酒を飲める年代になった頃、夜遊びを教えてくれたのは六本木だった。銀座でも新宿でも、ましてや渋谷でもなく。

1970年代の東京で、夜中過ぎに普通に飲んだり食べたりできる場所は、ほとんど六本木だけだった。飲んで、食べて、踊って、だれかを好きになったり、喧嘩したり別れたりして。僕はこの町から、どれほどの人生を教わったろうか。