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知ってるようで知らない保坂秀樹の謎に迫るインタビュー。なぜリングス旗揚げ戦に出たのか。なぜそこからW☆INGなのか。高野兄弟のPWCとはなんだったのか。そしてポーゴ軍なのにミスター・ポーゴと仲が良くなかった!? 天龍源一郎の昭和スタイルな付き人エピソードもたっぷり16000字で語ります!







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――いまプロレス界で最も熱い抗争・FMW軍vsUWF軍で保坂さんはFMW軍の一員ですけど、麻生(秀孝)さんのサブミッションアーツレスリング所属としてリングスの旗揚げ戦に出ていたり、キャリアのスタートは格闘技からだったんですよね。


保坂 いや、ボクはもともと格闘技志向ではなかったんですよ。たしかにアマチュアレスリングはやっていて、それで東京農大にも進んだんですけど。もともとプロレスが大好きで。数十年前に大仁田さんが新生UWFの神(新二)社長から「チケットを持ってますか?」って言われたときもプロレスファンでしたから。

――大仁田さんとUWFのあいだに起きた有名な事件ですね(笑)。

保坂 プロレスラーにもなりたくて、そういった機会もなくはなかったんですよ。ボクが大学生のときSWSができるかできないかくらいの時期だったんですけど。東京農大の合宿の近くに、全日本プロレスとUWFの道場があったんですよね。だからUWFの選手たちが坂道ダッシュしてる姿を見てたりもして。で、高校の先輩だった折原(昌夫)さんが全日本にいて、天龍さんの付き人をやってたんですよ。

――折原さんが付き人ということは、天龍さんが全日本を離脱する直前ですね。

保坂 近所だから折原さんが合宿所にいつも遊びに来るんですよ。「これ、洗濯しといてくれ!」って全部天龍さんの洗濯物なんですけど(笑)。

――後輩に押し付けてましたか(笑)。

保坂 プロレスファンだから「お、天龍さんのだ!」って喜んで洗濯してたんですけど。そのときに天龍さんが一度だけ合宿所に中華の差し入れをしてくださったんです。「すいません、ありがとうございます」ってお礼したんですけど、のちにボクが天龍さんの付き人をしてるときにそのことを言ったら「おぼえてるよ!」って(笑)。

――のちに付き人をやるんですから不思議な縁ですね。

保坂 で、折原さんから「SWSという新しいプロレス団体ができる」という話を雑誌に載る前から聞いていて。折原さんが「どうしても天龍さんに付いていきたい!」って電話している姿も見ていて。きっと天龍さんから「おまえは全日本に残れ」って言われてたんですかね。

――結局、折原さんもSWSに移りますね。

保坂 ボクも折原さんから「大学なんかやめてSWSに来いよ!入門テストを受けろよ!」と誘われて。バカだからその足で大学をやめようと実家に帰っちゃったんですよ。でも、そんなに簡単に大学はやめられなくて、SWSの入門テストも受けられず。結局1年間経ってから大学をやめて「これからどうしようかな……?」ってときに、高校の先輩だった木村浩一郎さんに出会ったんですよね。あの人は当時サブミッションアーツレスリングという格闘技をやってたんです。

――木村さんはサブミッションアーツレスリングの代表選手でしたね。


木村浩一郎インタビュー「FMWとリングスで俺はこの業界をナメてしまったんですよ」
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◉【関節技の帝王】サブミッションアーツレスリング総帥・麻生秀孝インタビュー
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保坂 木村さんに「なんにもしてないならトレーニングに来いよ」って誘ってもらって、それで工場仕事をしながら1年くらい道場に通ったんですけどね。

――保坂さんが通っていた頃のサブミッションアーツレスリングとはどんな格闘技だったんですか?

保坂 結局いまでいう総合格闘技ですよね。あの頃は総合はなかったですけど、空手、ボクシング、サブミッションがミックスしたのがサブミッションアーツレスリング。その頃に出会ったのが鶴巻(伸洋)なんですよ。


◉W☆ING発、リングス行き! 「足首鳴ってんどー!!」鶴巻伸洋の怪しい格闘家人生
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――そのときまだプロレスラーの夢は抱いてたんですか?

保坂 いや、何も考えてなかったですね。当時ってプロレスラーになる方法って限られてたじゃないですか。

――団体も数えるくらいしかなかったですし。

保坂 そうしたらリングスから麻生さんに「サブミッションアーツレスリングで何かできないか」って話があって。それでボクが木村さんとの試合でリングスに出ることになったんですよ。

――それが横浜アリーナのリングス旗揚げ戦ですよね。一番最初の試合は保坂さんだったという。

保坂 いまでいう「第0試合」ですよね(笑)。で、しばらくして今度はW☆INGの話があったんですよ。

――リングスからW☆ING!(笑)。麻生さんは弟子たちをリングスやFMW、W☆INGに送り込んでいたんですよね。

保坂 そういうことですね。今度できるW☆INGという団体は格闘技路線だと。でも、ミスター・ポーゴがトップなんですよね(笑)。

――ハハハハハハハハハハ! 明らかにあやしいですね(笑)。

保坂 麻生さんはボクがプロレスが好きなことを知ってるので「おまえもどうだ?」と。ボクとしては願ったり叶ったりなんですけど。

――鶴巻さんはW☆INGを格闘技団体だと思って参戦したんですよね。

保坂 彼は格闘技だと思ってましたね。のちにバトラーツに行った臼田勝美さん、FWMで初代ザ・シューターをやってた猿川さんもみんなW☆INGは格闘技だと思ってたんですけど。ボクはプロレスデビューの手段になればいいなくらいの感じで参加したんです。

――W☆ING旗揚げ前に合宿を張ったんですよね。木村浩一郎さん、斎藤彰俊さんらも参加して。

保坂 ああ、やりました! たしか全女からリングを借りてやったんですよ。その合宿にはポーゴさんは来てないし、格闘技の練習しかしてないんですけど。

――その中で三宅綾さんは唯一のアメプロ志望だったから浮いていたとか。

保坂 だからみんな考え方がバラバラで違うんですよ。プロレスをやりたい人間、プロレスをやってきた人間、格闘技をやりたい人間……と。結局、フタを開けたらデスマッチ路線ですからね(笑)。

――ハハハハハハハハハ! そうなると納得がいかない人間が出てくるわけですよね。

保坂 鶴巻や猿川さん、臼田さんは「話が違うじゃないか!」と。鶴巻とボクは方向性は違いますけど、同じ新潟出身で同学年だから話が合ったし、当時一緒に住んでいたんです。渋谷にあったW☆INGの事務所に寝泊まりしてたんですけどね(笑)。

――保坂さんのデビュー戦はグレート・ウォージョ。「ローラン・ボックの再来」という触れ込みで格闘技路線っぽい感じではありましたよね。

保坂 ウォージョはアマチュアレスリングでもの凄い実績があって、ボクもレスリングをやっていたことで当てられたんだと思うんですけど。振り返ってみると……あの過去は消したいくらいです(苦笑)。プロレスというものが何もわからないまま、プロレスを何も教わってない状態でリングに上がらされて。いま考えると失礼な話ですよね。

――固い試合だったと聞いてます。

保坂 固い試合でしたね。ウォージョは力はあるし、凄い身体をしてて。

――道場マッチというか。

保坂 だから思い出したくもない(笑)。人前で見せるようもんじゃないですよね。そのときW☆INGに参戦していたトム・プリチャードやダニー・デービス、アイスマンをやってたリッキー・サンタナにプロレスを教わったんです。巡業中に彼らのトレーニングに参加して。そのとき初めてプロレスに触ったといえるんですね。

――でも、そのW☆INGはすぐに離脱しちゃいますね。

保坂 なんかバカらしくなったんですよね。まずお客さんに失礼ですよね、プロレスを教わってないボクらのような人間がリングに上がってるわけですから。あと内部もメチャクチャだったんで。茨城(清志)さんとかデタラメじゃないですか(笑)。

――旧W☆INGで外国人招聘に携わっていた茨城さん。ギャラ未払い等、デタラメな逸話には事欠かないですね(笑)。

保坂 ボクの場合、ギャラは問題なかったんですけど。

――W☆INGというと、格闘三兄弟の徳田(光輝)さんがいろいろと評判が……。

保坂 ああ、のちのち徳田さんがいろいろとバカにされたりしてるんですけど、当時はなんとも思ってなかったんですよ。たしかに徳田さんはプロレスの練習はしてなかったんですけど。

――徳田さんはあることないこと吹き込んで他人を貶めることが多かったという話ですよね。

保坂 ああ、それはあるみたいです。表と裏では言うことが違うことで、人間としてダメな部分はあったらしいですけど。ボクは直接何かされたわけじゃいし、結局W☆INGには2シリーズしかいなかったので。

――W☆INGは、茨城さんのデスマッチ(新生W☆ING)派と、社長の大迫さんのWMA派の二派に割れますが、保坂さんは鶴巻さんと一緒にWMAに残留したと言われてますよね。

保坂 いや、べつにWMAに所属したわけじゃないんですよ。結局大迫さんは団体をやりませんでしたし。

――鶴巻さんいわく、事務所に寝泊まりしてたから大迫派に思われていたとか。

保坂 そうなんですよ。具体的な話も何も聞いてなくて。三宅さんのブログを読むと、あの人はずっと大迫さんのところにいてWMAの旗揚げの準備をしていたとか書いてるんですよね。そんなことボクは全然知らなくて(笑)。

――せっかくプロレスデビューできたのに、その後のことはどう考えていたんですか?

保坂 プロレスの夢をあきらめられないですから、なんとかしようと考えていたんですけど。そんなときにPWCが旗揚げしたんですよ。

――ジョージ高野と高野拳磁(当時・俊二)の!

保坂 PWCが旗揚げして新弟子を募集してる。『週刊プロレス』に載ってる住所に行ったんですよ。東大和だから遠かったんですけど(笑)。道場に着いて「……どうしよう」って戸惑ってるときに、建物の中からジョージさんが出てきたんですよね。その場で「すいません、弟子にしてください!」ってお願いしたら話を聞いてくれて。すんなりそこに寝泊まりできるようになって。2階が合宿所で、1階が練習する場所で、のちにリングを置くんですけど、最初は何もなかったですね。

――ほかに新弟子は誰がいたんですか?

保坂 最初はボクだけですね。あとから黒田(哲広)、南条隼人が加わって。その前にも2〜3人新弟子がいたんですけど、高野俊二に毎日殴られていなくなっちゃいました(笑)。

――毎日殴られる!

保坂 酔っ払ってボコボコに殴ってくるんですよ。あと意味がわからないんですけど、高野俊二と1対1で殴りあいをさせられて(笑)。

――なんですか、それ(笑)。

保坂 酔っ払ってお互いに一発づつ殴りあうんですよ。

――前田日明と武藤敬司に似たようなエピソードがありましたけど。新日本の伝統なのかな(笑)。

保坂 でも、こっちは新弟子だから殴れないじゃないですか。そうすると「なんで殴らないんだよ違!」って殴られるんです。殴るぶんには怒られないんですよ。まあ、結局、殴り返されるんですけど(笑)。

――ハハハハハハハハハハ! 殴っても殴らなくても地獄(笑)。

保坂 俊二さんはひとことでいえばデタラメな人なので。たまにみんなで六本木とかで飲むじゃないですか。俊二さんがレジのほうに行くから会計するのかと思ったら、店員に向かって「じゃあ!」って大声で挨拶して店を出るんですよね。

――ええええええ!? お会計は……。

保坂 わからないです。でも、俊二さんしか支払いはできないんですけどね(笑)。やっぱり2メートル120キロくらいあって怖いから、店員も何も言えないんですよね。

――高野拳磁、さすが強烈ですね(笑)。

保坂 凄いですよ。あるときなんて飲んでる最中にビール瓶で殴られましたからね(笑)。

――何か怒らせたんですか?(笑)。

保坂 理由なんかないですよ!

――ハハハハハハハハハハ!

保坂 理由があるならまだいいんですけど。そういえば、道場で飲みの席があって、そこに仲野(信市)さんもいらしたんですよ。「今日は無礼講だ!」ってことで始まったんですけど、ある新弟子が本当に無礼講だと思っちゃったんですよね。大騒ぎしていたら、仲野さんに非常階段に連れて行かれてボコボコにされて(笑)。

――ハハハハハハハハハハハハ! 

保坂 ボクは「無礼講は無礼講じゃない」ってことは知ってたんですけど(笑)。翌日、朝起きたらその新弟子がいなくなってましたね。

――ジョージさんはどんな人間だったんですか?

保坂 ジョージさんは基礎練習が凄く好きなんですよ。朝4時くらいに道場に現れて練習するんですけど。

――朝4時から練習!(笑)。

保坂 まだ道場で練習するならわかるんですけど、道場の前に空き地があって、石とかでボコボコなんですよね。そこにビニールシートを広げて「極め合いするぞ!」と。

――朝っぱらから空き地で極めっこ!(笑)。

保坂 石でボコボコでヒザもつけないようなところでやるんですけど。道場にリングがあるんですよ?(笑)。たぶんですけど、あの頃はU系全盛だったから、ジョージさん、UWFに憧れていたと思うんですよ。

――そのあとのジョージさんって格闘技の試合をけっこうやってるんですよね。上田勝次さんとキックをやったり、一般人と格闘技戦をやって判定で負けたり。

保坂 ジョージさん、格闘技系のスタイルが好きだったんですよね。だからって空き地で練習する意味がわからないですけど(笑)。

――大男2人が空き地で早朝スパーをやっていたら通報されかねないですよ(笑)。

保坂 まあ静かな街だったので。そのまま「走りに行くぞ!」って延々とランニングを始めて。ジョージさんとはぐれちゃうし、道がわからなくなっちゃって電車で帰ってきましたけど(笑)。

――ジョージさんは「宇宙人」と呼ばれるだけのことはありますね(笑)。

保坂 ジョージさんは「霊が見える!」「これは何か取り憑かれてる……」とか真顔で言いだしたりしますから。あと俊二さんといつもケンカするんですよ。

――どういう理由で兄弟ケンカするんですか?

保坂 なんなんですかね。考え方の違いなんですかね。ボクが知るかぎり兄弟の仲は良くなかったですね。最後は安達さん(ミスター・ヒト)が包丁を持ち出して「ケンカはやめろ!」って止めるのがいつもの光景で。

――ハハハハハハハハハハ! どんな日常なんですか!(笑)。

保坂 みんなで集まってちゃんこを食べてると、いつのまにかケンカしてるんですよね。

――で、安達さんが包丁を持ち出す、と(笑)。

保坂 そうそう(笑)。ジョージさんは純粋な人なので視野が狭くなっちゃんですよね。俊二さんはデタラメというか……付き人をやってましたけど、本当に大変でした。理由なく殴られる日のほうが多くて。

――イヤになりませんでした?

保坂 イヤになりましたけど、ここを逃げ出したらプロレスはあきらめないといけないので。1回だけ荷物をまとめたことがあるんです。もうひとりの新弟子と「一緒に逃げよう!」と。そのときはリングが道場に置いてなくてプロレスの練習もやらせてもらえないし、ここにいる意味がないなって。いざ逃げようとしたら、けっこうな田舎で夜中だったから、タクシーが捕まらなかったんですよ(笑)。もうひとりは反対車線にタクシーが来たからそのまま消えたんですけど。

――そこも運命だったんですねぇ。

保坂 そのあと安達さんが道場に来てからは、やめようと思ったことはないですね。安達さんと一緒に寝泊まりして、朝と夕方に一緒に練習して。1日中、安達さんのレスリング教室です。安達さんが言っていたのは「いつでもリングにいなさい、リングに慣れなさい」と。遊びながらでもリングに触れることが大事だと。夜はかならず道場の前にある居酒屋に安達さんと高木(功)さんと一緒に飲みに行くという毎日で。そこで初めてプロレスラーになれた感じはしましたね。

――遠回りしましたねぇ。

保坂 しましたね。直接、どこかの団体に入門できればよかったんですけど。流されるままサブミッションアーツレスリングに通って、流されるままリングスやW☆INGに出て。PWC自体にはそんなに長くはいなかったんですけど。

――高野兄弟はケンカ別れしちゃいますよね。ジョージさんが出て行って。

保坂 旗揚げしてまもなく割れましたね。で、ボクら若手にはFMWからオファーがあったんですよ。「若手だけで来ないか」って。あのときはボク、戸井(克成)さん、大矢(剛功)さん、黒田、南条隼人がFMWに移って。

――そのときは若松(市政)さんはPWCに参戦されてたんですか?

保坂 若松さんがギリギリいましたね。若松さんはいい人だったんですよ。ボクにも敬語で喋ってくれて。

――高野拳磁さんの野良犬路線は……。

保坂 そのときボクはいなかったです。ジョージさんがいなくなり、安達さんいなくなり、高木さんがいなくなり、ボクら若手が抜けてから野良犬路線が始まって。

――最後の拳磁さんに会ったのはいつですか?

保坂 それから会ってないです。日本にいないらしいですよね。

――ロサンゼルスにいるみたいですね。プール付きの豪邸に住んでいて、海で溺れた人を助けて表彰されたことがニュースになってましたけど。

保坂 ホントですか? メチャクチャ酒を飲ませて溺れさせたんじゃないですか?(笑)。

――ハハハハハハハハハハ!

保坂 それくらいの人ですよ(笑)。

――移籍先のFMWの居心地はどうでしたか?

保坂 黒田は新弟子として入ったんですけど、ボクは大矢さんと一緒にポーゴ軍に入れられて。ポーゴさんとはW☆ING以来なんですけど、まあポーゴさんとはウマが合わなかったですねぇ。

――保坂さんといえば、ポーゴ軍の印象が強いですけど……絆はなかった(笑)。

保坂 簡単に言うと、ボクがポーゴさんを嫌いだったんでしょうね。ポーゴさんってかなりいい加減なんですよね。ボクがいい加減じゃないと言ってるわけじゃないですけど。ポーゴ軍は一時期、ボクとグラジエーターとポーゴさんの3人しかいないときがあったんですけど。グラジは毎日ポーゴさんに怒ってましたからね。ポーゴさんの動きがいつもデタラメなんで。

――ポーゴ軍として毎日試合をしてるのに息が合わないと?

保坂 そうなんですよ。ボクとグラジは阿吽の呼吸なんですけど。毎日やっていれば、次の日のほうがよくなっていくもんですけど、ポーゴさんは全然よくならない(笑)。

――逆・四天王プロレスというか(笑)。

保坂 あと、しょーもない嫌がらせをしてきたり。それがイヤでイヤで。有刺鉄線を腕にぐるぐる巻きにして顔を狙ってラリアットをやってくるんです。

――うわあ……。それ、わざとなんですか?

保坂 わざとだってわかるんですよ。しょうもなって思いながら試合をやるんですけどね。ポーゴさんもボクのことが嫌いだったと思います。ポーゴさんが群馬でやってる興行に呼ばれたことないですもん。呼ばれるとすれば、大仁田さんが「保坂も入れなきゃダメだよ」ってことで。まあまあ大人の関係なので「鎌を出せ!」「バットを持って来い!」と命令されたら「自分でやれや!」と思いながら、しぶしぶ用意してましたね(笑)。

――ハハハハハハハハハハ! FWM正規軍とはどんな関係だったんですか?

保坂 大仁田さんやターザン後藤さん、FWMの選手とはリング上でしか会わないんですよ。控室は別、バスも別。ボクらは外国人バスに乗ってたんで。

――FMWが巨大インディ化していた頃なんですね。

保坂 そうです。創成期じゃなくてガーッと上がっていくときのFMWだったんで。あの頃の巡業の移動は日本人バス、外国人バスがあって、大仁田さんは田中(将斗)が運転するキャンピングカー。ECWが来たときは外国人バスに乗りきれなくて、サンドマンなんて酒を飲んでベロベロになって床に寝てましたからね(笑)。

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