCとVTJが直接話し合うわけにはいかない。

 あくまでVTJとリッチのあいだで交わされた契約だからね。

――リッチは34歳で年齢的にラストチャンスだからなんとかしてUFCに上がりたい。そこでリッチのマネジメント側は、リッチの代役としてエフレイン・エスクデロという選手の参戦をVTJに提示したんです。彼はTUFシーズン8優勝者。

 実績があるファイターを用意した。

――実績のある対戦相手に加えて、なんとか話をまとめたいUFCは、関係者を通じてVTJ側に「松本選手がこのエフレインに勝てばUFCとの契約を検討する」と非公式ながら伝えたという噂がありますね。

 おー、凄い展開(笑)。

――こうしてVTJはリッチをリリースして、松本選手はエフレイン戦を合意するに至るわけですけど。なおリッチはUFCバンクバー大会では判定負けでした。

 松本選手も勝てばUFCとの契約がグッと近づく。どこにチャンスが転がってるかわからないってことだね。