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<無料記事>金原弘光、整骨院をオープン! 格闘家のセカンドライフとは何か?

2016/07/27 00:00 投稿

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伝説のプロレス団体UWFインターナショナルでデビューして、キングダム、リングス、PRIDEと渡り歩いた日本格闘技の生き証人金原弘光が格闘技界黎明期を振りかえる連載インタビュー。今回は用賀にオープンした「かねはら整骨院」(kanehara-seikotsuin.com)について!

前回はコチラ
http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1055243





――「かねはら整骨院」オープンおめでとうございます!

金原 いやあ、始まったばかりだけど大変だよ。治療は慣れたもんだけど、お会計のレジとかやったことないからさ(笑)。

――治療以外の仕事が難しいんですね。

金原 レジ打ちの練習はしてたけど、本番になると「あれ、あれ……」って戸惑っちゃうよね。25年間プロレス格闘技の世界に浸かってたから、まさかレジ打ちをやるとは思わなかったよ。若い頃、とんかつ屋でバイトしたことはあったけど、レジは任せられなかったからね。

――治療だけじゃなくて経営を考えなきゃいけない立場なんですね。

金原 そうそう。だから「お店の照明が暗いんじゃないか」とか言われると、違う照明を買おうかなって気になっちゃうし(笑)。

――いろいろと考えちゃうわけですね(笑)。

金原 治療は国分寺でもやってたんだけど。自分で言うのもなんだけど評判がいいんだよ。

――国分寺ではどういうかたちでやられてるんですか?

金原 極真空手でMMAの指導をやってるんだけど。最初はそこの師範を見たんだよね。松葉杖を突いて歩いたのが治っちゃって。

――凄いですね!(笑)。

金原 国分寺は何も宣伝していないのに口コミで広がっていって。炎症とかは急には治らないけど、骨関係は動かせば治るから。

――金原さんはこうして整骨院を開いたわけですけど、セカンドライフをどう考えてたんですか?

金原 それは凄い悩んでいてさ。みんな飲食店をやったりするけど、プロレスラーってなかなか潰しがきかないもんね。ずっと現役でできるわけじゃないんだけど、やめられない。それは次にやる仕事がないから。プロレスなんてあんなキツイ仕事、年を取って次の仕事があるならやめてると思うよ。

――歳を取るとキツイ仕事ですよね。金原さんは「次の仕事」を考えて、柔道整復師の専門学校に通われてたんですよね。

金原 3年間通ったけど、朝9時から月曜から金曜日までだから普通の学校だよね(笑)。テストも13教科くらいあるんだけど、国家試験の中で柔整の免許が一番難しいんだよ。

――しかし、3年間は長いですよねぇ。

金原 学校を出ないと国家試験を受ける資格が取れないんだよ。もうちょっとゆるい学校もあるんだけど、そこは合格率が低い。俺が通った学校は厳しいんだけど、国家試験の合格率は90パーセントくらいあるから。入学したのは夜間を含めて90人くらいで、3年生まで進んだのは70人くらい。卒業できたのは55人くらいで国家試験を通ったのは50人くらい。

――3年も通っても合格できない人がいるんですねぇ。

金原 大変だったけど、格闘技をやるよりは楽でしょ。格闘技のほうがつらいもん(笑)。

――そういうもんなんですね(笑)。

金原 格闘技はいつ試合が決まるかわからないのに練習しなきゃならないし、先が見えないのが怖いよね。学校はテストがいつあるかわかるから。

――卒業しても自分のお店を開くには資金が必要ですよね?

金原 学校の授業料に400万、お店の開店資金に500万だよ(笑)。

――ひえ〜(笑)。

金原 この初期投資を回収しないといけないんだよ〜。これを読んだ方は治しに来てほしいよ(笑)。

――現役中からこの仕事をやろうとは考えてたんですか?

金原 現役のときからケガは絶えなくて、いろんな病院には通ってたんだよね。Uインターのときはお抱えの鍼治療があったけど、それはケガしたときだけ診てもらう。で、リングスのときはトレーナーが道場に常駐してて。

――素晴らしい環境ですね!(笑)。

金原 身体に違和感があったらすぐに診てもらえて。そのトレーナーは名古屋の有名な先生の弟子なんだけど。前田(日明)さんがその先生にお世話になっていて、道場に弟子を派遣してもらってたんだよね。昔の新日本もその先生と関係があったのかな。

――新日本プロレスの選手もお世話になっていたんですね。

金原 猪木さんもその先生に診てもらっていて、そこから前田さんに繋がっていて。プロ野球や大相撲の力士のお抱えの先生なんだよね。

――凄腕なんですね。

金原 まだリングスが掌底ルールだったときに手を痛めちゃってさ。手が付けないし、もう痛くて痛くて。そのときは新幹線に乗って名古屋の先生のところまで行くんだけど。

――道場のトレーナーがいるのに?

金原 まず弟子のトレーナーに診てもらうんだけど、それで治らない場合は名古屋の先生。新幹線代とホテル代は会社からちゃんと出るんですよ。

――凄いなあ。

金原 いま考えるとリングスは素晴らしい団体ですよ(笑)。俺は地元が愛知だから実家に泊まるんだけど、選手によっては1週間近く名古屋のホテルに泊まって。

――それも会社がちゃんと払ってくれるんですね。

金原 やっぱりちゃんと治すなら維持しないといけないから。10が正常な状態だとして、みんな3くらいになったら病院に行くでしょ。一回診てもらえば6にはなるけど、10に戻るまで治療しないとまた3になっちゃうからね。あと俺は行ったことないけど、リングスは大分県の整体にも繋がっていて。成瀬(昌由)さんが腰をやったときは大分の温泉に入りながらじっくりと治してたんだよね。

――それも経費で!

金原 プロ格闘技って感じがするでしょ?(笑)。そんなわけで俺は名古屋の先生の治療テクニックはずっと見てて「なんでこんな治療をするんだろう?」と考えていて。自分が柔整の学校に通いだして解剖を勉強したら、理にかなっていたことがわかったんだよ。学校では基本的に知識を学ぶ場なんだけど、自分なりの体験を交えて勉強できたよね。

――格闘技時代の経験を活かしてる。じゃあ天職とも言えるんですかね。

金原 いやあ、最初は「どうなんだろうな……」って考えちゃったよ。

――1000万円近くかけてるのにですか?(笑)。

金原 マッサージって先輩に命令されてやらされるものって感覚があったんだよ(苦笑)。Uインターの頃、よくTさんにやらされたもん。

――この連載毎度おなじみTさんのトラウマですか!(笑)。

金原 新弟子の頃、Tさんが「おい、ここを揉んでくれ!」って偉そうに言ってくるんだよ。高田(延彦)さんだったら団体のトップだし、頼まれるのは光栄ですよ。でも、Tさんは違うからさあ。

――お小遣いもくれたり、後輩の面倒見がいいわけではないですし(笑)。

金原 唯一よかったのは、寮でTさんの部屋だけエアコンが効いててさ。マッサージをやりにいくと涼しいんだよね〜。

――ハハハハハ! 寮の王様の部屋だけエアコン付き(笑)。

金原 マッサージにはイヤな思い出があったから、国分寺で治療を始めたときもやらされてる感じがあったんだよね。お金をもらってるから仕事なんだけど。でも、評判が良くて何回もリピートしてくれる患者さんがいることで気持ちも変わっていって。

――感謝がTさんの呪いを打ち砕いたんですね(笑)。 

金原 いまは治療に集中してるから「どこの筋肉が原因なのか」って考えながらやってるんだけど。他人の身体を使って作品を作ってる感じなんだよね。もし途中で変な動きをしたら「俺の作品に何をするんだ!?」って怒りたくなっちゃうくらい(笑)。

――ぜひ読者の方も金原さんの作品になってほしいですね(笑)。そういえば、ここ用賀にはUインター取締役だった鈴木健さんの「市屋苑」がありますね。安生(洋二)さんも働いていて。

金原 プロレスファンのお客さんが多いから、営業を兼ねてこないだ2日連続で行ってきたよ。安生さんもいたけど「金原、俺たちは石ころなんだ。顔がよくなきゃスターになれない」「いまは気付いてます」「俺はハタチの頃に気付いたよ〜」ってしみじみ言ってて(笑)。

――20歳で自分の将来を見切っていた!(笑)。

金原 「かねはらはリングスで12連勝したけど、7連勝のときに気づかないとダメだよ。普通7連勝もすればスター扱いだよ〜」。周りのお客さんは大爆笑でさ(笑)。

――たしかにあのルールで12連勝っておかしなことですからね(笑)。

金原 「金原がもがいてるのを見るのが楽しかったよ〜」だって。俺も安生さんも第2の人生で、もがいていくんだけどね(笑)。皆さん、ぜひ治療に来てください!(http://kanehara-seikotsuin.com/


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